2005年に日本国内で自殺した日本人は前年比0.7%増の3万2552人で、8年連続して3万人を超えたことが1日、警察庁のまとめでわかった。例年通り中高年の自殺が多いが、20−30代は伸びが大きく、30代は過去最悪を記録した。

 昨年の自殺者数は統計を取り始めた78年以降4番目に多かったが、性別では男性が2万3540人で、全体の72.3%を占めた。

 年代別では、最も多かったのが60歳以上で1万894人(前年比0.9%減)。以下、50代の7586人(同2.4%減)、40代の5208人(同2.1%増)、30代の4606人(同6.3%増)、20代の3409人(同5.0%増)と続いた。高校生は215人、中学生は66人、小学生は7人だった。

 遺書があった人の動機を調べたところ、トップは「健康問題」で40.0%。次いで「経済・生活問題」(31.4%)、「家庭問題」(9.8%)、「勤務問題」(6.3%)の順となった。

 職業別では、無職者が1万5409人で、全体の47.3%を占めた。会社員などの被雇用者は8312人(25.5%)、自営業者は3700人(11.4%)だった。
 
 自殺をめぐっては、WHO(世界保健機構)は「自殺は防ぐことができる公衆衛生上の問題」と明言、自殺対策に取り組むNPOなども「日本の自殺対策は遅れている」と指定している。自殺未遂者は自殺者の10倍、それによって影響を受ける人がさらに10倍いるといわれ、超党派の国会議員が現在、「自殺防止対策基本法」を今国会で制定に向けて取り組んでいる途上だ。基本法には、自殺対策を「国と自治体の責務」と明記し、自殺の実態調査や未遂者、遺族へのケアなどに取り組むことを求めている。【了】

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