政府は26日開いた局長級の自殺対策関係省庁連絡会議で、自殺者数を今後10年間で2万5000人程度にまで抑える数値目標を盛り込んだ自殺予防の総合対策を、初めて取りまとめた。自殺者がおよそ3万2000人だった04年と比較すると、7000人程度の削減を目指す。

 日本の自殺死亡者数は、警察庁によると1997年までは2万5000人前後で推移していたが、翌98年に一挙に3万人を超え、以後7年連続で3万人台が続いている。自殺の背景として失業などがあるとされているが、これまで行政によって十分な自殺対策が行われていたとはいえず、総務省が1日に結果発表した自殺予防に関する調査では、特に対策を立てていない都道府県があったり、実態把握が不十分であると指摘された。

 今回まとめられた政府の対策では、まず自殺の実態分析に力を入れ、自殺要望に向けた新たな調査も検討する。また、自殺と関連性が強いとされるうつ病などについても、現況を詳しく調べ、治療法の開発を推進する。また、都道府県に対しては民間団体と連携する自殺対策連絡協議会の設置や、自殺問題の担当部署の明確化を促す。

 このほか総合対策には、新設される自殺予防総合対策センターなどを活用して、自殺予防に関する正しい理解を普及、啓発することや、相談体制を充実することなどが盛り込まれた。【了】

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