2023年12月の月例更新プログラムに期待 - 阿久津良和のWindows Weekly Report
複数のPC環境で検証していないため、あくまで「おま環」話としてご笑覧いただきたいのだが、Windows 11に移行してからというもの多くのトラブルに悩まされてきた。初期ビルドはエクスプローラーが安定せず、Windows 10では即時動作したコピー&ペーストに待たされた。場合によってはExplorer.exeが落ちることも。最近のビルドは落ち着いたように感じるが、エクスプローラーのタブ操作は緩慢だ。
合わせて苦悩したのはOS全体のパフォーマンス低下。筆者は長年、SysinternalsのProcess Explorerを愛用しているが、タスクバーに並んだCPU Historyアイコンは静かなままだ。だが、タスクマネージャーの「プロセス」からCPU負荷率で並べ替えると、ファイル操作時にウイルス対策の実体「Antimalware Service Executable(MsMpEng.exe)」がPCに負荷をかけ、Diagnostic Policy Serviceサービスが何度もCPUを占有した。これはWindowsコンポーネントの問題を検出する「診断ポリシーサービス」らしいのだが、過去のWindowsで気にすることは皆無だった。
原因として、システム要件を満たさないPCでWindows 11を使用しているからだと、半ば自分自身を納得させていた。ただ、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewを導入しているSurface Laptop 4(AMD Ryzen 7モデル)は、肌感覚ながらプロセスのCPU占有率は低い。そしてCanaryチャネルのWindows 11 Insider Preview導入したSurface Pro 7は、PC性能の影響なのか全体的な応答性はイマイチではあるものの、前述のようなトラブルは確認できなかった。
このまま“だましだまし”使っていこうと思っていた矢先、KB5032288プレビューが登場したので適用したところ、前述したトラブルの一部が解決した。速くなった……? いや、Windows 10時代のパフォーマンスに戻ったという表現が正しいだろう。
CPUリソース消費の上位に並ぶDiagnostic Policy Service
MsMpEng.exeはすぐに処理を終えるようになった一方で、Diagnostic Policy ServiceがCPUに負荷をかける現象は改善していない。それでも、Windows 11 バージョン22H2 ビルド22621.2792の環境でタスクマネージャーを長く観察していると、Diagnostic Policy Serviceのプロセスが自然に終了し、アイドル状態でもCPU使用率は以前の50%前後から約10%まで下がった。KB5032288プレビューの説明に並んだ変更点を確認しても、応答性が改善した理由は不明なのだが、2023年12月にリリースされるであろう月例更新プログラムは期待大だ。
気になる部分は残っている。Windowsスポットライトの操作だ。デスクトップに現れる「この写真について詳しい情報」アイコンのコンテキストメニューから画像を切り替えられたが、現在はMicrosoft Bingで簡単な説明が現れる。ここでもA/Bテストを行っているのか、別の安定版Windows 11環境も、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewと同じメニューが現れた。個人的に、動物の写真や美しい風景以外が現れたときは画像を切り替えていたのだが、新Windowsスポットライトメニューで選べるのは4枚の写真から。今後はどうすればいいのだろうか。
以前のWindowsスポットライトアイコン
シンプルなコンテキストメニューに切り替わった同アイコン
一部環境では解放済みの新Windowsスポットライトメニュー
そしてWindows 11の応答性低下に関わる話題だが、タスクマネージャーとProcess Explorerが示すCPU使用率で差異が確認できる。前述のとおりProcess ExplorerのCPU Historyアイコンは静かなのだが、タスクマネージャーのアイコンは高いCPU使用率を示しているのだ。改めてWindows 10でも比較してみたところ両者に大差は見られず、Windows 11固有の問題なのか、Process ExplorerとタスクマネージャーでCPU使用率の検出方法が異なるのか――。
Process ExplorerのCPU Historyアイコンによるツールチップ
タスクマネージャーのアイコンによるツールチップ
