忘年会や新年会などに誘われても、本当に楽しめるかどうか不安に思う内向型の人は多いものです(写真:ryanking999/PIXTA)

忘年会や新年会などの機会が増える年末年始ですが、ひとりで過ごすのが好きな内向的な性格(内向型)の人は「楽しめるかどうか」「疲れないか」不安に思うかもしれません。

内向型の生きづらさを解消し、充実した人生を送るためのヒントを指南するフランス出身のビジネスコーチで著述家のティボ・ムリス氏は、著書『「ひとりが好きな人」の上手な生き方』の中で、行きたくないパーティーには行かなくていい、と述べています。

同書から一部を抜粋、再編集し、内向型の人がパーティーへの参加を「断る」ことについてご紹介します。

行くべきかどうかを見極める

まず、パーティーなどの社交の場へ本当に行きたいかどうかを見極める必要がある。ニューヨーク市立大学の心理学者ローリー・ヘルゴー教授は、パーティーに行くかどうかを迷ったときに役立つアドバイスをしてくれている。かいつまんで紹介しよう。

● パーティーの規模はどれくらいか?

パーティーの規模が大きくなると、内向型の人にとってはたいてい疲れが増す。

● 会場の雰囲気はどのようなものか?

屋内か屋外か? 空いているか混雑しているか? 騒がしいか静かか?

たとえば、屋外のパーティーなら休憩をとって散策するのに適しているし、タイミングを見計らって立ち去るのも容易だが、屋内のパーティーでは会場に閉じ込められるので、疲れやすいかもしれない。

● 参加者たちを知っているか?

参加している人たちの大半を知っているなら、気分的に楽である。当然、誰も知らない集まりに出かけるのは精神的に疲れる。

● しゃべること以外の活動にかかわるか?

しゃべること以外の活動にかかわれるなら、人と接するのが楽になるから居心地よく感じるだろう。しかし、もしカクテルパーティーのように立ったまま、誰かとずっとしゃべらなければならないなら、苦痛を感じるかもしれない。

● 本当に行きたいか?

これまでの質問に対する答えをもとに、「このパーティーに対してどれだけワクワクしているか?」と自分に問いかけよう。言いかえると、もし行かなかったら後悔するかどうかだ。「行かないと損をする」という不安を感じるかもしれないので、それを念頭において決断をくだそう。

断ることを覚える

行くかどうか決心がつかない(あるいは、行きたくない)パーティーへの適切な対処策は、行かないことだ。これで問題の大半は解決する。

単純すぎるかもしれないが、あまりにも多くの人がパーティーへの誘いを断るのに苦労し、行きたくもないパーティーに参加して後悔しているのが実情だ。


まず理解しておかなければならないのは、パーティーへの参加は義務ではないということである。あなたに無理やりパーティーに参加させる権利は誰にもない。たいていの場合、パーティーに参加することが、楽しく過ごすための唯一の方法のように思えるかもしれない。

あなたのことはわからないが、私の場合、1人か2人の気のおけない仲間とお茶を飲みながら語り合うほうが、パーティーに行くよりも大きな満足感が得られる。また、ひとりになって良書を読むことも深い充実感をもたらしてくれる。

パーティーの楽しさは誇張されているきらいがあり、多くの人(たいてい内向型の人)はパーティーを楽しんでいるふりをしているだけで、実際にはあまり楽しんでいないのではないだろうか。

あなたがパーティーを楽しんでいるかどうかは知らないが、もし楽しんでいないなら、楽しんでいるふりをするのはやめたほうがいい。実際、多くの人はパーティーを楽しんでいるふりをして貴重な時間を浪費している。

自分の時間だから、それを何に使おうと、自発的であるかぎり素晴らしいことだ。ただし、楽しんでいるふりをする必要はないと私は思う。

「金曜の夜にパブで一緒にビールを飲もう」という友人からの誘いを断ることに決めたとしよう。だが、どうやってその気持ちを相手に伝えればいいかわからない。友人は「一緒に飲めば楽しく過ごせるからワクワクするよ」と言っている。

では、その友人は「一緒にわが家で静かに読書をしよう」というあなたの誘いを受け入れて、「面白そうな本だからワクワクするよ」と言うだろうか?

