ディリゲントは、独BitwigのDAWソフト「Bitwig Studio」の最新版となるバージョン5を発表した。現在、ベータ版を配布中で、正式版のリリースは2023年第2四半期を予定。有効なアップグレード・プランを所有するBitwig Studioユーザーであれば、Bitwigアカウントページから無償でベータ版をダウンロードできる。

「Bitwig Studio 5」

バージョン5では、5つのマルチセグメント・エンベロープ・ジェネレーター(MSEG)を搭載。カスタムエンベロープ、オートメーションシェイプ、ループパターンなどを描画するツールで、Gridモジュール5種、モジュレーターとしても使用できる2種を用意している。「Segments」は、グローバルなタイムスケーリングとループモードを備えたエンベロープで、必要な数のポイントで独自のエンベロープを描画し、必要に応じてループさせられる。「Curves」は、ビートタイムやグルーヴに同期できるLFOモジュレーターとGridモジュールで、変化するビートグリッドに幾何学的パターンを描画することにより、独自のLFOを作成可能。「Scrawl」は、The GridとPolymerのためのアンチエイリアス・オシレーター。「Slopes」は、ステレオフェイズオプションを備えたThe Grid用のパターンシーケンサーだ。「Transfer」は、The Gridに入力されたオーディオやその他の信号を変換するためのウェーブシェイパーとなっている。

Segments

Curves

Scrawl

Slopes

Transfer

モジュレーションシステムでは、オーディオやCV信号を含むあらゆるコントロールソースが、あらゆるデバイスやプラグインに適用できる。これで、モジュレーターはデバイスに限定されず、ミキサーやプロジェクトコントロールも可能になる。また、ステップシーケンサーからオーディオサイドチェーン、エンベロープまで、40種類以上のモジュレーターを使用して、ミキサー全体をアニメートできるようになった。1つのLFOで、同じトラック上のデバイスや、トラックのパン、センド、その他のパラメーターをモジュレート可能だ。さらに、そのLFOをプロジェクトレベルに移せば、すべてのデバイス、チャンネルストリップ、トランスポートターゲットにもモジュレーションを付加できる。Fillボタンをサイドチェインしたり、プロジェクトのテンポをMSEGで制御するといったことも行える。モジュレーターでポップアウトエディターウィンドウを搭載しているのは、MSEGだけではなく、StepsとKeytrack+モジュレーター、The Gridのデータシーケンサーも、リサイズ可能なペインでの編集が可能になり、いくつかの新機能が追加されている。

新しい「クリップランチャー(Clip Launcher)」では、クリップを押して起動できる。また、指を離したときにクリップが止まるようにしたり、前に再生していたものに戻ったりするといったことも実行可能だ。これらはクリップの「次アクション(Next Action)」と「on Release」メニューから自由に設定が行える。

新しい「ALTトリガーオプション」では、クリップとシーンのトリガーを2つの方法から選択できる。デフォルトは、クリップをタップして(通常のトリガー)次の小節線で起動するか、ALTトリガーですぐに新しいクリップをレガートスタイルで入れ替えるかのどちらかになっている。プロジェクト全体のMAINトリガーとALTトリガーをまとめて設定することも可能で、クリップやシーンごとに設定をカスタマイズすることもできる。

新しい「ALTトリガーオプション」

また、すべてのトラックにリモート機能が用意されたことで、ミキサー画面では最も重要なパラメーターを俯瞰的に把握できるようになった。これにより、ミックスとパフォーマンスのコントロールをカスタマイズしたセットを構築できる。さらに新しいマッピングオプションにより、各種ハードウェアでシーンやクリップを起動することができるようになった。

すべてのトラックにリモート機能を用意

ブラウザーも刷新され、プラグイン、プリセット、ウェーブテーブル等の検索結果が、すべて一カ所に集まるようになっている。階層をなくした構造になっており、デバイス、プリセット、メディアやコンテンツの種類などを1つの画面で検索できる。

そのほか、オーディオをドラッグした瞬間から作業ができるようにする新しいオンセット検出機能など、基礎的な部分も改善されている。コントロール信号をモーフィングするための新しいWavetable LFOモジュレーター/Gridモジュールは、不規則なシェイプを作成するのに使える。

新しいオンセット検出機能、Wavetable LFOモジュレーター/Gridモジュールなど

対応OSは、macOS 10.14(Mojave)以上、Windows 7/8/10/11(64bitのみ)、Flatpakがインストールされた最新のディストリビューション、またはUbuntu 20.04以上で、いずれもSSE4.1に対応したCPUが必須となる。なお、本バージョンではスペイン語と韓国語のローカライズにも対応している。