船橋競馬場の新スタンドに設置された特別観覧席(c)netkeiba

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 2020年12月より大規模改修工事が行われてきた船橋競馬場の新スタンドがこのほど完成し、4月29日(祝・月)にフルオープンした。旧スタンドは67年から76年に建設され、老朽化していたため施設を再整備。「街との共生」をコンセプトに老若男女、多くの人々が楽しめる場所へと変貌を遂げようとしている。

 今回共用を開始した新スタンドは5階建て。旧スタンドに比べて規模は小さくなったものの、ベビールームや各階にバリアフリートイレを備え、ユニバーサルデザインに配慮した施設となった。特別観覧席もモニター付きの座席タイプのものから、カーペット敷で自宅のリビングを思い浮かべるようなフラットルームなど多彩に。加えて馬場前には芝生エリアもでき、パーク化をはかっている。また災害時に300人が3日間過ごせるようなつくりにし、地域の防災拠点としての役割も担う。

 今回のリニューアルに際し、大切にしたのは「いかに競馬場に来ていただくか、地域の方に楽しんでいただくかでした」と話すのは、株式会社よみうりランド船橋競馬事業部施設課の山田俊彦さん。以前は外に向けたアピールが足りない比較的内向きな構造だったが、改善を図ろうとしている。最たる例として挙げるのが今年度実施する新入場門の設置である。

「今回、入場門を大型の商業施設の前につくることでお客さまの来やすい環境を用意します。またゴール前に関係者のエリアが多かったものが、コンパクトになったスタンド側に移設することで芝生エリアなどを用意し、競馬以外の方にも来ていただけるようにしたのが特徴かと思います」

 現在の入場門は京成電鉄の船橋競馬場駅の方を向いているが、JR京葉線の南船橋駅よりのショッピングモールに面した形で設置。パドックビジョンも門から望めるように用意し、気軽に競馬場を訪ねることができる環境を整備する。

 また当地には競馬場から目と鼻の先に「LaLa arena TOKYO-BAY」が5月29日に開業する。バスケットボールBリーグの千葉ジェッツがホームアリーナとして使用し、音楽ライブなど様々なイベントが行われる予定の多目的アリーナ。山田さんによると、街の活性化のため「地域の会社さんと一緒にやっていこうという動きは少しずつ出ています」という。

 地域活性化が課題として議論される昨今、船橋競馬場はまさに地域の「エンタメ施設」の一つとして進化中。今回のリニューアルは街にどのような効果をもたらすのだろうか。競馬が社会課題解決の一助になることを願いたい。