「腸炎」の際に避けた方がよい食べ物・飲み物はご存知ですか?

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腸炎は、誰もが一度は経験する病気ではないでしょうか?ある日突然お腹が痛くなって、下痢が止まらずトイレとの往復、その他ほとんど何も手つかずで疲れ果ててしまいます。

海外旅行で体に合わないものを食べてお腹を壊したという話をときどき聞きますが、そうなるとまさに踏んだり蹴ったりです。

もちろん腸炎は食あたりだけでなく、風邪をこじらせてもただ体調が悪いときにも発症することがあります。

ここでは身近で経験することが多い腸炎について、症状の特徴や原因、そして対処法についてまとめました。

腸炎の特徴や症状

腸炎は胃腸の病気全般を指すのでしょうか?

腸炎は十二指腸・小腸・大腸に炎症が起きる病気の総称です。

食中毒とはどう区別するのですか?

胃腸が炎症を起こしたら胃腸炎・腸だけが炎症を起こしたら腸炎ですが、それらの炎症が何かの食品を食べたことで起こったとしたら食中毒です。

胃炎・腸炎・食中毒に関しては、それらの原因に応じて「感染性」「ウイルス性」「細菌性」や原因となった菌の名称を病名の前につけ、区別します。

大人や子供の区別なく、食中毒の9割は細菌・あるいはウィルス性であります。

急性腸炎と慢性腸炎の違いは何でしょうか?

胃腸が炎症を起こしたら胃腸炎・腸だけが炎症を起こしたら腸炎ですが、それらの炎症が何かの食品を食べたことで起こったとしたら食中毒です。

胃炎・腸炎・食中毒に関しては、それらの原因に応じて「感染性」「ウイルス性」「細菌性」や原因となった菌の名称を病名の前につけ、区別します。原因となるのはウィルスの場合が多いです。

大人や子供の区別なく、食中毒の9割は細菌・あるいはウィルス性であります。

腸炎でみられる主な症状について教えてください。

急性腸炎の場合、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢・血便・発熱などの症状が突然現れるのが一般的です。

慢性腸炎は、急性腸炎の症状がそのまま続いて慢性化したものです。

脱水症状に注意しなければならないのですね。

腸炎の原因がどのようなものであっても、それが原因で下痢や嘔吐が続くときには、脱水症状に注意が必要です。

脱水症状を起こすと全身の血液量が減って循環不全の症状を呈し、顔色が悪くなったり手足が冷たくなったりします。

幼い子供や高齢者の場合は、特に気をつけるようにしましょう。ひどい脱水症状は急性腎不全を引き起こす恐れがあります。

腸炎の原因と診断方法

腸炎の原因はなんですか?

感染性の急性腸炎は、ウィルスや細菌、ときには寄生虫の感染で発症します。しかし大半はウィルス性の食中毒です。

原因となるウィルスとしては、ノロウィルス・アデノウィルス・ロタウイルスなどがよく知られています。原因が細菌性の場合では、カンピロバクターが最も多く・サルモネラ菌・病原性大腸菌・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌が原因となります。夏季に好発します。

非感染性の急性腸炎の場合は、暴飲暴食による消化不良・アレルギー・毒キノコなどによる中毒が原因になります。

一方慢性腸炎の原因は、急性腸炎と同じような細菌やウイルスへの感染の他に、暴飲暴食などの生活習慣の乱れが考えられます。

また自己免疫に問題があったり、ストレスによって引き起こされたり、はっきりとした原因が不明の場合もあります。

ノロウイルスなどは冬に感染者が多いイメージですが…。

確かにノロウイルスによる食中毒が流行するのは、主に冬の時期です。しかし急性腸炎の原因になるのはノロウイルスだけではありません。

ロタウイルスやアデノウイルスなどさまざまなウイルスが腸炎の原因になるため、そのすべてが冬に流行するとは限りません

たとえばロタウイルスは3月から5月ごろに流行することが多いです。一方で夏は、生または加熱不十分な肉や内臓などから細菌を原因とする感染性の腸炎がよく発生します。

細菌性の腸炎は火を通していない鶏卵やサラダなどの食物から感染することもあるほか、衛生状態の悪い水をうっかり飲んでしまっても感染します。

O-157などの腸管出血性大腸菌が原因の腸炎がひんぱんに起こるのも、初夏から初秋の時期です。

腸炎の診断はどのような流れで行いますか?

