期待のスマートウォッチは本当に必要なのか?成功するための5つの条件

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混雑した通勤通学の電車や荷物で手がふさがっているときに電話やメールの着信、ソーシャルサービスの通知が入ることはよくある。こうした場合、いくらスマホが手のひらサイズで小型だといっても、大抵は電話に出たり、通知を確認したりすることができない。結果、電車を降りたり、荷物を落としたりした後に履歴を確認したり、折り返し連絡するケースが多い。

重要な連絡ではければ良いが、もしビジネスや身内の危険などの重要な連絡だったらと考えると、わずか数分のことであっても確認ができない間は落ち着かず、非常に長く感じられる。

そうしたシーンで役立つのが、身につけ使えるスマートウォッチだ。
スマートウォッチに求められているのはスマホと同じ機能ではない。どのような状況でも通知や連絡が確認できて、重要なのか、そうでないのかを判断できることだ。また、わずかな空き時間で音楽やラジオを聞けたり、目の前で突然起きた事件写真を撮ったりできるなど、スマホよりも素早く、手軽なツールとしてだ。

身につけられることで、どのような状態でも使えるスマートウォッチは、スマホの次のヒット商品として期待され、すでに各社から販売されている。現在のスマートウォッチは、スマホと無線接続して、メールや電話の着信、予定表の内容確認、スマホで撮影した写真を見ることができる。


腕にはめた時計でスマホの情報を見ることができるスマートウォッチ


世界的にも期待されているスマートウォッチは、すでに販売されているにも関わらず、実際に使っている人は、まだ少ないようだ。筆者の周りでも、スマートウォッチを使っているという話は聞くことは、多くはない。

スマートウォッチは、手に持つ必要がないため、スマホのように手がふさがって、ほかのこができないということはない。またスマホと組み合わせることで、現在のスマホの使い勝手を改善し、非常に便利にしてくれる製品でもある。

しかし、実際には、ほとんど普及していないのはなぜだろう?
どうやら現在販売されているスマートウォッチは、まだ誰もが使うにはいくつか問題があるようだ。

1:そもそもスマートウォッチは、本当に必要なのか?
スマートウォッチの利用シーンとして想定されているのが、電話やメールの着信、ソーシャルサービスの更新通知を受けることだ。しかし、実際の日常生活でスマホを手に取れず、スマートウォッチを使わなくて通知確認ができないシーンは多くない。

また通知機能だけでなく、心拍数の計測などヘルス関連機能を搭載したものも登場してきている。しかし、健康管理も誰もが必要としてはあおらず、スマートウォッチが老若男女、どのような人にも便利だという証明や説明を消費者に伝えられていないのだ。

2:スマホと同じような操作では、使いにくい
現在のスマートウォッチは、スマホの音楽再生やカメラのシャッター操作、世界時計、万歩計、タイマーなど様々なアプリが搭載されている。だが本体や画面も小さいスマートウォッチはボタン類の数も少ない。そのためアプリの設定やアプリの切り替え操作は、お世辞にも使い易いとは言いにくいのだ。音声コントロールや、指先1本だけ操作など、スマホとは異なる簡単に使える操作システムが必要だろう。


スマートウォッチは高機能だが本体が小さいため操作性に難がある


3::毎日充電しなくてはならない面倒さ
腕時計を使っている人は、普段は電池切れやバッテリー寿命を毎日気にすることは無いだろう?現在発売されているスマートウォッチは、電池駆動時間は1日程度で、毎日の充電が必要となる製品が青多い。しかも充電するためにはケーブルをつないだり専用クレードルに乗せなければならない。スマホのワイヤレス充電(Qiなど)のように手軽にできるようにならなければ「買って3日で使わなくなる」のは目に見えている。

4:追加で買うには、高すぎるスマートウォッチ
現在のスマートウォッチの価格は、2万円から3万円と決して安くはない。最近のスマホ体本体5万円から10万円と高価格だ。この高いスマホを買った上に数万円のスマートウォッチを買うのは家計的にも難しいだろう。

5:デザインや質感が初期のデジタル時計で 今の時計のファッション性と差がありすぎ
実は、スマートウォッチが売れていない一番の理由はこれだろう。今使っている腕時計と比べて、スマートウォッチの質感は、誰が見ても低価格な時計や、初期のデジタル時計そのものだ。
腕時計は時間を知るためのものではない。自己表現をするファッションの一つにもなっている。

スマートウォッチの5つの問題点を解決しているリストバンド型ヘルス製品
スマートウォッチが売れていない一方で、腕輪タイプの単機能なリストバンド型ヘルス製品の売れ行きは好調だ。日本でも販売されているジョウボーン・アップは、一時は品切れになるほどの人気で利用している人も多い。


シンプルなリストバンド型の製品は日本でもよく売れている


ジョウボーン・アップがヒットした背景には、シンプルな機能「健康状態を記録するだけ」、簡単な使い方「スマホのヘッドフォン端子に差すだけでデータを同期」、バッテリーが持つ「フル充電で1週間利用可能」、価格が安い「1万円台」、腕に付けても気にならないデザイン「カラーリングも豊富」といった点がある。まさしく、今のスマートウォッチが売れていない5つの問題点をすべて解決している。

グーグルもAppleも注目だが、消費者が求めるスマートウォッチを作れるのか
スマートウォッチは今年に入ってからグーグルが専用のシステム(OS)を発表し、この夏にも新製品がいくつか登場する予定だ。またアップルもこの秋発売が噂されるiPhone 6に合わせてスマートウォッチを販売するのではという予測も絶えない。スマートウォッチ市場への期待と注力は、これからも大きくなっていくと考えられる。

しかし,大手メーカーであっても、製品の性能や機能、デザインが優れていたとしても、5つの要素をクリアしなければ「スマートウォッチは必要ない」と消費者の厳しいジャッジを受ける可能性は高いだろう。

スマートウォッチ成功のために、メーカーの都合ではなく。消費者に「欲しい」「使いたい」と思わせる製品に期待したいものだ。


山根康宏