「耳の入り口が痛い」原因をご存知ですか？医師が対処法を3つご紹介！

2022年6月11日 13時30分

耳の入り口が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
田中志真医師

東京慈恵会医科大学医学部卒業。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医師。東京医科歯科大学医学部附属病院、横浜市立みなと赤十字病院、賛育会病院などでの勤務経験あり。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属。小児の難聴・中耳炎から、成人の頭頸部癌まで幅広く診療している。

「耳の入り口が痛い」症状で考えられる病気と対処法

「耳の入り口が痛い」と言って受診される方は、耳そのもの、特に「外耳」という耳の入り口から鼓膜までに原因があることがほとんどです。診断には耳の痛みの程度、耳の痛み以外の症状が非常に大切になってきます。その具体例を見ていきましょう。

耳の入り口が痛い症状で考えられる原因と治し方

耳鼻科の日常診療では、「耳掃除をした後に耳の入り口が痛い」「イヤホンを使った後に耳の入り口が痛い」という訴えが多く見受けられます。
このような場合、頻度が高い原因には外耳炎（外耳道炎）が考えられます。
耳の入り口がズキズキと強く痛む、腫れている場合には、炎症の程度がひどく外耳炎から中耳炎も合併していることも考えられます。
すぐできる対処法は、ロキソニンやアセトアミノフェンなど、痛みや炎症を抑える薬を飲んで症状の改善を一時的に図ることです。
緊急性は高くありませんが、抗菌薬の塗り薬や点耳薬を使わないと治らないこともあるので、なるべく早めに耳鼻科を受診しましょう。

耳の入り口にできものがあり触ると痛い症状で考えられる原因と治し方

耳の入り口に水ぶくれのようなできものや発赤（赤み）があり、触ると耳全体が強く痛むような症状があります。
このような場合、水痘・帯状疱疹ウイルス感染によるものなどが疑われます。
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染は、痛みが強い場合や他の症状を伴っている頻度が高く、抗ウイルス薬の使用が必要ですので、すぐに耳鼻科を受診してください。また、水痘・帯状疱疹ウイルスは免疫力の低下している高齢者などに感染しやすいので、ご家族へ感染しないように十分注意をしましょう。

耳の入り口が痛く、頭痛がする症状で考えられる原因と治し方

耳の入り口が痛いだけではなく、側頭部や頭全体にも痛みを感じることもあります。
このような場合、悪性外耳道炎が疑われます。

悪性外耳道炎

悪性外耳道炎は、免疫力の低下している高齢者や、免疫力を低下させるような糖尿病を有する方におこりやすい外耳炎のひとつです。主に「緑膿菌」という細菌が、免疫力が低い方の外耳に炎症を起こすと難治性となり、耳のみならず頭の中にも炎症を及ぼしてしまうという、緊急度が高く非常に恐ろしい病気です。
一般的に、耳の痛みに頭痛を伴う頻度は低いのですが、免疫力の低下している状態にある場合には、速やかに耳鼻科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「耳の入り口が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

虫などの動物や異物が入ってしまい、耳が激しく痛い場合は、耳鼻科・救急科へ

「外耳」という鼓膜より外の細い空間に昆虫や異物が入ってしまうと、外耳の壁や鼓膜が傷ついてしまう可能性があり、強い痛みが出てくるようになります。また、鼓膜が傷つくと一時的に聞こえが悪くなったり、続発的に中耳炎になったりします。また、鼓膜より奥の「中耳」という空間に異物が入ると、取り出すのがとても難しくなるため、なるべく早く耳の中の異物を取り出さなければなりません。耳鼻科・救急科を速やかに受診してください。

耳の痛みに加えて、頭痛もある場合は耳鼻科へ

免疫力の低下している高齢者や、免疫力を低下させるような糖尿病を有する方におこりやすい外耳炎のひとつに「悪性外耳道炎」というものがあります。主に「緑膿菌」という細菌が、免疫力が低い方の外耳に炎症を起こすと難治性となり、耳のみならず頭の中にも炎症を及ぼし、最悪の場合は命を落とす病気です。入院して点滴治療をしっかり行う必要がありますので、耳鼻科を速やかに受診しましょう。

「耳の入り口が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳の入り口が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

