フレッシュネスバーガー｢460円朝セット｣に驚く朝
フレッシュネスバーガーのモーニングセット。今回はその中から3メニューをご紹介します（写真は3メニュー分のフードを一緒に撮影したものです／筆者撮影）
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第36回となる今回、訪れたのは「フレッシュネスバーガー」です。
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飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが朝メニュー。いわゆる「モーニング」です。
集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回ご紹介するのは、ハンバーガーチェーン店舗数第7位。約160店舗を展開する、「フレッシュネスバーガー」のモーニングです。
全て500円以下、ワンコインで買えるお手頃価格に、こだわりがぎゅっと詰まった朝ごはんでした。
フレッシュネスバーガーのモーニングメニュー
（筆者撮影）
フレッシュネスバーガーの朝限定メニュー（筆者撮影）
「フレッシュネスバーガー」では、91店舗（2023年8月現在）がモーニングメニューを販売しています。提供時間は開店から午前11時まで。
朝限定メニューのドッグと、トールサイズのドリンクがセットになっています（※一部ドリンクを除く）。
下のほうに「Tサイズ」の文字。これだけでもなかなかのお得感です（筆者撮影）
ドッグは店内調理ですが、パウンドケーキは個包装の真空パックされたものでした。
・プレーンドッグセット 税込420円
・タマゴサラダドッグセット 税込460円
・レタスドッグセット 税込460円
・チーズドッグ（モーニング）セット 税込460円
・パウンドケーキセット 各税込420円
セットのドリンクは12種類から選べます。
・ドリップコーヒー（ホット）
・カフェアメリカーノ
・オーガニックティー（ホット）
・ローズヒップティー
・カモミールティー
・ドリップコーヒー（アイス）
・オーガニックティー（アイス）
・コカ・コーラ
・コカ・コーラZERO
・メロンソーダ
・スプライト
・オレンジジュース
ドリンクなしの、単品購入も可能です。「プレーンドッグ（単品価格税込250円）」「タマゴサラダドッグ（290円）」「レタスドッグ（290円）」「チーズドッグ（290円）」の4種類は、朝限定のメニューのため、値引率を割り出すことはできませんが、セット価格から単品価格を引くと、ドリンクは170円ということになります。
トールサイズのドリンクは、通常は税込290円から350円の商品のため、単品で買うよりも、最大180円値引きという、モーニングならではのお得な価格設定になっています。
フレッシュネスバーガーのモーニング チーズドッグ（モーニング）セット460円
たっぷりチーズがインパクト大。フレッシュネスバーガーのモーニング チーズドッグ（モーニング）セット460円（筆者撮影）
ソーセージがチーズ風呂に浸かっているような、なんともインパクトのあるビジュアル。
「チーズドッグ」は、パンに対してしっかりロングサイズのソーセージに、こってりとろけるチーズソースをたっぷりと。断面を見ても、ソースをケチってないのがひしひしと伝わります。
チーズソースたっぷり。お風呂から顔だけ出しているようなソーセージ（筆者撮影）
ソーセージはしっかりと焼いてあり香ばしく、噛むとプリッと皮がはじけて、口内にジューシーな肉汁が暴れ出します。白ワインの風味も豊かなチーズソースは、チェダーチーズをメインにしたミックスチーズで、オノマトペで表すと「トロトロジュワー」という食感。
パンはふわふわで柔らかいタイプでした。ソーセージとチーズソースのパンチのある味わいを優しく包み込みつつ、味わいに軽やかさをプラスしています。パンにチーズソースが染み込んだ部分もしっとりして美味。
断面を見てもチーズソースたっぷり。ふわふわパンに、ソーセージとチーズソースを挟んで（筆者撮影）
パンの切り口は、鉄板で軽く焼き目をつけてありました。芸が細かい。香ばしさがプラスされ小麦の風味が引き立ちます。
ドリップコーヒーは癖のない味わい
今回はホットの「ドリップコーヒー」をセットにしてオーダー。味に癖のない飲みやすいコーヒーです。こってりしたパンを食べてもたついた口内を、ホットコーヒーの苦味でリセットすると、華やかなアロマが鼻を抜けていきます。
筆者は「ドトールコーヒー」のモーニングメニューも好きなのですが、そちらが「コーヒーに合うサンドイッチ」を提供しているのと比べ、「フレッシュネスバーガー」は「ハンバーガーに合うコーヒー」を提供しているイメージ。決して主役ではありませんが、「おいしい」を引き立てる名脇役です。
食事を引き立てる、飲みやすい名脇役なホットコーヒー（筆者撮影）
「フレッシュネスバーガー」のドリンクのサイズ展開は、ショート、トール、グランデです。朝のセットドリンクは、小さいサイズというイメージがあったのですが、真ん中サイズのトールサイズがセットになっていて、たっぷりコーヒーが飲めるのは嬉しいポイントでした。
