電磁波とは携帯電話などから発せられるマイクロ波と送電線から発生する低周波をいう。これらの電磁波は微弱なため、事業者は健康に影響はないと主張してきた。ところが、長期に渡って浴び続けていると、さまざまな障害が起こることが報告されている。
 中でも最もわかりやすいのは、携帯電話の基地局を設置したマンションで発生した住民の健康被害だ。
 沖縄でこんなことがあった。マンションで800Mhzと2ギガのアンテナを設置したところ、住民の間に頭痛、耳鳴り、倦怠感、イライラ、精神錯乱、意識障害などの苦情が出たというのだ。
 マンションに住んでいた医師が住民の苦情を聴き取り調査をして、健康被害がひどくなったのはアンテナ設置の後だというのがわかった。
 理事会で、基地局の撤去を決め、それが実施されると、住民の主症状はほとんどなくなったという。

 電磁波を浴びると、なぜ、胸がしめつけられたり、頭がフラフラするのか。
 「これまでの研究で、細胞内のカルシウムイオンが流出し、脳の松果体から分泌されるメラトニンが減少することがわかっています。カルシウムイオンは神経の伝達や心臓の鼓動に影響します。メラトニンは睡眠覚醒など、生活のリズムを体内に伝える働きがあります。そうした働きが電磁波で損なわれるのですから、頭痛、疲労、睡眠不足、集中力の低下や不定愁訴が起こるのは当然かもしれません」(宮田氏)

 Aさんの他にも、マンションの躯体に埋め込まれた電気の配線がわかるという患者もいた。
 一番身近な問題は、携帯電話のマイクロ波。東京都墨田区にできたスカイツリーからもそれは出ており、当然、東京タワー時代よりも強力であるはずだ。
 「心配なのは、子供たちが携帯電話を当たり前のように所持していることです。子供の頭蓋骨は大人に比べて薄いだけに、脳は電磁波の影響を受けやすいのです」(宮田氏)

 米国では、妊娠中に日常的に携帯電話を使用した母親から生まれた子供は、問題行動を起こすリスクが高まるという研究結果が出ている。それは携帯電話の健康影響を研究する専門家チームによって報告された。
 今や、幼稚園児でさえ携帯を使う時代だが、親は子が携帯電話を長時間使わないよう注意すべきだろう。

 電磁波を発する機器とは切っても切れない現代人の生活。では、電磁波アレルギーを回避するためにはどうすればいいのか。
 「子供たちに携帯を持たせないのは言うまでもありませんが、ビタミンC、ビタミンE,ビタミンB群、マグネシウム、カルシウムを十分摂取することです。そうすれば、電磁波による健康被害から少しは身を守れるでしょう」(宮田氏)

 世界一のスカイツリーを眺めているだけではわからない、見えない“恐怖”がそこにある…。