消費税は登録日の税率で決まる!

 2019年10月1日になると、消費税率が現在の8%から10%に引き上げられる。クルマを消費増税直前に買う場合、問題になるのは消費増税のタイミングだ。

 コンビニエンスストアなどでは、2019年10月1日午前0時に、消費税率を10%に切り替える。深夜営業の飲食店では、2019年9月30日夜11時に来店して、10月1日午前1時に会計をする客もいるだろう。こういった店では、当日閉店するまでの消費税率は8%で、改めて開店した時点で10%に切り上げるようだ。

 不動産の購入では、価格が高いために消費増税されるタイミングも重要になる。基本的には2019年9月30日までに物件を引き渡すことが消費税率8%の条件だが、注文住宅を建てる時は納期の遅れも考えられる。そこで2019年3月31日までに請負契約を結んでいれば、引き渡しが2019年10月1日以降になっても、消費税率は8%が適用される。これを経過措置という。

 クルマの場合は登録(軽自動車は届け出)の日程で消費税率が決まる。2019年9月30日までに登録できれば消費税率は8%になり、10月1日以降は10%へ切り上げられる。契約を2019年9月30日までに済ませても、登録が10月1日以降になれば消費税率は10%だ。

 クルマには不動産のような経過措置は適用されないから、2019年3月31日までに契約しながら、納期が遅れて登録が10月1日以降になっても消費税率は10%になる。

 たとえばジムニーは2018年7月の登場直後から、納期が約1年に伸びた。この後ジムニーは増産を行い、今では1カ月に2300台前後を届け出している。発売時点に設定した販売目標の約2倍に達するが、納期は依然として縮まらない。販売店では「納期は今でも1年」という。ジムニーを2019年2月頃に契約しながら、納期が年末から来年になるユーザーもいると思うが、購入する時の消費税率は10%に高まってしまう。

 このような事例を考えると、経過措置を適用しないのは不公平で、販売会社も慎重になっている。メーカーの事情による突発的な納期遅れも想定されるため、この数か月間の契約では、消費税率が10%に高まる可能性があることを必ず顧客に伝えるようになった。

小排気量のコンパクトカーは10%で買ったほうが安い可能性も

 納期が9月下旬から10月上旬になりそうな微妙な車種では、敢えて消費税率10%で見積書を作る販売会社もある。理由を尋ねると「8%から10%に高まると誰でも不愉快になるが、10%を想定していたのに8%で済めば、笑顔になれるでしょう」と説明した。

 そして2019年10月1日に消費税率が10%に高まると、自動車取得税が廃止されて環境性能割が導入され、これには1年限りの軽減措置が適用されて税率が下がる。自動車税も年額1000円から4500円の範囲で継続的に引き下げられる。

 これらの効果により、エンジン排気量が1.3リッター以下で価格が160万円以内の小型車なら、2019年10月1日以降に購入したほうが出費を抑えられる場合もある(軽自動車を除く)。

 販売店の在庫車なら2週間程度で納車できるが、もともと高価格車の用意は少ない。コンパクトカーの在庫車を急いで買うなら、自動車税などが下がる10月1日以降に、慎重に選んで購入する方が得策だろう。2019年10月下旬になると、東京モーターショーで次期フィットも披露されるから、参考にすると良いだろう。