Image: Danielle Dufault/Royal Ontario Museum|タコシェルのような形をしたオダライアのイラスト

約5億年前、タコスあるいはホットドッグのような見た目の海棲動物が生息していました。オダライア・アラタ(Odaraia alata)は、タコシェルのような背甲が特徴的な化石節足動物。発見されたのは100年以上前になりますが、その分類や生態については不明な点が残っていました。

オダライアについてわかったこと

先日Proceedings of the Royal Society Bに掲載された研究論文は、オダライアが大顎を持つ節足動物の分類群である大顎類に属する動物だと位置づけています。

それだけでなく、オダライアは上下逆さまに泳ぎ、30対の肢に生えているトゲは水中で餌を捕らえるために用いられていた可能性があることも明らかになりました。

(オダライアが)逆さまに泳いでいたと考えるのは、私たちが初めてではありません。

と、トロント大学の古生物学者で論文の筆頭著者Alejandro Izquierdo-López氏は米Gizmodoへのメールで述べています。

今ではこの仮説が、オダライアはトゲだらけの肢を使って水柱環境で食物を捉えていたという私たちの新しい発見と合致すると考えます。

カンブリア紀の化石が眠る地層

この生き物が発見されたバージェス頁岩は、カナディアン・ロッキーにある化石地層で、5億年ほど前のカンブリア紀には古代の海底の一部だった場所。ここには軟部組織など古代生物の脆い箇所が保存されているため、古生物学者らは古代の生き物について精密にそして鋭く観察できます。

今回の研究でチームは、既知のオダライアの標本の約半数にあたる150個ほどの標本を調べました。

(背甲は)非常に柔らかかったわけでも、非常に硬かったわけでもないと考えています。

とIzquierdo-López氏は言います。

おそらくスーパーマーケットで手に入る小エビやエビのような感じだったのでしょう。

とのこと。

カンブリア紀の海は、現在の基準で見れば奇妙な姿の生き物であふれていました。約5億7000万〜5億3000万年前はカンブリア爆発として知られる時期で、世界中の海に多様な生命が急激に増えたのです。

バージェス頁岩では、現在も発見と研究が続いている

体長約20cmのオダライアを含め多くのカンブリア紀の生物の化石が、バージェス頁岩に保存されています。2021年にはある研究チームがティタノコリス(Titanokorys gainesi)を発見したと発表。2019年にはハン・ソロの「ミレニアム・ファルコン」を彷彿とさせる甲皮をもつ生物が、そのことに因んだ名を付けられています。

バージェス頁岩は古生物学的な情報の宝の山であり続けています。

と、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館(ROM)の古生物学者で共著者Jean-Bernard Caron氏は、博物館のリリースのなかで語っています。

トクンミアとワプティアといった素晴らしい化石動物の研究をROMで行なってきたおかげで、大顎類の初期の進化については結構わかっています。しかしながら、オダライアのような他の種は謎に包まれたままでした。

研究チームはオダライアの大顎だけでなく、肢とトゲも詳しく分析しています。魚網のように絡み合って餌食を捕らえていたトゲは、オダライアが底生環境から水柱環境へと移る際に役立っていた可能性があると、彼らは推測していました。

今後もバージェス頁岩からはカンブリア紀の生物多様性を明らかにする化石が発掘されそうですが、今回の研究が示すように既存の標本にもはまだ発見されていない事柄がたくさんありそうです。

Source: Understanding Evolution, Atlas Obscura, EurekAlert!,

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新種の古代ヘビは全長15m以上もあったようです