2020年東京五輪・パラリンピック広報メッセージ「みんなの輝き、つなげていこう。」

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2020年東京五輪・パラリンピックに向け、またひとつ心配のタネが持ち上がってきました。6日に行なわれた有識者によるマスコット検討会議にて、東京五輪・パラリンピックのマスコットの名前はプロ限定での募集とする方針を固めたのです。

すでにデザインそのものの選考についての方針も定まっていますが、こちらも事実上プロ限定と言える内容。建前としては子どもの意見も取り入れた一般公募とされるとのことですが、応募にあたっては「キャラクターの物語性や世界観」「意匠登録に必要となる6面デザイン」「表情の違いや競技ポーズのデザイン」などの提出が要求される方針であり、一般人の思いつきが入り込む余地はほとんどありません。

このうえでさらにネーミングについてもプロ限定での公募となれば、マスコットを生み出すにあたって一般の人々が関わる機会はほとんどなくなります。検討会議では「ネーミングは国内外で商標権のハードルが高い」と説明したそうですが、それでは新国立競技場やエンブレムと同じ轍を踏むことになるでしょう。

商標権・意匠権の確保にあたって余計な手間が増えるとしても、それは最終的には「手間」の問題にすぎません。東京五輪をめぐって生まれた流れは、「どこかのエライ誰かが勝手に決めた」ものを決然と拒否する流れであり、最終的に民意の賛同を得られなければ話が進められないという流れです。多くの人が忌み嫌ったままのモノは、2020年まで押し通すことなどできないのです。

民意の賛同を得るために絶対に欠かせないのが、誰もが参加可能なステップを通過することです。そのステップに「参加しなかった人」は自らチャンスを放棄したわけですから、あとからクチを挟む資格はないと認めざるを得ないでしょう。「参加した人」については開かれた審査を経ることで、落選を納得してもらうことができます。そうすることで初めて、好き・嫌いで左右されない「納得」が生まれるのです。

要求のレベルが高いのはともかく、最初から入口を狭めてしまえば、再び「やり直し」の憂き目を見ることにつながりかねません。広くすべての人から公募したうえで、要件を満たさないものを審査で弾けば、それで話は済むのです。応募者には思い出が残り、応募しなかった人も含めて「全員参加」のステップを通過することができるのですから、大会の盛り上がりという意味でもやらない手はないのです。

マスコットはもっとも一般の人がクチを出しやすい対象ですから、必ず面白おかしく茶々が入ります。そこで「茶々を入れるなら何故あなたは応募しなかった」と言い張れる状況が大切なのです。あとでクチを出されて困るのは決める側。入口は全員に向けて開き、頑張って審査をするほうが最終的にはいい結果になる。新国立競技場やエンブレムの経験から得た学びを忘れてはいけません。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)