腸炎の診断は一般に、問診→触診→血液検査→便検査(必要に応じて)の順序で進めます。

問診では発症の状況・痛みや下痢の程度・食事の内容などを尋ねます。触診では腹部とその痛み方の様子と共に、全身の状態のチェックです。

次に血液検査を行って、炎症や感染症の有無を調べます。便と腸液、あるいは吐しゃ物を培養して、細菌やウイルスに対する抗原の有無などを検査して、診断が確定するという流れです。

病状によっては確定診断のために、さらに大腸カメラ検査を行う場合もあります。

腸炎で押さえておきたいポイント

腸炎の特効薬はありますか?

急性腸炎の特効薬はありません。焦らずに自然治癒を待つことが大切です。

食事を摂るのをしばらく中止して、腸を休ませてあげることで、大抵の急性腸炎は良くなります。その際は水分を少しずつ摂取して、脱水状態にならないように注意しましょう。

水分補給がうまくいかない場合や腹痛がひどい場合は、入院して治療を受けた方が良いケースもあります。調子が元に戻らないときは、遠慮せずに診療所や病院を受診しましょう。

腸炎の際に避けた方がよい食べ物・飲み物はありますか?

下痢が続く間は、腸を刺激するような食べ物や飲み物は避けましょう。

具体的には繊維の多いきのこ・こんにゃくなどの食品や脂肪分の多い食品、冷たいものや刺激物、炭酸飲料・コーヒー・アルコールなどです。腸内でガスを発生させる豆類・芋類・かぼちゃ・栗なども、発生したガスが腸を刺激するので避ける必要があります。

前記のとおり、水分の補給は脱水状態を防ぐために不可欠です。ぬるま湯やお茶やスポーツドリンクなどがおすすめです。ただし水分とはいっても、炭酸飲料はもちろん一見体に良さそうな柑橘系のジュースや牛乳も実は腸を刺激するので、避けておきましょう。

腸炎が治るまでにはどのくらいの時間がかかりますか?

急性のウィルス性腸炎の場合、発症後5日から7日程経てば症状は自然に治まっていきます。細菌性腸炎の場合は病気を治すために抗菌剤が必要になる場合もあります。

慢性腸炎の場合は症状が長く続くため、治療期間も長期にわたります。そのため体力維持のための栄養補給が大切な課題になります。

腸を刺激する飲食物は避けて、消化・吸収が良い糖質や質の良いたんぱく質を積極的に摂りましょう。

腸炎を予防するには何に気をつければよいですか?

腸炎(感染性腸炎)を予防するためには、原因となる菌を体の中に取り込まないようにすることです。

具体的には石けんで小まめに手を洗う食品の鮮度に気を付ける前日の残り(2日目のカレーなど)を食べる場合は十分に加熱する、などがあげられます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大抵の急性腸炎は数日間トイレとの間を往復しているうちに治ります。

しかし脱水症状を併発したら大変です。がまんできないほど体調が悪い時は、医師の診察を受けて点滴をしてもらったり、適切な抗生物質を投与してもらうといった選択肢が有効です。

下痢やお腹の痛みが長く続く場合は慢性腸炎の可能性があるので、病院で検査と適切な治療を受けてください。

編集部まとめ


腸炎を甘くみないでください

腸炎は比較的ありふれた病気で、基本的には自然に治るのを待つしかない病気ですが、軽く考えてもよい病気では決してありません。

原因がウイルスであれ、細菌であれ、あるいは風邪をこじらせたのであれ同じです。

脱水症状を防ぐために水分の補給を欠かさず、病状が悪化する気配を感じたら、すぐに医師の診察と治療を受けるようにしましょう。

参考文献

腸炎|Medical Note

大人のウイルス性胃腸炎とウイルス性食中毒!|一般社団法人 安佐医師会

第13回腸炎|社会福祉法人恩賜財団済生会 富山県済生会富山病院

急性腸炎、感冒性腸炎(お腹にくる風邪)|大阪江坂・胃腸内視鏡内科クリニック

慢性腸炎|結城病院

​ウイルス性胃腸炎の治療は脱水予防が基本|キャップスクリニック

ロタウイルスに関するQ&A|厚生労働省

感染性胃腸炎(食中毒)?のあなたへ|ビオフェルミン製薬

食中毒(腸管出血性大腸菌O157)とは?|SARAYA家庭用製品情報

栄養ニュース24号「下痢時の食事対策」|くにさき苑

感染性胃腸炎は何日で治る?胃腸炎の症状や原因・食事について|ひまわり医院(内科・皮膚科)