近年のAI普及に伴って、AI処理に優れるNVIDIAのGPUのシェアが急速に拡大しており、2023年のデータセンター向けGPU市場におけるNVIDIA製品のシェアが98%に達したことも報告されています。さらにNVIDIAが、企業における特定のニーズに対応できる独自のチップを開発するためのビジネスユニットを構築しており、約300億ドル(約4兆4000万円)規模のカスタムチップ市場に参入する見込みであることが報じられています。

Exclusive: Nvidia pursues $30 billion custom chip opportunity with new unit | Reuters

https://www.reuters.com/technology/nvidia-chases-30-billion-custom-chip-market-with-new-unit-sources-2024-02-09/



Nvidia reportedly forms unit to peddle IP to cloud providers • The Register

https://www.theregister.com/2024/02/09/nvidia_custom_silicon/

Nvidia to Go After Custom AI Chip Market | Extremetech

https://www.extremetech.com/computing/nvidia-to-go-after-custom-ai-chip-market

Nvidia’s market value has surpassed Amazon’s | VGC

https://www.videogameschronicle.com/news/chipmaker-nvidias-market-value-has-surpassed-amazons/

NVIDIAはこれまで、データセンター向けGPUとして「NVIDIA H100 Tensorコア GPU」や「NVIDIA A100 Tensorコア GPU」などの販売を行い、AIプロセッサ市場におけるシェアを急速に拡大してきました。

実際、2023年のデータセンター向けGPU市場におけるNVIDIAのシェアが98%に達したとの調査結果が2024年2月に報告されています。

NVIDIAがデータセンター向けGPU市場で98%のシェアを独占していることが判明、AI性能が明暗を分ける結果に - GIGAZINE



AIが興隆する直前、2022年10月時点でのNVIDIAの時価総額は3000億ドル(約44兆円)でしたが、AI分野での優位性が追い風となったNVIDIAの時価総額は、2024年2月11日の時点で一時1兆8300億ドル(約273兆円)にまで達しました。これは、Googleの親会社であるAlphabetの1兆8200億ドル(約272兆円)やAmazonの1兆8000億ドル(約269兆円)を上回り、Microsoft、Apple、Saudi Aramcoに次ぐ世界第4位の時価総額です。

さらにNVIDIAは、クラウドコンピューティングやその他の企業によるカスタムチップの開発を支援する新しいビジネスユニットを社内に設立したとされており、これによって各企業の要件に合わせた特注のチップを製造することができるようになります。

NVIDIAのH100やA100のようなデータセンター向けGPUは確かに高性能ですが、汎用(はんよう)的であるため、全ての企業の要求には完全に一致しません。そこで、AmazonやGoogle、Metaなどの企業は自社の環境に適応する独自のチップを開発することで、自社のニーズを満たそうとする動きが見られます。また、MarvellやBroadcomなどの半導体メーカーは、企業向けにチップのカスタマイズを行う事業に取り組んでおり、カスタムチップ市場の市場価値は約300億ドルにも上ると言われています。

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ロイターによると、NVIDIAはカスタムチップの提供に向けて、MetaやGoogle、Amazon、OpenAIなどの企業との会合を行っているとのこと。また、一部の通信事業者や自動車メーカー、ビデオゲーム開発企業に対してもNVIDIAがカスタムチップの売り込みを行っていることが報じられています。

なお、NVIDIAの広報担当者は今回の報道についてコメントを控えています。