「リベドー(網目状で赤紫色の模様)」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!
皮膚に網目状で赤紫色の症状が現れることを、リベドー(細網状皮膚)といいます。皮膚の末梢循環不全により起こる症状で、大理石様皮膚、細網状皮膚、分枝状皮斑などの分類があります。
感染症や血管炎など、ほかの疾患が原因でリベドーが現れることも多いため、原因となる病気の治療が重要です。
今回はリベドーの症状や原因、検査や治療方法などについて詳しく解説します。
リベドーとは
リベドーとはどのような疾患ですか?
皮膚末梢循環障害により、皮膚に網目模様で赤紫色の症状が現れることを、リベドー(細網状皮膚)といいます。冬の寒い時期に起こる場合が多く、見た目は静脈瘤によく似ています。まず、皮膚の末梢循環について解説しましょう。皮膚の深部から表皮に向けて小動脈が伸びています。その小動脈は枝分かれして毛細血管となりますが、近くにあるほかの小動脈から枝分かれした毛細血管とくっついて小動脈となります。
この毛細血管は血流が弱くて遅いため、寒さやさまざまな疾患によって末梢循環不全を起こしてしまうのです。末梢循環不全を起こすと、毛細血管が拡張したり赤紫色に変化したりします。これらの毛細血管は網目模様をしているため、末梢循環不全を起こしたときに網目模様で赤紫色の症状が現れます。
リベドーは、3つに分類されます。
リベドーの分類を教えてください。
リベドーは網目模様が保たれているか途切れているか、器質的変化があるかないかで、「大理石様皮膚」「細網状皮膚」「分枝状皮斑」の3つに分類されます。ここで器質的変化があるとは実際に毛細血管などで(目で見てわかるような)障害が生じていることを指します。
リベドーの症状
リベドーの症状を教えてください。
リベドーは下肢に網目状で赤紫色の症状が主に現れて、ほかに潰瘍や出血斑、痛みが伴うこともあります。あとは分類によって症状が違います。大理石様皮膚の症状
大理石様皮膚の症状を教えてください。
大理石様皮膚は、寒い季節に小児に発症することが多々あります。精神的な影響で現れることもあり、大人の女性にも起こります。寒さによって血の流れが悪くなることでうっ血し、網目模様が保たれたリベドーが現れます。症状は一時的なもので、器質的な変化はありません。
細網状皮膚の症状
細網状皮膚の症状を教えてください。
細網状皮膚は、先ほど解説した大理石様皮膚と、次に解説する分枝状皮斑の中間にあたる状態です。うっ血や拡張によって、大理石様皮膚と同様に網目模様が保たれていますが、大理石様皮膚よりもリベドーが持続します。リベドーは消えにくい傾向ですが、気温が高い夏に消失することもあります。
器質的な変化はないことが多いのですが、静脈が詰まってしまった所見などが見られることもあります。
分枝状皮斑の症状
分枝状皮斑の症状を教えてください。
分枝状皮斑は分岐状皮斑とも呼ばれます。下腿に発生することが多い症状です。大理石様皮膚や細網状皮膚とは違い、網目模様が保たれません。網目模様が途切れて樹枝のように見えます。うっ血や拡張だけではなく、さまざまな基礎疾患によって小動脈に炎症が起こることで、網目模様が途切れます。
進行すると皮膚に炎症や潰瘍が起こることもあるリベドーです。このように器質的な変化があることも、大理石様皮膚や細網状皮膚との違いです。
リベドーの原因
リベドーの原因を教えてください。
リベドーの原因は主に血流障害や血管壁障害、特発性などが考えられます。血流や血管壁障害をもたらす疾患は、感染症や膠原病や循環器疾患など、さまざまな疾患が原因となりうるのです。特にうっ血、塞栓、血管壁沈着、血管壁の炎症などの血管系の機能異常や器質的異常によってリベドーは起こります。
血流障害
血流障害を起こす疾患には、どのようなものがありますか?
