2トップでのコンビネーションが少ないのも気になる点だ<br>(Photo by Kiminori SAWADA)

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試合後に配布されるマッチレポート(JFAのホームページでも閲覧できる)によれば、韓国戦の日本は58・7パーセントのボール支配率を記録している。ところが試合は1−3の完敗で、シュート数でも8対9とわずかながら韓国に先行されている。いつものことながら、ボール支配率がシュートチャンスへ結びついていない状況が浮かび上がる。

ボール支配率の中身を探るひとつのサンプルとして、残り15分からのフィールドプレーヤーのボールタッチ数を調べてみた。すでに2点のビハインドを背負っており、強引にでも得点機を作り出さなければいけない時間帯だ。

もっともボールタッチ数が多かったのは、センターバックの岩政だった。22回である。次に多いのは、後半から1ボランチ気味になった稲本の19回で、3番目に多いのがセンターバックの中澤で18回だった。最終ラインとそのひとつ手前でのボール廻しが多かったことが分かる。

彼ら3人に続くのが遠藤と長友の17回で、中村憲が16回である。長友に比べて、右サイドバックの内田は12回と少ない。スペースを突く動きが多く、攻撃参加してもボールに触れなかった場合はカウントしていない影響もあるが、最終ラインか中盤に左利きのプレーヤーがいれば、右サイドへもう少しボールが配給されるのではないかと思う。左サイドからの一発のサイドチェンジがないために、センターバックや稲本を経由してサイドを変えることになり、相手の守備ブロックを揺さぶることができていないのだ。

2トップはというと、82分に交代した(つまり6分間がカウントの対象だった)玉田は、わずか2回のボールタッチに終わっている。岡崎は5回で、玉田に代わって出場した佐藤寿人が4回となっている。スペースを作ったり、前線から守備をしたりと、FW陣も試合の流れに関わってはいるのだが、彼ら自身はなかなかボールに触れていないことが分かるだろう。ちなみに、この時間帯のシュートは内田と岡崎の2本である。

2トップのパス交換が少ないのは気になる。コンビネーションでの崩しがあまりに少ないのだ。左右に流れたり、中盤に落ちてきたりと激しく出入りをして動き廻っているが、相手にとって一番怖いゴール前でのプレー機会は数えるほどだ。

リードを2点差に拡げた韓国は、守備のブロックをガッチリと築いてきた。入り込んでいくスペースを見つけにくいのは確かで、ブロックの外側でボールが動くのはしかたがない。

それにしても、もう少し打開策はなかったか。これがW杯の舞台でも、同じようにパスを廻しているだけなのか。ベンチから指示がなくても、中澤か岩政が前線へ上がって良かったのではないか。勝ちたい、点を取りたいという気持ちを抑え込んでまでコンセプトを維持することに、どれほどの意味があるのかと僕は思う。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