おい、聞いていた話と違うぞ!新NISAで投資デビュー「退職金2,000万円」を全額つぎ込む60歳定年サラリーマン、「日経平均大暴落」に悶絶
パリ五輪で盛り上がっているなか、「オリンピックどころではない!」と気が気でない投資家も多い株価の大幅下落。なかでも今年、新NISAスタートと同時に投資デビューを飾った人たちにとっては、初めての試練ともいうべき大事件で、顔面蒼白になっている人も多いようです。
史上2番目の下落幅を記録!株価暴落で戦々恐々とする投資家たち
8月5日の日経平均株価は、前週末比660円34銭安の3万5,249円36銭と3日続落してスタート。さらに5日10時現在、下げ幅は2,500円を超え、3万3,000円台。今年1月上旬以来、約7ヵ月ぶりの安値水準となりました。
円高の進行や米景気の先行き不安を背景に、8月2日の日経平均株価は急落し、2,216円安と史上2番目となる下落幅を記録。ちなみに、これまで最も下げ幅が大きかったのは1987年10月20日。米国株急落が世界に飛び火した「ブラックマンデー」によるもので、前日から3,836円安。下落率は14.9%。
さらに5日午後の取引でも下落は続き、終値は3万1,458円.42銭。4,451円28銭安となり、ブラックマンデー超えの史上最大の下げ幅となりました。
そんな株価の大暴落に顔面蒼白にしている人も。今年、60歳定年を迎えた男性もそのひとり。
――おいおい、聞いていた話と違うぞ!
男性は何を聞いていたのかというと、
・まだまだ株価はあがる。この機会を逃してはいけない
・新NISAを始めるなら、いましかない
・退職金を運用して老後に備えるべき
男性は40年間勤めていた会社で定年を迎え、2,000万円ほどの退職金を手にしました。男性の会社では、退職金を一時金として受け取る方法と、年金として受け取る方法のどちらも選ぶことができ、男性は一時金として一括で受け取ることを選択したといいます。
男性は定年後も再雇用制度により、これまでの会社で勤務。ただ正社員から嘱託社員に変わり、給与は月40万円→月25万円。賞与も正社員時代と比べて大幅に下がり、年収にするとそれまでの半分程度に。
――収入が大きく減ることは聞いていたが
老後に向けて、コツコツと貯金をしてきた男性ですが、それまで年齢と共に収入があがっていくことしか経験のなかったため、大きく収入が減る事実に大きな不安に襲われたといいます。
そんなとき、退職金の振込先である金融機関から1本の電話。それは退職金を手にした人を対象にした「資産形成セミナー」へのお誘い。男性は藁にも縋る思いで参加を決めたといいます。
退職金全額を使って「新NISAで投資デビュー」という暴挙に出てしまった
セミナーで聞くことができたのは、昨今の経済状況と退職金の運用について。そこで耳にしたことはあったものの、何かよく分からなかったNISA制度について詳しく知ることができました。
それまで投資など自分には関係のない話だと考えていた男性。しかし老後の安泰を考えるのであれば、さらなる資産形成を考えるべき……「よしっ!」と一大決心をし、新NISAで投資デビューを果たします。
――初心者なら日経平均に連動するインデックスファンドがおすすめ
そんなアドバイス通り、投資信託を購入した男性。順調な滑り出しに見えましたが、ここにきて株価が大暴落。顔面蒼白になり、悲痛な言葉を綴っています。
多くの投資家に衝撃を与えている株価の大幅下落ですが、男性はあろうことか、新NISAの年間投資枠の上限いっぱいを使い、さらに退職金のほぼすべてを投資に回してしまったらしく、気が気でない様子。「もうダメだ、全部売る!」と完全にパニック状態に陥っています。
退職金の運用でよくある失敗といえば、
・勧められた金融商品を理解せずに購入してしまう
・退職金の全額を一度に運用してしまう
・退職後の支出入を考慮せずに投資してしまう
特に退職金で投資デビューというケースでは、日々の値動きに一喜一憂しがち。「何も手につかない……」と、免疫がない人ほど、ドツボにハマってしまうことは珍しいことではありません。
また怪しい詐欺まがいの投資に引っ掛かってしまう人も。最近はSNSを駆使した投資詐欺が増加傾向だといいます。警察庁が発表した『令和6年1月〜3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』によると、今年3ヵ月の間に、報告件数は1,700件、被害総額は実に219億円。男女ともに50〜60代の被害が多く、半数以上を占めています。
退職金の全額を投資に回すという極端な行動に出てしまった男性。今回の株価暴落もひとつの勉強だと思って、堅実な資産形成を進めていってほしいものです。
[参照]
警察庁『令和6年1月〜3月におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』