『ミス・ジコチョー ―天才・天ノ教授の調査ファイル―』 (c)NHK

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 事故調査委員会を題材にしたオリジナルドラマ『ミス・ジコチョー ―天才・天ノ教授の調査ファイル―』(NHK総合)。主演の松雪泰子扮する天才工学者のヒロインが「失敗学」から真相を突き止めていく。オリジナル作品ならではの制作秘話、見どころをプロデューサーに直撃!

【写真】松雪演じる真奈子の“真奈子流キュートな装い”がカワイイ!

今までに演じたことないタイプの役

 爆発、食中毒、火災などの事故を、第三者の目で調べる“事故調査委員会(事故調)”で活躍するヒロインを描いたミステリー・エンターテイメント。

 脚本は『陸王』『半沢直樹』の八津弘幸と『おっさんずラブ』の徳尾浩司らが担当するオリジナル作。

「八津さんが事故調査委員会を題材にしたミステリーをご提案くださったんです。そして、畑村洋太郎先生の“失敗学”に出会い、NHKならではの味わい深いメッセージを包んだエンターテイメントが作れると確信しました」

 と、小林大児プロデューサー。失敗学とは、失敗の責任を追及するのではなく、直接の原因と、背景的・社会的な原因とを究明して知識化、再発防止に役立てる学問。

 天才工学者の天ノ真奈子は、失敗学の研究にも熱心で、事故調に好んで参加。天才だが、自分勝手なヒロインを演じる松雪泰子は、

「今までに演じたことのないタイプの役。思考のスピードが速くて周りを振り回してしまうキャラクターを構築するために、監督やバディ役の堀井新太君と一緒に作りあげています」

あなた、最近どんな失敗しました?

 さまざまな事故は、常に何らかの失敗で起きる。“成長・進歩には必ず失敗がついてまわる”が信念の真奈子にとって、事故調は最高のフィールドワーク。

 失敗を愛し、人の失敗話に目を輝かせ、初対面の人にも、“あなた、最近どんな失敗しました?”と尋ねることも。そんな真奈子の型破りさに、クスっと笑える場面もちりばめられている。

「松雪さんは女性らしいキュートさとフェミニンに依存しない魅力に加えて、『半分、青い。』などで見せてくれたコメディエンヌのセンスもあり、真奈子を演じていただきたいと思いました。

 真奈子は人情味豊かなヒロインというわけではなく一瞬、冷血にも見えるような変人。

 どのくらい血の通った人間か、どのくらいマイペースにするかのさじ加減はクランクイン当初から監督と話し合うなかで、松雪さんがシリアスとコメディーのいいバランスがとれた真奈子像を体現してくれています。

堀井さんには演じる野津田の元気のよさ、フレッシュなイメージ、まじめな部分が滑稽にも見えるという難題にも応えていただきました。

 野津田とは正反対の変わり者でラテン気質な郁美役には、すぐに高橋メアリージュンさんが浮かびました。

 須藤理彩さん演じる志保は、真奈子の親友でしっかり者、ふたりの丁々発止の掛け合いはコメディータッチに欠かせず、須藤さんがぴったりだと考えました」(小林P、以下同)

 真奈子の母親・喜里子役は迷わず余貴美子にオファー。初めての打ち合わせでは、こんなエピソードも。

「シルバーのウイッグをつけていらしたんです。“役のイメージですか?”とお聞きしたら“喜里子はこれかな?”と。論より証拠を提示していただき、僕も監督も“それです”と即答しました(笑)」

気づきから難事件を解決していく

 真奈子の役名にも秘話が。

「事故調で真実を追求する役なので、真実の真、調査するので見るということの眼(まなこ)かななどと、八津さんと話したのを覚えています」

 冒頭のナレーションと、真奈子が“わたし、失敗しちゃった”という決めゼリフは毎回、登場する。

「八津さんのアイデアです。真奈子は普段、ほとんど失敗しないけれど毎回、必ず“失敗しちゃった”という気づきから難事件を解決していくヒロイン像にしたいとの思いからです」

 第2話(10月25日放送)では、学校給食の食中毒が発生。真奈子は野津田と調査に乗り出す。また、不仲な母、喜里子と3年ぶりに対面することになり……。

「週末前の金曜日。クスっと笑えて、ホロっと泣ける。社会問題に切り込む作品というとらえ方ではなく、ヒロインが事件を解決して溜飲を下げる。コメディータッチも含めたエンターテイメントを楽しんでいただければと思います」

【目指せ愛されキャラ!? “ともるん”のシャツ】

 真奈子のバディの野津田、通称“ともるん”は、実は、おしゃれさんだった!

「着ているシャツには小さな柄やバイカラーなど彼より上の世代の女性がご覧になって“可愛い”と感じていただけるようなものを着ています」(小林P)

【松雪、提案の真奈子スタイル】

 ロングヘアの三つ編みにメガネ、ロングジレにリュックをコーデした真奈子のファッションにも注目!

「真奈子は男勝りでカッコいいスタイルではなく、女性として生まれたことも楽しんでいる。真奈子流キュートな装いを松雪さんが、ご提案くださいました。メガネや服装、調査に必要な道具を詰めているけれどおしゃれなリュック。女性の魅力と事故現場で場違いにならない両方を満たしているスタイルを作り上げてくれました」(小林P)

●Information●
ドラマ10『ミス・ジコチョー ―天才・天ノ教授の調査ファイル―』
NHK総合 金曜夜10時〜