外耳炎（外耳道炎）

耳の入り口から鼓膜の手前までの細い部分を「外耳」といいますが、ここでの炎症を「外耳炎（外耳道炎）」といいます。
頻回な（頻繁な）耳かきをした場合や指のつめなどで耳の中をかいて傷を作った場合に細菌が入り、炎症を起こし発症します。高齢の方や、糖尿病などで免疫力が低下している方は、カビの感染が原因のことがしばしばあります。
主な症状は耳の入り口～奥が痛くなることです。ひどくはれる場合もあり、この時はすこし聞こえが悪くなることもあります。耳を引っ張ると痛みが強くなります。
治療法は、液体状の抗菌薬を耳に入れることです。ひどい場合は抗菌薬の飲み薬を使うこともあり、高齢者や免疫力の低下している場合にはなかなか治りにくいこともあるので、耳を洗浄するのにしばらく通院を要することがあります。耳の奥の痛みがでてきたら、なるべく早めに耳鼻科を受診しましょう。

急性中耳炎

中耳炎とは、鼓膜より奥の「中耳」という場所で炎症のことをいいます。中耳炎にはいくつか種類がありますが、その中でも最も多いのが「急性中耳炎」です。
鼻と中耳は「耳管」という管でつながっていますが、鼻の中にいる病原体の細菌やウイルスがこの「耳管」を通して耳の中に感染すると膿がたまり、中耳炎を発症します。
主な症状は、耳の奥の痛みに加え、難聴と耳がつまる感じが出現することです。
治療法は、抗菌薬の内服が基本ですが、必要に応じて鼓膜を切開して膿を出します。
中耳炎は放置すると治りにくくなるので、早めに耳鼻科を受診しましょう。

「耳の入り口が痛い」ときに市販薬は使える？

痛みが軽い場合は「ロキソニン」などの市販の痛み止めを内服してもいいかもしれません。また、耳掃除をしすぎて明らかに「外耳炎」である場合は、「クロマイ」などの抗生剤の含まれた市販の軟膏を塗布してもいいかもしれません。
痛みが強い場合や原因がわからない場合、不安な場合は、早めの耳鼻科受診をしましょう。

「耳の入り口が痛い」ときの正しい対処法や注意点は？

早く治したい場合やロキソニンやクロマイのような市販薬で症状が収まらない場合は、冷やしたりしてもいいかもしれませんが、効果は一時的になりがちです。
イヤホンや耳栓や耳かきは、痛みがある場合は基本的には避けてください。
早く治したい時や応急処置で痛みが改善しない場合は、耳鼻科を受診してください。

「耳の入り口が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳の入り口が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳の入り口が痛い症状は耳掃除のやり過ぎが原因でしょうか？

田中志真医師

耳鼻科医として日々診療をしていますと、耳掃除のやりすぎが原因であることが非常に多いです。耳垢は自然に排泄されることが多いので、1か月に数回程度の耳掃除の頻度で十分です。

耳の入り口が腫れてズキズキと痛いのは外耳炎でしょうか？

田中志真医師

おそらく外耳炎の可能性が高いです。ズキズキと痛みが強い場合は、外耳炎がひどい状態になっていないか、中耳炎を合併していないか、ウイルス感染を起こしていないか、なども確認する必要があるので、一度耳鼻科を受診してみてください。

耳の入り口が痛く聞こえづらい症状は耳鼻科を受診すべきですか？

田中志真医師

なるべく早めに耳鼻科を受診して下さい。外耳炎がひどくなっている可能性や、中耳炎を合併している可能性が高いと考えられます。

口を開けると耳の入り口が痛い症状はどんな治療方法がありますか？

田中志真医師

顎関節症の可能性があります。顎関節症は、ストレスや生活習慣が原因で起こることが多いので、まずはストレスを軽減してみましょう。それでも改善がなければ、歯科口腔外科を受診してみてください。

まとめ

「耳の入り口が痛い」症状の原因は大半が外耳炎であることが多いです。中には外耳炎が重症化している場合や、中耳炎も合併している場合もありますので、なるべく早めに耳鼻科を受診しましょう。

「耳の入り口が痛い」で考えられる病気と特徴

「耳の入り口が痛い」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻科の病気

外耳炎

悪性外耳道炎

Ramsey-Hunt症候群（帯状疱疹ウイルス感染症）

外耳道異物

急性中耳炎顎関節症帯状疱疹

多くの場合は、外耳（外耳道）の炎症による痛みです。耳かきやイヤホンなどの物理的な刺激となるようなものは控えるようにしましょう。

「耳の入り口が痛い」と関連のある症状

「耳の入り口が痛い」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。