「逆流性食道炎」の検査・治療法はご存知ですか?合併症についても解説!

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朝起きた時に胃のムカつきを感じたり、食後の胃もたれなどで気持ち悪くなったりなどしませんか?

胃から食道あたりに起こる不快感は、逆流性食道炎という病気の代表的な症状かもしれません。

たいしたことがないからといって市販の胃腸薬で対応していると、次第に悪化し別の病気を併発する可能性が高くなります。

今回は、逆流性食道炎の症状や原因・治療法・予防法について詳しく解説します。

胃のムカつきや胃もたれに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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※この記事はMedical DOCにて『「逆流性食道炎」を発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

逆流性食道炎の検査方法・治療法

逆流性食道炎ではどのような検査を行うのですか?

一般的には、胃カメラによる内視鏡検査を行います。口から挿入する経口検査と鼻から挿入する経鼻検査があり、食道を観察します。検査時間は10分ほどですが、空腹の状態で行うので検査日前日夜から食事はできません。
どうしても胃カメラに抵抗がある方は、プロトンポンプ阻害薬という治療薬を服用しその経過をみるPPIテストという方法を行っている病院もあります。この治療法は薬を飲んで2週間ほど後の経過を観察します。この時点で症状が緩和されていれば薬が効いているということになるので、継続して薬による治療を行っていくのです。薬による治療は患者さんの身体的な負担が少なく、2週間ほどの服用となるので検査費も薬代だけで済みます。
以前は内視鏡検査が主流でしたが、薬によるPPIテストが主流となってきています。まずは医師と相談をしてから決めるとよいでしょう。ただPPIなどに治療抵抗性な場合は、食道運動異常や機能性胸焼けなどを考え、高解像度食道内圧測定や24時間phインピーダンスモニターリング測定などの検査ができる専門施設での精査が必要となります。
ちなみに内視鏡検査は保険適用となり、費用は4,000~5,000円ほどです。ただし、検査の結果で他の病気がみつかった場合はより詳しい検査をすることとなり、その場合の検査費用は別途かかります。

合併症はありますか

初期症状としては、胃もたれ・ムカつき・ゲップが多くなる程度です。そのまま放っておくと、食道以外にも炎症が起こり、喉のあたりにも炎症が起こってきます。さらに悪化してしまうと、食道狭窄による食欲不振や貧血などを引き起こし、最悪の場合には食道腺癌を発症します。単なる胃もたれだと軽く考えず、症状が続くようならば一医療機関で検査をすることを視野に入れましょう。

治療法を教えてください。

一般的には内服薬と生活習慣の改善を併用して治療を行います。内服による治療では、主に胃酸を抑える薬の投与(主にポロトンポンプ阻害薬)を行うほか、症状によっては胃の運動を活発にする薬や酸を中和する薬(制酸薬)を併用するのです。併用する薬は、患者さんそれぞれの症状に合わせて処方していきます。また、重症な逆流性食道炎にはボノプラザンというさらに強力な酸分泌抑制薬が用いられる場合があります。

編集部まとめ


今回は、逆流性食道炎について詳しく解説しました。

「食べ過ぎや飲みすぎに気をつけていれば大丈夫」などと軽く考えずに、症状が続くようなら必ず医療機関で検査を受けることをおすすめします。

また普段から日常生活の中で感じるストレスを解消し、趣味・スポーツ・休肝日を設けるなど、身体に気をつけて規則正しい生活を送るよう心がけましょう。

参考文献

逆流性食道炎ってどんな病気?(国立長寿医療研究センター)