もんじゅ君がフジロックに登場！ 「原発のことを話題にすることが一歩前進ですだよ」 - BLOGOS編集部
※この記事は2012年08月09日にBLOGOSで公開されたものです
福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅが擬人化されたゆるキャラ「もんじゅ君（@monjukun）」が7月27日～29日にかけて新潟県湯沢町にある苗場スキー場で行われた日本を代表する音楽フェス「フジロック・フェスティバル」に登場。その模様をレポートする。今回も、今年4月28・29日に行われた「ニコニコ超会議」、7月16日の「さようなら原発10万人集会」同様、メディア・アクティビスト津田大介氏ともんじゅ君がステージ上で対談。おなじみの歌と踊りも披露され、フジロックの会場を大いに沸かせた。
■もんじゅ君たち、原発フレンズにさよならするには？
津田：この時間は、フジロック史上もっとも“ゆるい”、あのキャラクターが登場します！みなさん誰なのかわかっているとおもいますが、それではご紹介しましょう！福井県敦賀市からやってきたゆるキャラ！高速増殖炉、もんじゅ君の登場です！もんじゅ君：みなさん、こんにちはー！Radioheadですだよー。
津田：違いますよ、もんじゅ君！トム・ヨーク気取りですか？この前「NONUKES2012」（※坂本龍一の呼びかけで行われた「脱原発」をテーマにした音楽フェスティバル）に出ちゃって、調子に乗ってるんじゃないかって、噂がでてますけども。
もんじゅ君：ごめんなさいですだよ。
津田：ちゃんと反省してるんですね。もんじゅ君についてはですね、これまで東京で行われたイベントに出演してもらって、その時は、東京無線のタクシーをチャーターしてきたんですけど、今回も東京無線でこの会場まで来たんですか？
もんじゅ君：ふふふ、ちがいますだよ。
津田：えっ、じゃあどうやってきたんですか？
もんじゅ君：魚沼交通！！
津田：会場から失笑がでていますけども（笑）魚沼交通ということは、ご当地タクシーを呼んできたわけですね？
もんじゅ君：ふぉぉぉ！ 夢にまでみたフジロック……。あれ、あれれれ？ 富士山はどこですだか？
津田：フジロックってのは、言葉のあやで、１回目は富士山の麓でやったんですけど、その話をしすぎると、関係者の人が黙っちゃうんで。あんまり触れないほうがいいと思います。ここは今、新潟県でやってます。
もんじゅ君：不思議ですだね～。フジロックって音楽のお祭りでしょ？ ボク、早くユザーンさんとマバヌアさんが見たいんですだよ。２人共、太鼓がすごいんですだよ。
津田：それはこのあと夜にやるんでね。ぜひ遊びにきてもらえればと思うんですけど。ここは「アトミックカフェ」といって、去年よりも人がたくさん来てくれているっていうこと自体が、この問題について、考えなければいけないって人が増えていることだと思うんですけど。
もんじゅ君たち原発フレンズに「さよなら」していく。「脱原発」に何年かけて向かうかっていう問題もあるんですけど、それに対して一歩一歩進んでいくためには、どうしていけばいいのかということを考えるためにこのトークが行われているんです。
もんじゅ君：ボクたち原発、ずーっとお仕事しないで寝ていられるように、全力でがんばりますだよ！ 働くのキライ、休むの大好き！
津田：さすが、キング・オブ・ニートって言われているもんじゅ君なんですけど！１日、5500万とかかかってますからね。「働くのキライ」っていっても、言葉の重みが違うっていうね。
もんじゅ君：ですだよ～。ボク、高速増殖炉もんじゅは完成してからもう20歳近いんだけど、トラブルばっかりで、生まれてこのかた、ほとんどちゃんと動いたことがないですだよ。
津田：もんじゅ君、カラダ弱いんだよね。
もんじゅ君：うん。うっかりするとナトリウムおもらしして、火事になっちゃうんだぜぇ…。ワイルドだろぅ～。
津田：もんじゅ君、そういう流行りのギャグとかもいけるんですね。
もんじゅ君：でも、今日は、ばんそうこう貼ってきたから大丈夫！
津田：でも、ばんそうこうが取れると、ナトリウムが漏れちゃうんで気をつけてくださいね。絶対におもらししないでくださいね。
もんじゅ君：うん！こんな働きたくないボクだけど、年間予算は毎年200億円以上いただいているから、そこはみなさん覚えて帰ってほしいですだよ。全部、みなさんの税金からですだよ～。
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■対策を考えるのと、実行するのは別物ですだよ。
津田：ちょっと社会派になって来ましたけれども。そういう意味でいうと、こないだ福井の大飯原発君が再稼働してしまったんですよね。そこのところは、もんじゅ君、どう思ってるの？もんじゅ君：すごく残念ですだよ・・・。
津田：原発フレンズの大飯原発本人はなにかいってたんですか？
もんじゅ君：おおい君は「ほんとに安全なの？ボクには、ふくいち君にはあった重要免震棟もベントの装置もついてないんだよ。せめてつけてからにしてほしいな・・・」っていってたよ。
津田：電力が足りないから、安全対策はとりあえず今回は二の次にせざる負えなくて、安全対策するって言っても「これからします」っていうものが多いんですよね。
もんじゅ君：うん。対策を考えるのと実行するのとは別物ですだよ。どうしてプランだけでオッケーなのか、すごく不思議ですだよ。
津田：根本的な疑問で、再稼働しないと電力って足りないんですか？
