3月16日、元参院議員の「ガーシー」こと東谷義和氏に、警視庁が暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)容疑などで逮捕状を請求したと報じられた。15日に、国会への欠席を続けたとして参院から除名処分を受けており、“不逮捕特権”を失った影響が出始めている。

「ガーシー氏は、選挙前の“公約”どおり、議員になってから一度も国会に出席することはありませんでした。当然、参院では懲罰委員会が開かれ、2月下旬には『議場での陳謝』を科しましたが、ガーシー氏は帰国せず、謝罪動画を国会に提出。しかし、受け取りを拒否されました。その結果、もっとも重い除名処分という結果になったのです」(国会担当記者)

 国会議員の除名は1951年以来、72年ぶりで、「国会欠席」をおもな理由とする除名は初めてだ。それもあってか、今回の除名処分はSNSで賛否を呼んでおり、世間に衝撃を与えている。

 そんななか、16日には実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏がTwitterを更新。《田中角栄は5年間国会に行かなくても除名されなかったが、ガーシーは半年も経たずに除名された。この不公平を自民党が嫌いでたまらない野党が全く指摘しないどころか喜んで賛成している茶番。》と皮肉った。

 実際に、故・田中角栄元首相は、1986年に総選挙でトップ当選するも、4年近くの任期で一度も登院できなかった。ただ、これは1985年2月に脳梗塞で倒れ、行動障害と言語障害を起こしていたことが理由だ。

 一方、ガーシー氏は帰国できない理由として「詐欺容疑で警察による捜査がおこなわれており、帰国すれば逮捕される恐れがある」「安倍さんのこと(銃撃事件)もあって、愉快犯を含めて、俺のことをなにかしようと思ってるヤツも出てくるやろうなって。ぶっちゃけ、めちゃくちゃ怖いです」と理由をあげてきた。

 田中元首相とガーシーでは「登院しなかった」という事実は同じだが、理由はまったく異なる。SNSでは、堀江氏のツイートにツッコミが続出している。

田中角栄は脳梗塞入院で行けなかった。ガーシーは逮捕が怖いから行かなかった。なぜ5年間行かなかったかの理由を述べないのは卑怯な比較。調べもせずに賛同も多い。だからガーシーみたいなのがはびこる。》

田中角栄とガーシーを同列に並べて語るのは無理筋。角栄は正当な理由(病気、療養、事故、忌引など)があった一方で、ガーシーが正当な理由なく一度も登院してないというのは議員の職務を果たしておらず除名に値する。正当な理由があれば登院しないことは認められるし、除名にされない。》

田中角栄氏は除名の声も上がらなかったし、もし上がっても満場一致で除名にならなかったと思う。ガーシー元議員は除名の声が上がり、満場一致で除名が決まったのだから不公平ではないだろうと思う。しかもいきなり除名でなく段階を踏んだのだから、かなり甘々の温情的のように思う。》

 両者は欠席の理由だけでなく、国会で見せてきた実績も大きく異なる。つねに現代社会へ疑問を投げかけてきた堀江氏だが、今回ばかりは首をひねる人のほうが多かったようだ。