北朝鮮が中国人観光客に対して、「自家用車を運転しての自国内旅行」を認めた。第1陣は9日午前7時、吉林省長春市を出発した。中国新聞社が報じた。

 約90人の中国人が24台の車両に乗って出発した。今回のツアーは「朝鮮で自ら運転、体験の旅」と名づけられた。9日午後には吉林省琿春市から国境を越え、北朝鮮のラソン(羅先)特別市に向かう。吉林省の若手実業家や旅行会社の代表も参加したという。

 ラソンではラジン(羅津)港や児童によるステージ、故金日成(キム・イルソン)主席ゆかりの史跡などを見学、自由行動も予定されている。一行が中国領内に戻るのは11日午後だ。

 北朝鮮はラソンを「特区」として、経済活性の起爆剤にしようと意図している。そのための「要(かなめ)」のひとつが中国資本の進出だ。中国人による「自家用車の旅」は5月末に認められた。急な決定は北朝鮮側の「懸命さ」を示すとも考えられる。

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◆解説◆ 中国では北朝鮮の政治状況や自国の対朝鮮外交に対する批判意見の表明が増えた。当局が北朝鮮に対して「極端な特別扱いをするとは限らない」との意味を込めて情報統制をゆるめた可能性がある。

 中国にとっては朝鮮半島の「安定」が最大の目標だ。そのためには、「中国の勧めにしたがって“改革開放”に着手し、できるだけ普通の国に近づいて国際的な緊張を緩和する」ことが望ましい。

 一方で、中国の企業家は資本の論理にしたがって、純粋にリスクとリターンをにらみながら、北朝鮮進出を判断すると考えてよい。北朝鮮国内の人権問題や世襲制などは「リスクのひとつ」としてのみ考慮することになるが、中国人は「リスクを小さく、リターンを大きく」評価する場合が多い。(編集担当:如月隼人)



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