(写真提供:Photo AC)

写真拡大 (全2枚)

訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「みんなに教えたい『泊食分離』という考え方」です。

【書影】永井さんおススメの温泉がこの一冊に!『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』

* * * * * * *

みんなに教えたい「泊食分離」という考え方

多くの温泉旅館は、前菜・煮物・お造り・魚料理・肉料理・天ぷら・鍋・ご飯・デザートと、胃がはちきれんばかりの量を夕食で出してくれます。

どれもこれもおいしくてお腹いっぱい、贅沢で幸せ〜〜って感じですが、時々そんな雛形の「旅館メシ」に飽きてしまうことがあります。

特に、天ぷらが出てきたあたり。

海老天、いま別に食べなくてもいいんだけどなあ、って。

そうしたユーザーの声を聞いて……というわけではありませんが、旅館業界では、2000年代以降、「泊食分離」=食事と宿泊を分ける動きが広がってきたようです。

よい選択肢のひとつ

背景にあるのは、旅館の低い客室稼働率。

旅館では素泊まりして、近隣のレストランで夕食をとるスタイルが広がれば、稼働率は上がるのではと考えられたからです。

ユーザーとしても、泊食分離はよい選択肢のひとつです。

会席料理のフルコースもおいしくて楽しいけれど、時々「地元の居酒屋で、地元の人がよく食べるような料理を食べたい」「地元で人気のレストランで、地産野菜を使ったイタリアンを食べたい」といった気持ちになりませんか。

食事は旅館でとらなきゃいけない、なんてことはないんです。

泊食分離のメリット

素泊まり+レストランだと、もしかしたら一泊二日二食付きの宿泊代より高くつくかもしれません。

でも、設備にこだわらなければ、安い旅館でいいですし、その分食事を豪華にもできます。


(写真提供:Photo AC)

泊食分離は、お金をかける部分を自分で決められるのがメリットです。

私は、熱海、草津、有馬、城崎など、コンパクトかつにぎわっている温泉街に行くときは、だいたい泊食分離スタイルで滞在します。

お酒を飲みたいので、徒歩圏内にレストランがあるのが重要なのです。

レストランへ行くのに車を必要とするような、山奥や海辺にある一軒宿は(あまり食事が期待できないことも多いですが)二食付きプランにします。

兵庫県・城崎温泉にて

2019年冬、兵庫県・城崎温泉で一泊したときのこと。

城崎の冬といえば、なんといってもカニ。

でも、旅館でひとりカニを貪るのはさびしい。

そう思って、旅館は素泊まり、夕食は街のちょっといい鮨屋を予約していきました。

カウンターに座って、カニ寿司を食べて、地酒で一杯。

そんなひとり客は珍しくないのか、まったく頓着されなかったことが嬉しかったです(さすが人気温泉地、ひとり客の扱い方も熟れている……!)。

どうも大人になりすぎてしまった感じがして、私自身はちょっと恥ずかしかったのですが。

でも、最高に楽しかったなあ。

泊食分離の手段も知っておくと、ひとり温泉はずいぶん豊かになります。

※本稿は、『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。