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50代になり、老後の生活資金や過ごし方が気になっているのに、<忙しさ>を理由に見て見ぬふりをしてしまう方もいるのではないでしょうか。そのようななか、著述家やブロガーとして活躍する中道あんさんは「不安を埋めるためには、自分自身の<棚卸し>を行い、内側の問題に向き合わなくてはいけない」と話していて――。今回は、中道さんの著書『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』から、充実したシニアライフを送るための考え方を一部ご紹介します。

【書影】実り多き人生後半戦を迎えるための、ライフシフトアドバイス。中道あん『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』

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努力が実りやすい方向性を模索しよう

「努力すれば、なりたいものになれる」

私たち世代はそう教わってきましたが、たしかに、“ある目標”を達成できた理由として「途中で諦めなかったから」という声をたびたび耳にします。

また、ある分野でスキルを磨いて一流として成功するのには、1万時間の努力が必要だとも言われています。「石の上にも三年」とは、よく言ったもの。継続はたしかに力になるのですよね。

できないのであれば人の10倍がんばればいい、もちろん、そのとおりなのでしょう。

でも、曲がりなりにも60年生きてきた私の経験からすると、才能のないことを人の10倍がんばったとしても、人並みがやっと。ややもすれば、人並みになれないことも。

でも才能のあることを10倍がんばれば、100倍の結果を出せると思うのです。

ケアレスミスばかりの事務職時代

私は会社員時代に苦手な事務職に就いていました。

自分でも嫌になるほどケアレスミスが多く、周りにも迷惑をかけてばかり。そこで、ミスした数を手帳につけてみることにしました。

自分の“へっぽこさ”を数値化して記録することにより、注意力が高まるのでは、と思ったからです。今日が5つなら、明日は4つに減らす努力をすればいい。

でも、ミスをするたびに「あぁ、またやってしまった」と、自己嫌悪感が募るいっぽう。

自分で自分を監視しているようで、あまり気持ちのいいものではありませんでした。しかも、成果は上がらなかったのです。

“これしかできない”と思って就いた事務職でしたが、どうやら私がやってはいけない仕事だったよう。ビジネスでは適材適所が大事だと言われていますから。

それにもかかわらず、なぜその会社で長く働けたのかというと、事務という職を飛び越えて、自分が熱中できる仕事を自ら生み出し、熱心に働いたからです。

主体的に行動した結果、それが上司から認められ、長く勤めることができました。

そのような経験から、才能は、熱中できることの中にあるのだと思うようになりました。

「好きなこと」に秘められた力

“好きなこと”はやっているだけで楽しく、集中力や創造性も高まって幸福感を得られます。時間を忘れて目の前のことに没頭できるし、たとえうまくいかなくても、苦にならないから継続しやすい。

じつは、これってとてもすごいこと。


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「始めたい人1万人、始める人100人、続ける人1人」という格言がありますが、それほど継続することは難しいということでしょう。

途中でやめてしまう理由の多くは、うまくいかない場面に遭遇したときのはず。それを回避できる力が“好きなこと”にはあるのです。

高校や大学を卒業し、一度も働いた経験がないまま選んだ会社が、自分の才能を生かせる場所だったという人は、いったいどれくらいいるでしょうか。

働いてみて、どうしようもないしんどさを感じたり、モヤモヤとした違和感が生じてしまうなら、あなたの才能はほかのところにあるのかもしれません。

たまたまの巡り合わせで仕事を選ぶのではなく、いま一度、熱中できること、すなわち“好きなこと”を思い出してみましょう。

「アメリカ合衆国建国の父」と呼ばれる政治家のベンジャミン・フランクリンも、「才能を隠してはならない。それは使うためにつくられたものだ。日陰に置かれた日時計にいったい何の意味があるのだろう」という言葉を残しています。

人にはそれぞれに、楽しく努力できる場所があるはず。

50代からの仕事の選び方

また、50代からの仕事の選び方としては、向き不向きはもちろん、その職種が今の時代にマッチしているかや、自分の体力や精神力との照らし合わせも肝心。

今までは“生活”のために働くライスワーカーだったとしても、これから“好きなこと”を仕事にするライクワーカーにも、“使命感”を持って働くライフワーカーにだってなれます。

むしろ、人生を折り返した今だからこそ、若いときより自分の生かし方を知っているはず。

そうとらえてみると、働く意欲が湧いてはきませんか。

※本稿は、『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』(扶桑社)の一部を再編集したものです。