イタリアでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)の日程を終え、報道陣の取材に応じる岸田文雄首相=2024年6月15日午後0時50分、イタリア南部プーリア州、関田航撮影

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 在ロシア日本大使館は21日、日本外務省の中込正志欧州局長がロシア外務省を訪れ、日本などを担当するリュドミラ・ボロビヨワ・アジア第3局長と会談したと発表した。

 ウクライナ侵攻後に停止した北方墓参や北方四島周辺での日本漁船の安全操業の早期再開を申し入れたとしている。

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 2022年2月のウクライナ侵攻後、外務省の局長級がロシアを訪問するのは初めて。ロシア外務省は、日本側から働きかけがあったとしている。

 日本大使館の発表によると、中込氏は「ウクライナ侵略は明確な国際法違反である」として、侵略の即時停止を要求。19日にロシアのプーチン大統領が訪問したばかりの北朝鮮との軍事協力の強化についても、日本側の懸念を伝えた。

 日本大使館によると、中込氏は、大使館員との意見交換のためモスクワを訪れていたという。

 これに対し、ロシア外務省は「岸田政権の敵対的な政策により両国の関係は前例がない水準まで悪化した」と日本を批判。北朝鮮との関係発展への批判は受け入れられないとし、ユーラシア大陸に新たな安全保障体制をつくるプーチン氏の考えを伝えたという。

 日本政府はロシアのウクライナ侵攻後、米欧と協調して対ロシア制裁を導入。これに対し、ロシアは日本を「非友好国」に指定した。双方が外交官を国外追放するなど関係が悪化し、北方墓参など日ロ協力の枠組みも停止している。