なお、こちらの「チーズドッグ（モーニング）」は朝メニューのみの取り扱いで、「フレッシュネスバーガー」のレギュラーメニューとして、税込460円で販売している「チーズドッグ」とは内容が異なりますのでご注意ください。
たまごフィリングぎっしりの、フレッシュネスバーガーのモーニング タマゴサラダドッグセット460円（筆者撮影）
「タマゴサラダドッグ」は、コンビニ各社でも取り扱いのある、コッペパンにゆでたまごをマッシュしたフィリングを詰めた人気お惣菜パンです。ただ、「フレッシュネスバーガー」の場合、たまごフィリングの量が半端ない。溢れ出さんばかりにこんもりと詰め込まれています。
あげ底で、切れ込みを浅くしているのではないかと疑い、半分に切ってみましたが、断面にもたまごがみっちり。
底までたまごフィリングが詰まった、ぜいたくタマゴサラダドッグ（筆者撮影）
フレッシュネスバーガーのモーニング タマゴサラダドッグセット460円
「チーズドッグ」にしても「タマゴサラダドッグ」にしても、ケチっていないのです。「これぐらい入ってたらいいのになぁ」と脳内で思い描いたような、たっぷりの具材でサラリと提供されるのです。
だからといって、ボリュームをウリにしている訳でもない。「フレッシュネスバーガー」のさりげなさがかっこよくて痺れます。
たまごフィリングの黄色と、レタスの緑のコントラストも美しい。持つとずっしり重さを感じます（筆者撮影）
タマゴサラダ部分の味付けはいたってシンプルで、具材はゆでたまごのみ。酸味を控えた柔らかいマヨネーズで和えて、塩こしょうで味付け。ゆでたまごは荒ごしで、大きめサイズの白身のかけらがプリプリっとして、口の中が幸せ。ほっくりとろりとした黄身部分との舌触りの対比が楽しめます。思わずほっぺがゆるむ、にんまりしてしまうような優しい味です。
そして驚いたことに、「チーズドッグ」と違うパンを使用していました。「タマゴサラダドッグ」のパンは、みっしり詰まったセミハードタイプのパンで、甘みも強く味が濃いのが特徴です。
ホットドッグ用とは別の生地を使うこだわりっぷり。パンの大きさも少し違います（筆者撮影）
なんと、こってり濃い味の「チーズドッグ」は、ふんわりパンで食べやすさをアップし、あっさりとした薄味のタマゴサラダには、みっしりパンで食べ応えと旨味をプラスしていたのです。小さなこだわりに、大きなプライドを感じずにはいられません。
フレッシュネスバーガーのモーニング パウンドケーキセット各420円
カフェメニューのような、フレッシュネスバーガーのモーニング パウンドケーキセット各420円（筆者撮影）
朝からがっつり食べたい訳じゃないけど、ちょっと小腹を満たしたい。そんなときにおすすめなのが「パウンドケーキセット」です。
味は
・バナナケーキ
・オレンジケーキ
・レモンポピーシードケーキ
の、3種類です。
洋酒がほんのり香る、しっとりとしたパウンドケーキ（筆者撮影）
筆者は「オレンジケーキ」をオーダーしました。利用した店舗にはベーカリーブースがあり、そこから自分でレジカウンターに持っていき購入しました。
オレンジピールが練り込まれたふんわりしっとりなパウンド生地は、柑橘の爽やかさと、オレンジの皮独特のほろ苦さがアクセント。洋菓子店で箱詰めで販売している、ギフトセットに入っているような、上品で洒落た味のパウンドケーキでした。
味への誠実な姿勢と同時に感じた不器用さ
今回利用したのは、43階建て高層オフィスビルのフードコート内にある店舗で、広々とした店内に、ゆったりと客席が配置されています。平日の朝8時のオープン直後に入店し、1時間ほど滞在しました。他の店舗はまだオープンしておらず、フロア全体がひっそりしています。
ランチタイムに来ると、いつも行列ができている繁盛店なのに、モーニングの利用客はごくわずか。1時間で10人ほどしかいませんでした。利用客は常連ばかりのようで、朝食を食べ終わると慣れた様子でノートパソコンを開き、思い思いの時間を過ごしています。
フレッシュネスバーガーには、ベーカリーコーナーが併設された店舗や、クレープを販売している店舗もあります（筆者撮影）
どうやら、モーニングを実施していることをオフィスビルの住人たちが気づいていないようなのです。店はガラス張りなのですが、朝の日差しと比べると店内は暗く、外から中をうかがうのは難しい状態です。
そういうところもなんとなく、「フレッシュネスバーガー」っぽいなと思いました。プロモーションよりもメニューの開発に重点を置いているところに、誠実さと不器用さを感じずにはいられません。
充電もOK。コンセント付きのカウンターもありました（筆者撮影）
真夏の強烈な朝の日差しの中、オフィスワーカーたちが店の外を汗だくで出勤していきます。この人たちが「フレッシュネスバーガー」のモーニングに気づいていないことをもったいなく思う気持ちも嘘ではないのですが、エアコンが利いた静かな空間で「チーズドッグ」を頬張る優越感も捨て難い、幸せなジレンマを抱えながらの朝ごはんとなりました。
編集部注：本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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（大木奈 ハル子 ： ブロガー・ライター）
