スイス・ジュネーブ近郊のヴェルニエで、広告宣伝用の看板を立てることを禁止する条例が可決されました。この条例をめぐっては、一部の反対派が裁判所に停止を求めていましたが、最高裁判所はこの訴えを却下しています。

Verbot kommerzieller Plakatwerbung auf öffentlichem Grund ist grundrechtskonform

(PDFファイル)https://www.bger.ch/files/live/sites/bger/files/pdf/de/2c_0036_2023_2024_07_05_T_d_11_53_43.pdf

Switzerland: Zurich, Bern Consider Billboard Advertising Bans - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-07-26/zurich-bern-consider-billboard-bans-after-vernier-outlaws-visual-pollution



スイス緑の党のマティアス・ブッシュベック市議会議員は「私たちは、街に看板があることに対する好況の利益を認識していません。広告は消費者に対して単に不必要な出費を強いるよう助長しています」と主張しており「私たちは今回の条例で、不必要な出費と戦いたいと思っています」と述べています。

広告宣伝用の看板が撤去されることに反対する一部の人々は、措置の停止を求めて裁判所に訴えています。しかし、2024年7月に最高裁判所は反対派による控訴を棄却。最高裁判所の判事は「ヴェルニエでのこの施策は、自由競争に影響を与えることはなく、代わりに『視覚的汚染を減らす』ことが可能なほか、市民に『望ましくない広告をオプトアウトする機会』を与えています」と裁定しました。



最高裁判所の裁定により、これまでヴェルニエに設置されていた看板172個のうち4分の3以上が町から撤去され、残りは文化やスポーツの広告に利用できるという決定が固まっています。今回の条例は、私有地に取り付けられた広告を含め、公有地から見える全ての広告に適用されるとのこと。

スイスの首都ベルンやチューリッヒなどでも同様の条例の制定が進んでおり、ヴェルニエでの決定は広告宣伝用の看板の撤去に向けた第一歩となることが指摘されています。しかし、スイスの広告業界は約4億スイスフラン(約690億円)もの価値があると(PDFファイル)推定されており、今回の条例の制定はこれらの業界にリスクをもたらす可能性があります。

スイスの広告業界団体のマルクス・エルレ会長は「広告宣伝用の看板が禁止されるとGoogleやMetaのような大手インターネット企業にお金が流れる可能性があります。また、オンライン広告は看板の設置よりもはるかにエネルギーを消費します」と批判しました。



また、ヴェルニエの左派政治家グループは「広告は、人々が以前には知らなかったニーズを作り出すことを意図しています」と述べ、今回の条例の制定に反対しています。

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