血流障害を起こす疾患は、心不全や血管壁機能異常などによるうっ血性のもの、寒栓や血小板血症などによる閉塞性のものがあります。ビスマス、ペンタゾシンなどの薬剤も閉塞性の血流障害の原因となります。ほかにも、寒冷凝集素疾患などが血流障害の原因になります。
血管壁障害
血管壁障害を起こす疾患には、どのようなものがありますか?
動脈硬化や膵炎、リンパ腫、関節リウマチ、結節性多発性動脈炎、全身性エリトマトーデスなどによる動脈炎などが血管壁障害を起こします。また、梅毒や結核、C型肝炎などの感染症や、高カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症など、さまざまな疾患が血管壁障害の原因となります。
特発性
特発性には、どのようなものがありますか?
先天性のリベドーである先天性血管拡張性大理石様皮斑があります。その他疾患
ほかには、どのような疾患が原因となりますか?
コレステロール塞栓症などの循環器疾患や、強皮症やシェーグレン症候群などの膠原病、悪性リンパ腫や白血病などの腫瘍、サルコイドーシスなどの疾患も、リベドーを起こす原因となります。リベドーの受診科目
リベドーが疑われる場合、何科を受診すればいいでしょうか?
皮膚科を受診しましょう。先ほど解説したように、ほかの疾患が原因となっている場合もあるので、リベドーが疑われる場合は早めに受診しましょう。リベドーの検査
リベドーの検査方法を教えてください。
リベドーは網目模様や樹枝状などの皮膚の状態や経過から、診断が比較的容易です。しかし、症状の強さや発症の時期は人によって異なります。また、静脈瘤のようなほかの疾患との鑑別が重要です。鑑別が必要な場合は、皮膚の一部を切り取って顕微鏡で調べる生検が有効です。静脈瘤も疑われる場合には静脈機能の評価も有効です。
リベドーの治療方法
リベドーの治療方法を教えてください。
リベドーの治療は、先ほど解説したような疾患が原因となっている場合、その疾患の治療が必要です。医師の指示に従って治療を行いましょう。同時に薬の内服による対症療法を行います。原因となる疾患がない場合でも、薬の内服による対症療法を行います。基本的には血液凝固を予防する薬の内服ですが、ステロイドを併用する場合もあります。
リベドーの症状を軽くするには
リベドーの症状を軽くする方法はありますか?
リベドーの症状を軽くするには、立位での仕事や長時間の歩行を避けましょう。弾性ストッキングや包帯を着用したり、就寝時や休憩時に下肢を身体より上げたりすることも有効です。また、長時間の歩行はよくありませんが、血流を助ける程度の軽い歩行は必要です。
編集部まとめ
リベドーは、皮膚に網目状で赤紫色の症状が現れる疾患です。皮膚の末梢循環不全により起こる症状で、大理石様皮膚、細網状皮膚、分枝状皮斑などの分類があります。冬の寒い時期に多い疾患です。
大理石様皮膚は寒い季節に小児が発症することが多く、精神的な影響で現れることもあります。細網状皮膚は、大理石様皮膚よりも持続時間が長いことが特徴です。どちらも網目模様が保たれて、器質的な変化はありません。
一方で分枝状皮斑は網目模様が保たれず、器質的な変化があります。
リベドーの原因は主に血流障害や血管壁障害、特発性などが考えられ、さまざまな疾患が原因となります。
リベドーの診察は比較的容易で、治療は薬の内服による対症療法が中心です。リベドーが現れた場合、ほかの疾患が原因の場合もあるので、早めに皮膚科を受診しましょう。
参考文献
網状皮斑(リベド)【国立国際医療研究センター国府台病院】
リベド【徳島県医師会】
リベド血管炎と静脈瘤の違い【こうち静脈ケアクリニック】
網状皮斑【品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック】