サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で16日(日本時間)、ブラジルと対戦し、惜しくも敗れた北朝鮮代表。その試合もさることながら、競技の開始前に涙を見せたFW鄭大世(チョン・テセ、川崎フロンターレ)に、韓国内で注目が集まっている。

 韓国のメディアは、韓国の多くのポータルサイトでは「鄭大世 涙」が検索ワードの1位を記録し、ツイッターには鄭大世に関するつぶやきが絶えず投稿されるなど、自由奔放で率直な発言と人間的な姿を持つ彼の魅力から、「鄭大世シンドローム」におちいったと報じている。  16日には、北朝鮮とブラジルの競技開始前に、涙を見せた鄭大世の姿が視聴者の目を引いた。彼はこの涙に対して「大きな舞台で世界一のブラジルと戦えたことをうれしく思う」気持ちからだと語っていた。

 9日の北朝鮮代表チームの公開練習後、公式インタビューで「(ブラジル戦で)勇敢な心を持てば奇跡を起こすことができる。スポーツと政治は別個だ。個人的には政治はよく分からないが、今回のワールドカップを通じて北朝鮮のイメージを変えたい」と話していた。これらの言葉はツイッター上で続々と取り上げられていると紹介している。

 また、韓国籍の彼が、北朝鮮代表チームで出場することになった理由も関心を集めている。 父親が韓国籍、母親が朝鮮籍を持っているが、北朝鮮系の朝鮮学校に16年間通った彼は、多くの朝鮮学校出身者と同様に、自分の祖国は韓国よりも北朝鮮が近いという考えを持つようになった。

 彼は日韓両国に韓国籍放棄の申請をしているが、日本は北朝鮮と国交がなく、韓国も国籍の変更を認めなかった。そのため、彼は2007年に北朝鮮政府がパスポートを発行する前まで、北朝鮮代表チームに選抜されることができない不運を経験したと伝えている。

 鄭大世は、在日韓国人のファンにサインをする時「民族の魂」という一文を入れるという。南北の境界を飛び越える民族意識が、彼のアイデンティティを代弁すると伝えた韓国のメディアも見られた。(編集担当:李信恵・山口幸治)



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