ソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】

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今季は2度の離脱も15試合目で10勝をマーク

 本来の姿を取り戻しつつある。ソフトバンクの千賀滉大投手である。左背部の張りで2度チームを離れた右腕だが、シーズン終盤にきて、その頼もしさは増すばかりだ。

 8月12日の日本ハム戦(ヤフオクD)。7イニング中5イニングで走者を出しながらも、得点は許さず。7回5安打無失点の好投に「とにかくゼロに抑えられたことがよかったです」と息を吐いた。対日本ハムは今季6戦6勝とし、今季10勝目をマーク。2年連続の2桁勝利は、育成出身者初の快挙となった。

 侍ジャパンの一員として今春のWBCに出場し、侍ジャパンから唯一の大会ベストナインに選出された千賀。昨季は先発に転向して初の2桁勝利となる12勝をマーク。今季は離脱がありながらも、15度目の先発で2桁に乗せる10勝目を挙げた。もはや、球界でも指折りの好投手へと成長を遂げているが、その中で昨季との変化、成長はどこにあるのか。

 千賀自身は「今年はしっかり自分の意図して投げるボールが増えた。そういう積み重ねが多いと思います。球数が多い試合も減ってきている。いい風になってきていると思います」と感じている。ただ捕手の要求に対して投げるだけでなく、1球1球に意図を込め、その意図に沿って投げられていること、「この力感でこのフォームならこういうボールがいくだろう」というイメージに合ったボールがいく精度の向上が、昨季と今季の違いだという。

 左背部の張りで2度の離脱があった今季。まだ状態には上昇の余地がある。「ここから上がっていけばいいかなと思っています」と千賀。7月8日の日本ハム戦(札幌D)から自身4連勝。ここ4試合は1失点、無失点、1失点、無失点となっており、付け入る隙は見当たらない。勝負の終盤戦。千賀がチームの柱となっていくだろう。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)