Windows 11 バージョン23H2は、OS全体の性能低下が話題になっているそうだ。筆者の手元にあるPCだと、バージョン23H2はCanary版Windows 11 Insider Previewのみ。前述のPC性能と比較するマシンを用意していないため評価はできないのだが、Reeditのスレッドでは、Microsoft Defenderのリセットなど設定変更の手順を紹介し、バージョン22H2と同様のパフォーマンスを回復したと記している。
長くWindowsを使っていると、更新プログラムの当たり外れに振り回されることは珍しくない。多くのユーザーは今後もWindowsを使い続けるだろうから、月例の更新プログラムで得られるWindows 11新ビルドの動向に注目してほしい。
著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら
原因として、システム要件を満たさないPCでWindows 11を使用しているからだと、半ば自分自身を納得させていた。ただ、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewを導入しているSurface Laptop 4(AMD Ryzen 7モデル)は、肌感覚ながらプロセスのCPU占有率は低い。そしてCanaryチャネルのWindows 11 Insider Preview導入したSurface Pro 7は、PC性能の影響なのか全体的な応答性はイマイチではあるものの、前述のようなトラブルは確認できなかった。
このまま“だましだまし”使っていこうと思っていた矢先、KB5032288プレビューが登場したので適用したところ、前述したトラブルの一部が解決した。速くなった……? いや、Windows 10時代のパフォーマンスに戻ったという表現が正しいだろう。
CPUリソース消費の上位に並ぶDiagnostic Policy Service
MsMpEng.exeはすぐに処理を終えるようになった一方で、Diagnostic Policy ServiceがCPUに負荷をかける現象は改善していない。それでも、Windows 11 バージョン22H2 ビルド22621.2792の環境でタスクマネージャーを長く観察していると、Diagnostic Policy Serviceのプロセスが自然に終了し、アイドル状態でもCPU使用率は以前の50%前後から約10%まで下がった。KB5032288プレビューの説明に並んだ変更点を確認しても、応答性が改善した理由は不明なのだが、2023年12月にリリースされるであろう月例更新プログラムは期待大だ。
気になる部分は残っている。Windowsスポットライトの操作だ。デスクトップに現れる「この写真について詳しい情報」アイコンのコンテキストメニューから画像を切り替えられたが、現在はMicrosoft Bingで簡単な説明が現れる。ここでもA/Bテストを行っているのか、別の安定版Windows 11環境も、DevチャネルのWindows 11 Insider Previewと同じメニューが現れた。個人的に、動物の写真や美しい風景以外が現れたときは画像を切り替えていたのだが、新Windowsスポットライトメニューで選べるのは4枚の写真から。今後はどうすればいいのだろうか。
以前のWindowsスポットライトアイコン
シンプルなコンテキストメニューに切り替わった同アイコン
一部環境では解放済みの新Windowsスポットライトメニュー
そしてWindows 11の応答性低下に関わる話題だが、タスクマネージャーとProcess Explorerが示すCPU使用率で差異が確認できる。前述のとおりProcess ExplorerのCPU Historyアイコンは静かなのだが、タスクマネージャーのアイコンは高いCPU使用率を示しているのだ。改めてWindows 10でも比較してみたところ両者に大差は見られず、Windows 11固有の問題なのか、Process ExplorerとタスクマネージャーでCPU使用率の検出方法が異なるのか――。
Process ExplorerのCPU Historyアイコンによるツールチップ
タスクマネージャーのアイコンによるツールチップ
Windows 11 バージョン23H2は、OS全体の性能低下が話題になっているそうだ。筆者の手元にあるPCだと、バージョン23H2はCanary版Windows 11 Insider Previewのみ。前述のPC性能と比較するマシンを用意していないため評価はできないのだが、Reeditのスレッドでは、Microsoft Defenderのリセットなど設定変更の手順を紹介し、バージョン22H2と同様のパフォーマンスを回復したと記している。
長くWindowsを使っていると、更新プログラムの当たり外れに振り回されることは珍しくない。多くのユーザーは今後もWindowsを使い続けるだろうから、月例の更新プログラムで得られるWindows 11新ビルドの動向に注目してほしい。
著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら