XFN-ASIAによると、世界自動車最大手の米GM（ゼネラル・モーターズ）は16日午後、NYSE（ニューヨーク証券取引所）で、一時、18年ぶりの最安値となる20.90ドルにまで急落、前日比5.8％安の21.29ドルで引けた。同日の同社株の出来高は全銘柄3位の3510万株だった。同社は高コスト体質に加え、海外の自動車メーカーからの競争にさらされており、同社の株価は今年に入ってから44％値を下げている。GMの広報担当者は、株価についてコメントを避けた。

　　GMは11日、最大労組であるUAW（全米自動車労組）から、現在、医療費負担がゼロの退職者に支払いを負担させるなど医療費削減策への支持を取り付け、再建に向けて大きく前進したが、赤字を解消するには利益率を向上させなければならない。前年には黒字だった同社の第3四半期業績は今年、16億ドルの赤字となっている。

　　こうした状況の中で、先月、GM株を買い増し、保有比率を9.9％に引き上げた米著名投資家カーク・カーコリアン氏の動向に注目が集まっている。市場関係者は、「物言う株主」として知られる同氏が、同社の取締役の指名が行われる12月8日から2月6日までに、取締役候補を送り込む考えで、その候補者の人数が多ければ多いほど株価にはプラスとなると見ている。

　　また、市場関係者はさらに、経営破たんした自動車部品メーカー最大手のデルファイのストがGMに大打撃を与える可能性も指摘している。ストが実施されれば、自動車の組み立てに必要な部品が調達できなくなるためだ。UAWは16日、ウェブサイトを通じて「会社側の労働契約案は合意可能なものではなく、対決への道筋だ」と強い口調で批判している。GMはまた、14日に年末商戦に向けて新たな割引キャンペーンを開始したが、コストがかかりすぎるとして、市場関係者から批判を受けている。結局、必要なのは、割り引かなくても売れる人気車種である。【了】