観光庁、「中国人には練りワサビたっぷり」推奨 8年前のマニュアル、「市場ずし」騒動で注目
大阪・難波の寿司店「市場ずし 難波店」が大量のわさびを乗せた握り寿司を外国人観光客に提供していたとされる問題にからんで、観光庁が8年前に発表した資料「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」に改めて注目が集まっている。
同庁は、外国人客への対応方法を国別にまとめたこの資料に「刺身を食べる中国人には、練りワサビをたっぷりと提供する方がよい」と記載していた。
「1回の食事で1本の練りワサビを使い切る人も」
「市場ずし 難波店」をめぐっては2016年9月ごろから、握り寿司にわさびを大量に盛って「嫌がらせ」されたという韓国人、中国人観光客らの指摘がネットに相次いだ。さらに、そうした投稿を目にした日本人のネットユーザーが、「わさびテロ」などと店側を強く批判していた。
これをうけ、店舗を運営する藤井食品(茨木市)は10月2日に公式サイトで釈明。従業員による民族差別的な発言は確認できなかった、としながらも「ガリやわさびの増量の要望が非常に多い」ため、外国人観光客に「事前確認なし」で大量のわさびを提供していたことを認めた。
しかし、今なおツイッターでは「店側に民族差別的な振る舞いがあったのではないか」と疑う趣旨の書き込みが多い。
そんな中、観光庁が2008年2月に発表した資料「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」に中国人客に多めの練りわさびを提供するよう勧める一文がネットユーザーに「発掘」された。
同資料は外国人客への対応方法を国別に記したもの。数人の有識者からなる「多様な食文化・食習慣を有する訪日外国人接遇ガイドライン 懇談会」での検討内容と専門家への取材に基づいて作成された。
同資料によると、「刺身を食べる中国人には、練りワサビをたっぷりと提供する方がよい」といい、「1回の食事で1本の練りワサビを使い切る人もいる」という。ただ、韓国人については、わさびの好き嫌いと関連付ける記述は見られなかった。
「市場ずし」が観光庁の資料を参考に接客していたのかは不明だが、資料の内容が事実なら、わさびを大量に盛るサービスは、ある意味、観光庁の「お墨付き」ということにもなる。
観光庁「実際の調査に基づいて書かれたものではあるが...」
掲示板サイトなどでは
「ちょっと不思議だな」
「店側の対応が正しかったんじゃないか」
「意外な展開になってきた」
といった反応が寄せられている。
実際、中国人は食事中に練りわさびを「たっぷり」使うのか。同庁観光産業課の担当者に取材すると、
「当時の担当者がもういないため、調査票等が手元にありません。実際の調査に基づいて書かれたものではありますが、ずいぶん前の資料なので、現状と異なる部分があるかもしれません」
という。とはいえ、取材に応じた担当者は「嘘を書いたつもりはない」と強調した。
J-CASTニュースが調べると、やはり来日した中国人はしばしばわさびを大量に食べるらしい。たとえば、「中国人ご一行様からのクレームです〜中国人観光客とうまく付き合うためのヒント〜」(伊藤雅雄著、三修社 2009年)では、味の濃い料理や香辛料を好む性質から「しょうゆが緑色になるくらいまで念入りにわさびを混ぜ、それを付けて食べるのが『中国流』」だと説明されていた。