もんじゅ君：うーん。。。夏に必要な電気が足りるかどうか、政府の需給検証委員会ってところで議論されてたけど、節電で乗りきれるかも、っていう見通しもあったし、関電さんにはまだまだ努力の余地があるっていわれてたんですだよ…。
津田：僕も、需給検証委員会の書類を全部見たんですけど「もうちょっと、関電が節電できるだろう。努力できるだろう」という指摘をしつつも、最終的には足りないかなという報告書だったんですね。それで、結果的には、再稼働しちゃったわけですけど。
もんじゅ君：ちょっとしょんぼりですだよ。でも、めげないですだよ。
■変わってきたデモのカタチ
津田：最近だと、「脱原発デモ」って言って、官邸前なんかも人が増えていたりとか、この前の代々木公園で行われたデモ（※さようなら原発10万人集会）にも、17万人集まったなんていう風にいわれて。デモの数は本当に増えてますね。もんじゅ君：うん。ボク、ユースト中継で見てたけど、何万人もの人がお仕事の帰りに集まって「再稼動反対！」っていってて、びっくりしましただよ。まさにあれですだよ。
津田：もんじゅ君、あれって何？
もんじゅ君：リアル『動員の革命』！！
津田：すいません、これ僕の本なんです。ステマ、ありがとうございます。
もんじゅ君：ううん、でもホントに、TwitterやFacebookを中心にクチコミで広がって、しかも「紫陽花革命」って、お名前までついたり、『動員の革命』でもテーマになってた「アラブの春」をちょっと思いだしましただよ。
津田：僕も代々木公園のデモも行ったりして、現場の様子を見ているんですが、とにかく若い人が増えていますし、昔ながらの市民運動をやっている人もいますけども、デモの形が変わってきているなと思いますね。
もんじゅ君：１年前よりもずっと、デモに参加したり、原発のことを話題にする「心の壁」が低くなってること、それ自体が１歩前進、じゃないかと思いますだよ。もちろんデモが全てじゃないけど「デモがあるらしいよ」「なんだろうね？」って話題にできることじたい、大きな変化だと思いますだよ。
津田：原発をどうしていくのかっていうことは、長い目で見ていかないといけない話ってことですよね。
もんじゅ君：うん。まず今、日本中の50基の原発のうちのほとんど、48基が止まっているってことは、動いているよりは安全なわけだし、すごく意味があると思うの。
津田：確かにね。
もんじゅ君：でも、それだけじゃなくて、廃炉にしていく道のりとか、原発から出る放射性のゴミをどうやって処分するかとか、他にもいっぱい、長い時間のかかる問題があるしね。
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■ドイツの脱原発。きっかけは東日本大震災。
津田：たとえばドイツも30年かけて脱原発を進めているわけですよね。もんじゅ君：そうそう、ボク、そのお話がききたかったですだよ。津田さんは去年、ドイツに取材にいったんですよね？
津田：そうなんですよ。ドイツ自体が80年代ぐらいから進んできて、１回止まりそうになったんですけど、去年の福島第１原発の事故を見て、また脱原発の道を進もうと。
また、ドイツでは脱原発といっしょに自然エネルギーへのシフトも進んできていて。例えば去年は、風力での発電量がはじめて原発を追い抜いたんだけど、もんじゅ君も原発以外の自然エネルギーのお友達はいるの？
もんじゅ君：うん、新しいお友達、いるよ。ソーラーくん、風力くん、地熱ちゃん、小水力くん、バイオマスさんの再生可能フレンズですだよ。
津田：再生可能フレンズってすごいネーミングだね。
もんじゅ君：ＬＩＮＥでお話してますだよー。
津田：ＬＩＮＥ使ってるんだ！
もんじゅ君：ボク、原発のことつぶやいてたらよく「代替案だせー」っていわれるしね。日本各地の再生可能フレンズに取材して、発電の仕組みとか、日本ではどれくらい発電できるポテンシャルがあるのかとかを調べたの。
津田：それでもんじゅ君は河出書房新社（かわでしょぼうしんしゃ）から、飯田哲也さん監修の本『みんなの未来のエネルギー』を出したんだね。「おしえて！もんじゅ君」「さようなら、もんじゅ君」に続いて今回が３冊目でしょ？炉のくせにすごいペースで本出してますね～。
もんじゅ君：そろそろニートやめて働こうかと思ってますだよー。目指せ“ノマドワーカー！”
津田：今ちょっと、ノマドワーカーバカにしたよね？どっちかっていうと、ここにいる人、割りといると思うよ、ノマドワーカーの人。でももんじゅ君、働かなくてもいいぐらいお小遣いもらってるんですよね？
もんじゅ君：うん。１日のお小遣いは5500万円！だけど、全然お仕事してないからヒマでヒマで。時間だけはありますだよ！
津田：あれっ、もんじゅ君、ちょっとふらふらしてない？だいじょうぶ？
もんじゅ君：ふぉぉぉ。ボクちょっと疲れちゃった。ナトリウム冷却が間にあわないですだよ。
津田：危険なニオイがしてきました。じゃあそろそろ、もんじゅ君は休憩しないといけないんですけど、最後に思い残すことはありますか？
もんじゅ君：ボク、高速増殖炉もんじゅのダメなところをわかりやすくお歌にした「もんじゅ君音頭」があるので、それを踊ってお別れしたいですだよ。
津田：疲れているに踊るんだ！（笑）元気ですね！
もんじゅ君：フジロックで一度歌ってみたかったですだよー。みなさんもごいっしょに手拍子おねがいしますだよ～。
Ｍ ♪～もんじゅ君音頭～♪／サイクル池田とプルサーマル・オーケストラ
津田：はい、ということで、もんじゅ君、お疲れ様でしたー！
もんじゅ君：みなさん、バイバイですだよー。熱中症にならないように、ちゃんと水分とってねー。
