約1.2kg! 神田『長尾中華そば』のデカ盛り煮干しラーメンに挑戦してみた
食楽web
青森県民なら誰もが知っているソウルフード「津軽煮干しラーメン」って知っていますか? 煮干しを効かせた濃厚スープに、うどんのようなかんすい控えめの太麺。煮干しの旨みがガツンとくる美味しさは、リンゴや大間のマグロ、せんべい汁同様、青森を代表する味の一つと言われるほど人気のラーメンです。なのに、店舗は青森県内5店舗のほか、東京と仙台にしかお店がない!
ということで、青森県民の認知度は高くとも、青森県民以外はラーメン通など一部にしかその存在を知られていない幻のラーメンだったりします。
そんなマニアックご当地ラーメンでメガ盛りがあると聞き、向かったのは神田小川町にある『長尾中華そば 神田店』。小川町の交差点から少し中に入ったところにあるお店です。
藍色の暖簾が目印。暖簾に書かれた魚へんに山々の文字は何て読むのか気になるが、「これ、漢字ではなくてデザインなんです」。えええっ!
店に入り、まずは食券を購入。「津軽煮干しラーメン」は、あっさり750円とこく煮干し880円の二種類が大きなボタンになっています。ということはこの2つが看板メニューなのかな。ですが今回はそのさらに上「ごくにぼMAX」(950円)をセレクト。トッピングに「デカ盛りデカ肉」(600円)をプラス。カウンターに座って出てくるのを待ちます。
店内を見回すと、漫画のコマ割り風に描かれた「煮干しラーメンを美味しく食べる極意」が貼られています。まずは香りを楽しむべし、低温調理のしっとりモモ肉は着丼したら早めに食べるべし、といった様々な「べし」が。美味しそうなのは「シメのにぼめし」。スープを半分ぐらい残して、ライス+100円を追加注文。いいな~。
しかし、それができるか否かは、ごくにぼMAXとデカ盛りデカ肉のボリューム次第。様子を見て食券を買いに行こうっと。
濃厚煮干、どデカチャーシュー、極太麺のドスッと三つ巴!
トッピングの説明が書かれた卓上メニュー。デカ盛りデカ肉、なんか凄そうで期待度アップ
トッピングは他にも、花びらチャーシュー350円やモモチャーシュー350円、角切りチャーシュー250円などもあり、麺やスープはもちろん、チャーシューも自信あり、ということでしょうか。デカ盛りデカ肉ってトッピングに、お店の意気込みを感じます。
ちなみにデカ盛りデカ肉のチャーシューは豚もも肉。1頭から多く取れない部分を使っているため、その日によって肉の厚みが違うとのこと。今日の一杯は厚みがすごいのか幅が広いのか、さらに楽しみになってきました。
「ごくにぼMAX」950円+「デカ盛りデカ肉」600円。いり粉もたっぷりかかっています
出てきたのは、大きなチャーシューがフタ状態、麺がちょこっと見える丼。目の前に来ると、煮干しの美味しそうな香りがすごい! 一気に食欲をかきたてられます。
手前にあるメンマ、飴色なのも青森風? そして、極太麺は一般的な麺より色が白い印象。だからうどんっぽいの?
高さは約13cm。下のお皿を外せば、ほぼスマホと同じ高さ
早速計測。直径18cmの器に、高さ約13cm。重さは1261g(器の重さを除く)。チャーシュー、分厚かったら顎を使うな~、なんて思っていたら、スライスされていて食べやすくなっていました。しかもいりこの粉とタレがかかっていて、豚肉の旨みに煮干しがさらに乗っかっています。
まずこのチャーシューをつまみにビールでいきたいなぁ~。でも麺が伸びるのは嫌。ということで、重なっている肉のテントの下、麺を引っ張り出します。
極太麺は茹で前400g。ということは、おそらく500g越えになっている?
「スープは、豚と鶏ガラにたっぷりの煮干しで作っています。なので、煮干しの酸味もほのかに感じる、東京の煮干しラーメンとは全く違う美味しさですね。国産小麦で作る麺は煮干しの風味を壊さないよう、無かんすいのオリジナル麺なんですよ」と店長。
巨大なチャーシューの他、具はネギとメンマのみ。「メンマは甘めに作っています。これもうちの特徴の一つですね」とのこと。きくらげみたいな濃い色ですが、メンマです。
いわゆる「セメント系」スープ。煮干し愛大爆発!
そして、チャーシューと麺をかき分け、すくったスープは透明度ゼロ、濃厚なのがわかる「セメント系」。全国各地の厳選した煮干しで、独自の割合、配合、時間で作っているとのこと。確かにこのスープで、シメにゴハン、うまいんだろうなぁ。ただし、1.2kgを超えて、さらにゴハンを食べきる自信はない。次回に持ち越しです。
存在感のあるトッピングのデカ盛りデカ肉。早く口に入れないと、重いっ!
「津軽煮干しラーメン」ですが、もともと、あっさり味の「津軽そば」がルーツ。煮干しの出汁でいただくお蕎麦で、青森の王道そばとのこと。この「津軽そば」と、「津軽ラーメン」のいいとこ取りで生まれたのが「津軽煮干しラーメン」です。
色々話を聞きつつ、一口! 最初に口の中に煮干しの旨みと香りがブワッと広がります。すごい。煮干しの群れが一気に口の中で踊り出す感じ。すっきりしているけれどしっかりした旨みです。これだけの味だから、極太麺なのも納得。もちもち感のある麺が、いいバランスとなっています。
そしてチャーシューも最初の一口はいり粉の旨み、噛むと豚肉のじゅわっとした旨みが広がってきます。しっとり、ムチっとしたチャーシューは、煮干し効果のせいかくどさやしつこさはなし。このチャーシュー、ゴハンに乗せて食べたいなぁ~。やっぱり次回来るときは、ライスの量を想定したボリュームにせねば。
「ねぶた漬ミニ丼3」や「上北丼」各300円など、サイドメニューも楽しんでください(店長の小林さん)
豚骨系や鶏白湯系とは違い、魚の油なので、濃厚でもすっきり感があるのが煮干し系ラーメンのいいところ。途中でドスッと来ることもなく、美味しく楽しんでいるうちに完食。と言っても胃袋的にはギリギリのところでした。
店内には、おそらく青森県出身者の大学生らしき2人組がいて「は~落ち着く~」「これこれっ」と言いながらラーメンを食べる姿が。コロナの影響でもしかしたら帰省できず、故郷の味を食べにきたのかも? と勘ぐってしまうほど、嬉しそうに食べる姿が印象的でした。
東京、いや、関東のいわゆる煮干しラーメンとは一線を画した青森の濃厚煮干しラーメン。オススメの食べ方は、丼の下にあるお皿に、一旦チャーシューを移して、麺から攻める! とのこと。次回はあっさりにして、ゴハンをつけるか、こく煮干しにするか、どうしようかな~、なんて思っていたところに、
「シメのライスに、さらに納豆+50円も入れるのがオススメですよ」とニッコリ微笑む店長。えっ? ラーメンライスに納豆? どういうことっ? 津軽煮干しラーメンは想像以上に奥が深そうです。また必ず来なくてはっ!
(取材・文◎石澤理香子)
●SHOP DATA
長尾中華そば 神田店
住:東京都千代田区神田小川町1-7 神田小川町ハイツ108
TEL:03-5577-4655
営:11:00~20:00、土~15:00(L.O.)
休:日曜、祝日