うっかりでは許されない…「高速出入口の誤進入」なぜ減らない? 要因に「ナビアプリ」各社の対策いかに

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「誤進入」の原因はスマートフォンのナビアプリ?

 近年、原付や自転車など、高速道路を利用することのできない人が高速道路に誤って進入してしまうケースが多発しています。
 
 このような高速道路の「誤進入」はなぜ起こってしまうのでしょうか。

なぜ人や自転車などが高速道路(有料道路)に立ち入る事案が発生するのか?

 日本各地に設置されている高速道路は、一般の利用者をはじめ、物流や交通機関の交通網として、非常に多くのユーザーに活用されています。

【画像】これは危ない! 自転車は誤進入がコチラ! さらに主張スゴい看板達を見る!(19枚)

 一方で、高速道路に進入できない車両も存在しており、例えば「原動機付自転車」、いわゆる「原付」に加え、電動キックボードや自転車、歩行者などが挙げられます。

 これらのユーザーに関しては、走行以前に高速道路の入り口に進入することもできません。

 しかし、SNSやネットニュースなどでは、時折こうした車両の高速道路への「誤進入」が報じられ、命にかかわる重大な問題としてその危険性が叫ばれています。

 NEXCO中日本が公表するデータによると、ネクスコ中日本が管轄している高速道路では、2019年に1009件、2020年に882件、2021年に873件の誤進入が発生しており、首都高でも誤進入は過去の調査で年間400件以上発生していると明らかにしています。

 NEXCO各社や首都高も事の重大さを受け止めており、さまざまな啓発活動や誤進入の防止対策を講じています。

 では、そうした状況にもかかわらず、なぜ誤進入は起こってしまうのでしょうか。主な要因として、首都高は以下の例を挙げています。

 ・目的地へ向かう際、スマホなどを使用し看板なども認識せず、首都高の認識なく誤進入した
 ・高齢者の方が、一般道路と間違えて誤進入した
 ・お酒をかなり飲まれた方が、高速道路としての認識ができず誤進入した
 ・自宅へ帰る際、道を聞くために誤進入した
 ・過日に未払いであった料金を支払いに誤進入した

 そのほかの要因として、NEXCO各社や首都高ではスマホなどの「ナビアプリ」の存在を挙げています。

フードデリバリー配達員による誤進入も増えている(イメージ)

 首都高では「近年、ナビアプリを利用している原付や自転車が首都高に立ち入るケースが増えています」として、以下のように説明を続けます。
 
「原付や自転車は、首都高への進入禁止です。

 万が一、走行中の車と接触してしまったら、命にかかわる重大事故に。大変危険なので、ナビアプリにばかり目を向けず、標識や看板も確認するように心がけましょう」

 ナビアプリのなかには、自身の移動手段を選択して、それにあったルートを案内してくれるものがあります。

 例えば、Googleマップでは、クルマ・公共交通機関・徒歩・自転車・飛行機などから自身の移動手段を選択可能です。

 たとえ自分が自転車に乗っていたとしても、移動手段の設定がクルマになっていた場合はクルマ用のルートが表示されるので、経路によっては高速道路に案内されることも十分にあり得ます。

 また、ネクスコ中日本では「原付や自転車に乗車しているのであれば、ナビアプリの活用時に『高速道路を通過しないルート』を設定するように」と呼びかけています。

 とくに、急いでいるときや土地勘のない場所での運転では、ナビに集中しすぎて周囲の状況がしっかりと把握できていない可能性があります。

 誤った移動手段や経路を設定して、間違えて高速道路に進入してしまわないよう注意するように心がけましょう。

誤進入を見かけたらどうする? まずは通報を!

 では、高速道路を走行中に、原付や自転車、歩行者など、誤進入を見かけたらどのように対応するのが良いのでしょうか。

 NEXCO各社や首都高などでは、誤進入を見かけたら通報するように呼びかけています。

 首都高では「原付・自転車・歩行者が首都高に進入している(しようとしている)のを見かけたら、高速道路上では道路緊急ダイヤル『#9910』やお近くの非常電話、一般道路では110番などで通報をお願いします」と説明しています。

 また、NEXCO中日本も「通行を見かけましたら、道路緊急ダイヤル『#9910』で通報をお願いします」と呼びかけています。

各社ではさまざまな対策が講じられているという(画像:国土交通省の資料より)

 道路緊急ダイヤル「#9910」は、日本全国の高速道路や国土交通省が管理する国道に共通して利用することができる緊急連絡先となっています。

 #9910をダイヤルすると音声ガイダンスが流れるため、その指示に従って走行している道路の選択などをおこないます。

 道路を選択すると管理者に繋がるため、誤進入を目撃した旨を伝えるようにしましょう。

 高速道路への進入が禁止とされている原付や自転車、歩行者は、高速道路の通行が認められているクルマや125ccを超えるバイクに比べて速度も出ず、追突事故などの恐れもあります。

 誤進入を見かけたら、焦ってハンドルを切ったり、急ブレーキを踏んだりせず、周囲の安全を確認したうえで落ち着いて回避、もしくは緩やかに減速するようにしましょう。

※ ※ ※

 また、自身が原付や自転車で誤進入してしまった場合は、絶対に逆走せず、近くに料金所がある場合はそのまま料金所に。料金所がない場合には安全を確保できる路肩で停車する必要があります。

 料金所では係員に誤進入の旨を伝えて指示を仰ぐほか、路肩に停車した場合には、自身のスマートフォンから前述の#9910に連絡をするか、路肩に設置されている非常電話を活用して道路の管理者に連絡をとりましょう。

 いずれにしても、道路上で急停車したり、逆走や急な進路変更などは絶対におこなわないようにしてください。