■第9試合ウェルター級/5分3R
チアゴ・アウベス(ブラジル)
Def.3R終了/判定
ジョシュ・コスチェック(米国)

ステップイン、ステップアウト、アウベスの距離に入らないように戦うコスチェック。素早い左ジャブを繰り出すコスチェックだが、そこにアウベスの左フックがヒット。前方にダウンしたコスチェックに追撃のパンチを放つアウベスだが、コスチェックは片足タックルで危機を脱しようとする。

足を抜き、向き直してさらにハイやパンチを見舞うアウベスだったが、ここでもコスチェックは得意のタックルを仕掛ける。一度、距離をとったアウベス、コスチェックは左から伸びのある右ストレートをヒットさせる。

危機を脱したコスチェックは、ヒザ蹴りをボディに受けながらも、両足タックルを執拗に狙い続ける。頭を切り続けたアウベスは、手数を控えたまま1R終了を迎えた。

2R、素早いパンチの応酬を見せる両者、コスチェックの打撃が想像以上に成長の跡をみせる。右ストレートから、スイッチして左ハイをみせたコスチェック、アウベスは左ローを返していく。右をヒットさせたコスチェックは、ジャンピングニーから組ついてテイクダウンを狙う。対して、首相撲からヒザを見舞ったアウベスは、距離をとって左、右と蹴りを放って行く。

左ミドルを交換する二人、アウベスが左ハイからアッパー、ローからミドルと上下に打撃を散らす。目先を変え、片足タックルを仕掛けたコスチェックだが、アウベスが巧みなディフェンスを見せ、そのまま2Rが終了した。

ポイントで不利と判断したコスチェック陣営は、KO狙いを指示する。左ローから左フックを放つアウベス。右ローでバランスを崩したコスチェックの顔面にヒザを蹴りあげる。ダメージが残るコスチェックにパンチを放つが、ここでもコスチェックは低い態勢でテイクダウンを狙い、試合の流れを遮断しようと懸命に動き続ける。

残り時間3分、オクタゴン中央で対峙した両者、コスチェックがプレッシャーをかけて前に出る。サークリングを駆使し、カウンター狙いのアウベスはしっかりとコスチェックの攻撃を見極める。が、ここでコスチェックの指がアウベスの左目に入るアクシデント。

残り90秒から試合が再開となるが、逆転KOが必要なコスチェックが前に出られない。強烈な右ローで再びコスチェックのバランスを崩したアウベスは、右ストレートを伸ばす。残り10秒、コスチェックがジャンビングニーを放つが、距離感が合わない。直後に右ストレートを飛びこんで打ち込んだアウベス。試合終了のホーンが聞こえないほどの集中力で、コスチェックを攻め続けようとし、レフェリーに止めに入られ試合を終えた。

「俺のタイトルショットが見たい? ダナ・ホワイト、俺って良い子だろう? 挑戦権を与えてくれ」とアピールしたアウベス。最後にATT首脳との行き違いでチームを離れ、セコンドにつくことができなくなったコンディショニング・コーチにアンドレ・ベイケイに最大級の感謝の言葉を述べ、オクタゴンを下りた。

この試合に勝てば挑戦権を得ることができる――、そんな精神的作用から絶対的にKOするという気持ちを抑えたかのアウベスのファイトだったが、タイトル挑戦権が彼にあることは間違いない。

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