侍ジャパンU-18代表vs早稲田大学
本塁打を打った九鬼隆平（秀岳館）
侍ジャパンU-18代表が初の練習試合を行った。その大事な初戦。侍ジャパンU-18代表の先発マウンドに登ったのは寺島 成輝（履正社）だ。今年の左を代表する好投手だが、どうも体が重いのかピリッとしない。先頭打者を四球。さらにけん制悪送球で三塁まで行かせてしまい、2番岩浪優也の右前適時打を打たれ、先制を許す。
だが1回裏、いきなり一死一、二塁のチャンスを作り、4番九鬼 隆平(秀岳館）が甘く入ったボールを見逃さず、豪快な3ランを放ち、逆転に成功する。九鬼は練習から木製で打っているというが、それでも高校生とは思えないぐらい凄まじい打球速度であった。だが寺島はなかなか調子が上がらず、2回表にも長打を浴びて2失点。
トータルで3回2失点だった。最速は140キロ。立ち上がりから130キロ前半の速球が多く、力配分をしているというより、身体が重いのか、マウンドがあまりあっていないのか、145キロ級の速球を連発していた近畿大会や甲子園ほどの勢いはなかった。ここから調子を上げていけるか注目をしていきたい。
そして4回表から早川 隆久（木更津総合）がマウンドに登った。早川も立ち上がりから140キロ前後の速球を投げ込むなど、ストレートの質自体はかなり良かった。ただ制球力がうまくまとまらず、バッテリーミスから同点を許すが、それでも早川は二者連続三振にピンチを断ち切るなど、要所での勝負強さは大学生相手にも発揮していた。
侍ジャパンU-18代表は、4回裏、一死三塁のチャンスを作り、7番佐藤 勇基（中京大中京）の犠飛で勝ち越しに成功した。早川はストレート、スライダー、チェンジアップを低めに投げ分けるピッチングで、3回1失点の好投を見せる。
7回表から堀 瑞輝（広島新庄）が入った。堀は立ち上がりに苦労し、二死満塁のピンチを招いたが早稲田大の3番檜村篤史をスライダーで空振り三振にきってとる。堀は尻上がりに調子を上げていき、常時140キロ前半のストレートとキレ味鋭いスライダーはかなりのキレを誇っており、大学生相手にも空振りを奪っていた。今日は多数のNPBスカウトが集結していたが、良いアピールになったことだろう。
さらに8回裏、入江 大生（作新学院）の犠飛で1点を追加し、5対3とした侍ジャパンU-18代表。これはとても大きな1点だった。
堀瑞輝（広島新庄）
9回表、二死一塁から1番富田 直希が堀のストレートを捉え左中間を破る適時二塁打を放ち、一気に1点差に。だがそれでもバッテリーは全く焦りがなかった。最後は堀が自信にするスライダーで2番岩浪をスライダーで空振り三振に打ち取り、試合終了。侍ジャパンU-18代表が勝利をモノにした。堀は3イニングで7奪三振。ドクターKぶりをこの試合で発揮した。
今回の侍ジャパンU-18代表。投手陣は近年でも最強と言ってもいい投手陣であるが、Bチームとはいえ、甲子園経験者が多数いる早稲田大はなかなか手ごわい相手であった。高校生ならば打ち取れるボールを早稲田大の各打者はしっかりと打ち返す。今までU-18代表は近畿地区の大学生と試合を組むことが多いが、関東圏の大学生と試合を組むことはまれ。Bチームでも非常にレベルが高い選手が多く、そういう中で点を取り合いを制したのは、本戦を迎える前にナインにとっては意義のある1勝であった。投手陣が好調とは限らない。無失点で抑えるとは限らない。そういう不利な状況からも点を取れたのは評価できるものであった。
3番鈴木 将平、4番九鬼の2人はかなり強力。打線もまずまずの当たりを見せていたが、タイブレークで140キロ後半の速球を投げ込む投手相手に苦労をしていた。130キロ〜140キロの速球には対応ができているので、それ以上の球速を投げる投手に対して、どう打ち崩していくかも鍵になりそうだ。
9回を終えて、タイブレーク制の練習を行いつつ、試合後には各自が連携練習を行うなど、本戦の準備に向けて余念がない。
次も大学生相手に練習試合を行うが、投手、打者ともに本来のパフォーマンスを発揮できるか見所になりそうだ。
（文＝河嶋 宗一）
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