アレクサンダー・ズベレフ【写真:Getty Images】

写真拡大

20歳ズベレフが相手マッチポイントから49本のラリーを制してミラクル大逆転勝ち

 男子テニスのグランドスラム、全米オープンの前哨戦として熱戦が繰り広げられているロジャーズ・カップで49本に及ぶ長すぎるラリーが飛び出し、話題を呼んでいる。その時間、実に77秒。どちらも譲らず、ミスをしない完璧なラリーをATP中継サイトの「テニスTV」が公式ツイッターで動画付きで紹介。「ポイント・オブ・ザ・イヤーだ」とファンから大拍手が巻き起こっている。

 いったい、いつまで続くのだろうか。観客したファンも首が疲れそうなラリーが展開されたのは、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)―リシャール・ガスケ(フランス)の2回戦だ。

 1-1で迎えた最終セット。ズベレフがゲームカウント5-6でリードされ、しかもガスケにマッチポイントを握られた絶体絶命の場面だった。

 ズベレフのサービスから始まったラリーは、ズベレフが強烈なフォアとバックハンドを繰り出し、ガスケがレシーブし続ける展開に。ズベレフは左右に揺さぶりながらミスを待つが、歴戦の名手ガスケも正確に打ち返す。そんなラリーが10本、20本……と続いていく。次第にガスケも強烈なフォアを繰り出して仕掛けるが、ズベレフも応戦。30本を超えると観客もざわつき始めた。

 それでも、実力者2人による美しきラリーは終わらず、40本に突入。展開が動いたのは、47本目だった。ズベレフが右サイドへ強烈なフォアを放った。これをガスケは体勢を崩しながらなんとか48本目を返したが、これを見たズベレフは今度は左サイドへフォアを見舞った。ガスケはこれに追いつけず、ついに49本目で長すぎるラリーは終わりの時を迎えた。

 客席から大歓声が沸き起こり、ズベレフは両手を広げ、もっと盛り上がってくれと言わんばかりにファンを煽った。一方、ガスケは額に汗をにじませながら膝に手を突き、疲労感をにじませた。

ファン絶賛の嵐「すげぇ…」「究極の攻防だ」「人生で最もインクレディブル」

 その間、実に77秒。勝利への執念が生み出した49本のラリーは「テニスTV」が「マッチポイントの場面、試合をとどめる巨大な49ショットラリーで狼煙を上げた。ブラボー、アレクサンダー・ズベレフ」と称賛とともに動画で紹介。スーパーラリーを目の当たりにしたファンから感嘆の声が続々と上がった。

「ポイント・オブ・ザ・イヤーだ。すげぇ…」

「圧巻のディフェンス&ベースラインプレーだ」

「究極の攻防だ」

「なんてポイントなんだ!」

「両者とも疲弊し切っていた。それが素晴らしい試合であったことを物語っている」

「このワンプレーがテニスファンがこの試合を見るべき理由になっている」

「人生で最もインクレディブルなプレーだ…そして、ズベレフの存在も」

 何よりもズベレフが際立ったのは、49本のラリーの末にタイブレークに持ち込むと、ここから大逆転勝ちで3回戦進出を決めたことだ。まさに奇跡的なラリー。シティ・オープンでは錦織圭(日清食品)を準決勝で撃破し、優勝するなど、次代のスター候補として注目される20歳。テニス界で今、最も勢いに乗る怪物は、何をやっても凄い。