リオデジャネイロ五輪、レスリング女子フリースタイル53キロ級に出場した吉田沙保里は、その決勝でアメリカのヘレン・マルーリスに敗退。銀メダルを獲得するも、五輪4連覇を逃した"女王"は敗戦の責任を感じ、試合直後から泣き続けた。

すると、28日のTBS「情熱大陸」では「今明かされる激闘200日 レスリング_吉田沙保里」と題し、リオ五輪に臨んだ吉田の日々と帰国後に語った心境を伝えた。

2004年、大学4年生の時に迎えたアテネ五輪から12年。五輪の大舞台であっても普段通りの実力を発揮してきた吉田は、当時の心構えを「戦う相手もそんなに変わってないし、舞台がオリンピックっていう名前で注目度が違うっていう、それだけなんで。普通に戦えば大丈夫かなって自分で勝手に決めた」と振り返った。

それでも月日の経過とともに、33歳の吉田は、練習を途中で切り上げることも増え、ケガとの戦いも続いた。番組スタッフから「8年前と比べると練習の量は随分減りましたよね?」と訊かれると、「それをずっと続けると(自分の身体が)壊れてくるんで自然とですかね。量というか、やることは集中してやってるんで、追い込んで。短期集中になったのかもしれない」などと話す。

だが、練習でケガをしても周囲に心配させまいと気丈に振る舞う吉田。歯が折れるケガをしても尚、病院に直行するよりも見学者との記念撮影を優先させたり、五輪まで半年をきっているにも関わらず、爪が剥がれるアクシデントがあっても、焦ったり落ち込む気配すら見せず後輩達に積極的にアドバイスを送る。それでいて自身の対戦相手について話を訊かれるや、「映像を貰っています」と言いながらも「今観たらドキドキし過ぎてヤバいんで。あんまり早く観ない」と意外な一面も――。

結局「一番ドキドキするんじゃないかと思う」と戦前に語っていた吉田の五輪は、銀メダルという結果に終わったが、後輩達は皆揃って吉田に感謝し、24日に帰国した彼女の顔には笑顔が戻っていた。

番組のカメラに「新鮮でしょ、いつも金を見てるから。結構好きっすけどね」とおどけた吉田だったが、「やっぱり金メダル獲った人を見てると金はいいなって思います」と本音をのぞかせる。

それでも「その後ろには銀とか銅とか、それ以外の入賞者がいて、その人達のことって勝った時はあまり考えたことがなかったので。戦える人がいるから順位も付くし競い合える。負けた人の気持ちが本当によく分かった大会。よいオリンピックでした。出て良かったです」と結論付けると、今後については「今はすぐ決めれないですけど。指導の道も考えたりし始めているし、そう考えてるってことは、これで一区切りなのかなっていう思いも」と胸中を明かした。