興味のない誘いを断ることを、自分を大切にしている証しとみなそう。興味のない誘いを断ることについて謝っているなら、外向型の人があなたに対する扱いを変えてくれることは期待できない。

あなたが気まずそうに謝っているかぎり、外向型の人はひとりで過ごしたいというあなたの本心を理解できないからだ。

上手に断るための5つのヒント

友人からのパーティーへの誘いを断るのに役立つ提案を紹介しよう。

1. 謝るのをやめる

自分の幸せを最大化するために時間を使いたいと願っていることについて謝る必要はまったくない。逆の立場から考えてみよう。あなたは外向型の人がパーティーを楽しもうとするのを止めないだろう。それは本人の自由だからだ。

とすれば、あなたも自分の自由を他人が制限しようとするのを許可してはいけない。「行きたいけれど、ちょっと事情があって難しい」と申し訳なさそうに言う必要はない。そんなことをしているかぎり、あなたは周囲の人から誘われ続けることになる。

2. 自分が内向型であることを伝える


その際、自分のニーズではなく願望をポジティブな表現で伝えることが大切だ。たとえば「今夜、家でゆっくり休む必要がある」という言い方ではなく、「今夜、好きな本を読むのが楽しみだ」とか「今夜は家でゆっくりくつろぎたい」という言い方をすると、自分の気持ちが相手に伝わりやすい。

3. 正直になる

自分に敬意を払って内向的な性格を受け入れ、それを正直に伝えると、友人たちもたいていそれを受け入れてくれる。

覚えておこう。外向型の人の多くは内向性についてよく理解していない。だが、いったんあなたの内向的な性格を理解したら、家にいるというあなたの選択を支持してくれるだけでなく、パーティーでエネルギーをセーブするのを手伝ってくれるだろう。

たとえば、「私はパーティーが苦手で、しかも今日はとても疲れていて、家でくつろぎながら好きな本を読むのを楽しみにしている」と言うといい。


4. 代案を提示する

ときには友人たちと付き合いたいのだが、金曜の夜に騒がしい店で一緒に飲むのは苦痛かもしれない。もしそうなら、代案を提示するといい。

たとえば、「とても疲れているので、今夜はくつろぎながら好きな本を読みたいと思っている。でもあなたとの付き合いも大切なので、今度の日曜日に二人でお茶を飲みながらおしゃべりをしよう」と言うのも一案だ。

これは、友人たちと付き合いたいのだが、騒がしい場所ではなく静かな場所で会いたいと思っていることを伝える素晴らしい方法である。さらに、相手と深い話をしたいと思っていることを付け加えるといい。これは友情を大切にしたいという誠実な気持ちを友人に伝えるのに役立つ。

「ありがとう。でも…」と丁重に断る

5. 追加のアドバイス

外向性が標準とみなされる世の中で、内向型の人が自己主張をするのは難しい。多くの人が内向的な性格を直すべきものとみなしているのだからなおさらだ。

当然、内向型の人が自己主張をするには多少の訓練が必要になる。ひとりきりか友人と一緒に練習をしよう。

たとえば、興味のないイベントに参加するのを丁重に断るフレーズをいくつか用意するといい。自分に合った返事の仕方を選び、実際の会話で自信を持って使えるまでリハーサルをしよう。

次の具体例をもとにアレンジすると効果的だ。

● 「ありがとう。でも少人数の集まりのほうが好きなんだ」
● 「ありがとう。でも自分の目標に集中しているので、このタイミングで集中力を乱したくないんだ」
● 「ありがとう。でもパーティーには行きたくないんだ。少数の親しい人たちと深い話をするのが好きだから」

礼儀正しく振る舞いながら正直に思いを伝えるように工夫し、どういう結果になるか試してみよう。

(ティボ・ムリス : ビジネスコーチ・著述家)