ザッケローニ日本代表監督


「パレスチナがアフガニスタンを2-0で下したのを知っているか?世界で行われているカルチョはすべて知っておくべきだ。すでにワールドカップ予選が始まっている。私が警戒しているのはイラン、サウジアラビア、オーストラリアだ」。


アルベルト・ザッケローニ日本代表監督。彼と日本サッカー協会の契約は1年後に切れるが、アジアカップを制した彼と日本の間に障害など存在しない。


「3つの代表チームと国外のクラブチームからオファーを貰ったがすべて断った。私は2014年のワールドカップで日本を率いるからね」。


―ミステル・ザッケローニ、日本代表監督になって10ヶ月が経ちました。日本語は話せるようになりましたか?

まさか。いつも通訳にお願いしている。おかげで最近は失言をすることもなくなったね。


サッカー協会のスタッフと最初に夕食に行ったとき、「cin cin!(乾杯)」と言ったんだが、日本語では少し卑猥な言葉だったようだ。それに小指を挙げる仕草は「愛人」という意味らしい。みんな苦笑いしていたよ。


―あなたから見て、日本とはどんな国ですか?

生き生きとした素晴らしい国だ。東京には8万件ものレストランがあり、それでいて京都には時が止まったようなレトロな街並みが残っている。それに広島には平和記念館がある。


夜中に突然現れたような建物があちこちにあって、おもちゃのようにピカピカな車が行き交う。まるでテレビゲームの中にいるような気分だった。飛行機から見た砂浜はとても綺麗で海も最高なんだ。私は工場ばかりだと思っていたからね。


人々は温かく、皆が協力的だ。震災の影響が深く残る今もそれは変わっていない。そして代表選手たちの目が悲しみに満ちていることもすぐに分かった。


―どんなチームなんでしょう?

彼らの物の考え方は、まず他人に迷惑をかけないというところから始まる。練習が終わればシャツやソックスは各自、自分のバッグに入れ、自分でスパイクを持って移動する。


―セリエAでは長友と森本がプレーしています。

長友はスピートがあり、持久力もある。両足も使えてクロスボールも良い。彼に足りないのは身長と狡賢さだけだ。森本はカターニャで出番を失っていたうえ、私たちに通知することなく膝の手術をしてしまった。カターニャでこれから活躍すれば、彼を招集することもある。


―本田はイタリアに来るでしょうか?

それは彼次第だな。ユーベ移籍の記事も読んだが、彼は本来のポジションでこそ輝く存在だ。注目の若手はアーセナルからフェイエノールトにレンタルされている宮市、バイエルンに移籍する宇佐美。そしてセルティックの韓国人、キ・ソンヨン。彼の実力はかなりものだ。


―イタリアと日本のカルチョはまったく別のものでしょうか?

イタリアのスタジアムは鉄格子に囲まれて緊張感が張り詰めているが、日本ではある種のフェスタだ。観客には女性も多くいるし、リプレイで微妙なシーンを繰り返し流すこともない。選手たちは学校で基礎を叩き込まれて、無用なファールを犯すことも少ない。


残念ながらセリエAは下降線をたどっている。優秀なイタリア人監督はみんな国外に行ってしまったからね。カペッロ、トラパットーニ、アンチェロッティ、スパレッティ、マンチーニ、それにリッピもそうだ。


―あなたはミラン、インテル、ユーベを率いた経験のある数少ない監督です。

シーズンの最初からチームを率いていたのはミランだけだったけどね。あれ以来シーズンオフのキャンプに参加したことはないんだ。にもかかわらず私はセリエBを除いて、あらゆるカテゴリーで優勝している。私に代理人はいないから、私を推薦してくれる人間なんて誰もいないのさ。


―今シーズンはアッレグリ、ガスペリーニ、コンテが監督です。

アッレグリは私と同様、ミランに来て最初のシーズンでスクデットを獲得した。とてもバランスの良いカルチョを展開していたのは確かだが、昨シーズンはライバルチームの失速があったのも事実だ。


ガスペリーニはとてもスペクタクルなカルチョをする監督だ。インテルが彼を選べたのは驚きだった。彼ほどの監督が、それまでどこのクラブとも契約せずにフリーだったなんて。


コンテはユベントスの選手だったことがプラスに働くだろう。だがユーベの悪いことろは、それまで積み上げてきたものをすべて放棄して0から始めてしまうところだ。2年前から怪我人が多く出ているのは、ムラがあって湿度が高いヴィノーボのピッチのせいだなんて話もある。それが原因かは私にも分からない。


―アッレグリはパトの起用法に悩むことになるでしょうか?彼はベルルスコーニの娘の彼氏です。

特に問題があるとは思わない。会長の横槍よりも彼のコンディションの方がはるかに重要だからね。私だっていつも自分の頭で考えてチームを指揮していた。


―アジアカップの後、ベルルスコーニから電話がかかってきましたか?

いや、最後に話をしたのは5年前かな。彼の仕事の邪魔はしたくないからね。


―ウディネーゼはチャンピオンズリーグの予備戦に出ることになりました。

このクラブは真似されるべきチームだ。ポッゾ会長は新聞にもテレビにも出ることなく仕事を進めている。だから現場にプレッシャーがかかることなく結果が出せるんだ。


―イタリアが恋しくなりませんか?

朝食の時はイタリアの新聞が読みたいね。




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