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 『水曜日のダウンタウン』の制作会社ディレクターが今月6日、児童買春で逮捕されていた。同番組は、これまでに何度も謝罪の事態に直面する“いわく付き物件”だ。

 確かな裏付けや科学的根拠がない“説”を、お笑い芸人がプレゼン、映像で検証していく実験ロケ番組。15年1月オンエア分では、“福袋が1つも売れなかった店”を検証。某100円ショップを紹介したが、承諾なくオンエアしたうえに、実際は完売しており、店名も誤記だった。同月には、“ブックオフの福袋を買うヤツはどうかしてる説”という表現が、あたかも福袋の中身に価値がないかのような誤解を与えたとしてお詫びしている。

 翌16年5月には、進行中の企画“クロちゃん(安田大サーカス)救出”が中止に追い込まれている。これは、某マンションの一室に閉じ込められたクロちゃんのTwitter情報だけで、視聴者が部屋を探し当てるというもの。だが、間違った住所がツイートされたり、該当の部屋でないインターフォンが鳴らされる行為が相次いだ。

 しかしその一方で、放送批評懇談会が優れた番組と推奨する“ギャラクシー賞”の月間賞を2度も受賞している。今年6月の“先生のモノマネ、プロがやったら死ぬほど子供にウケる説”は、教員、生徒、ものまね芸人の全員が笑顔になれる好企画だった。

 そもそも同番組は、良識ある大人なら首を傾げたくなるような“説”を徹底的に調べ、ロケ芸人が体を張って取り組むのが魅力。観ている側が脳裏に「BPO」(放送倫理・番組向上機構)をよぎらせつつも、触れないギリギリをキープしようとするスタッフの攻防も、人気のひとつだ。時には、ド深夜帯のバラエティやネット番組さながらの無法地帯と化すこともある。それでも、絶対的守護神のダウンタウンと、腕のあるプレゼン芸人が笑いに変えてみせるため、VTRで何かしらに挑戦した芸人も、成果を体感できる。

 スタジオでのプレゼン芸人は基本、小籔千豊やバカリズム、サンドウィッチマンといった確かな腕の持ち主。しかし、関西ローカル芸人のたむらけんじもしっかり押さえるあたりに、この役割は知名度ではなく、適材適所の安定感であることがわかる。それは、VTR芸人も同じだ。バイきんぐ、オードリー・春日俊彰、三四郎・小宮浩信とともに、マテンロウ、あかつ、先のクロちゃんも高い出演率を誇る。特に、自宅マンション、室内、プライベートの場、テレビ局などあらゆる場所で拉致され、無理やり企画に乗せられたクロちゃんは、同番組で天然さと腹黒さを表出させ、オンリーワンの居場所をつかんだ。

 昨年9月には、『水曜日のダウソタウソ』と銘打って、ダウンタウンのものまね芸人・ダウソタウソが中心となったスタジオトークを展開。脇を固めるのも、まねだ聖子、ウドの鈴木ほかものまね芸人だけで、番組最後にネタばらしをした。

 今年9月には、“自分の私物を他人が身に付けていても意外と気付かない説”を検証。対象となる芸人宅に、合い鍵を使ったスタッフが事前に潜入。私物を拝借して、ニセ取材中に、芸人と同じTシャツ、バッグ、キャップ、スニーカーを身にまとった人を目撃したときの反応を見た。引っかけられた1人のダイノジ・大地洋輔が最後に叫んだ言葉は、今の番組主旨そのものといえよう。

 「この番組、犯罪スレスレだよ」

 くしくも放映時、番組制作スタッフがスレスレの域を超えて逮捕されていたとは、なんとも皮肉だ。