ヒズボラ通信機器爆発、イスラエル仕掛けたが ハンガリー企業が製造

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Laila Bassam Maya Gebeily

[ベイルート 18日 ロイター] - レバノンで17日、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの戦闘員らが利用していたポケットベルの爆発が相次いだことを巡り、レバノンの治安当局高官や関係筋は、イスラエルの情報機関モサドが数カ月前に、ヒズボラが発注した機器5000台の内部に爆発物を埋め込んだとの見方を示した。

レバノン当局によると、通信機器の爆発に伴い少なくとも子ども2人を含む12人が死亡、3000人近くが負傷した。

レバノンの治安当局高官は、通信機器は台湾を拠点とするゴールド・アポロ製と指摘。しかしゴールド・アポロによると、ライセンス供与したハンガリーのブダペストに拠点を置くBACが製造したとしている。

レバノンのマカリ情報相は爆発について「イスラエルによる攻撃」と非難。ヒズボラもイスラエルの責任だと非難し、「正当な罰」を受けるとして報復を示唆した。ヒズボラは18日付の声明文で「ガザとその人々、そしてその抵抗を支援するための活動を続ける」と表明した。

ヒズボラのある幹部は、爆発はイスラエルとイスラム組織ハマスとのガザ紛争が勃発した昨年10月7日以来、ヒズボラにとって「最大の安全保障上の侵害」と指摘。米政府で以前、中東に関するインテリジェンスを担当していたジョナサン・パニコフ氏は「ヒズボラにとって、ここ数十年で最大の防諜上の失敗だ」と語った。

レバノンの治安当局高官はこの機器のモデル「AP924」の写真を確認した。その上で、モサドによって機器が「製造レベル」で改造されたとし、「モサドはコードを受信する爆発物を搭載した基板を内部に埋め込んだ。どのような手段でも検知するのは難しい。どんな装置やスキャナーを使ってもだ」と語った。コード化されたメッセージが送られて同時に爆発物が作動し、3000台の機器が爆発したという。

別の治安筋は最大3グラムの爆発物が機器内に隠され、数カ月間ヒズボラに検知されなかったと語った。

破壊された機器の画像をロイターが分析したところ、ゴールド・アポロ製のポケベルと一致する形式や背面のステッカーが写っていた。

<携帯電話は危険とヒズボラ指導者>

関係筋が今年ロイターに述べたところによると、ヒズボラ戦闘員はイスラエルによる位置追跡を回避するためローテク通信手段としてポケベルを使用していた。

ヒズボラは今年2月、組織の情報インフラの欠陥を補う狙いで戦闘計画を策定した。当時、イスラエルによる攻撃で既に約170人の戦闘員が殺害されていた。

ヒズボラ指導者ナスララ師は同月の演説で支持者に対し、携帯電話はイスラエルのスパイより危険だとし、電話機を壊すか埋めるか、鉄の箱にしまうべきだと警告。同グループは戦闘員や医療スタッフなどメンバーにポケベルを配布することを決定した。

イスラエルのガラント国防相は今週、オースティン米国防長官と電話会談し、ヒズボラとの対立を外交的に解決する窓は閉ざされつつあると述べた。

ただ、専門家は今回の爆発について、イスラエルが近く地上攻撃に乗り出すことを示す兆候ではなく、ヒズボラ内部に深く侵入できるイスラエル情報機関の能力を示していると指摘した。