「髭男爵」が、人気ゲームソフト「プロ野球チームを作ろう!」最新作のCMキャラクターとして起用された。髭男爵は貴族に扮した「山田ルイ53世」とその召使いという設定の「ひぐち君」の2人ががワイングラスを片手に貴族の“お漫才”を繰り広げるお笑い芸人。2人は以前から同ソフトに慣れ親しんでいたとありCM出演に喜びを隠せない様子で、収録時のインタビューも終始ご機嫌で進められた。

 CMに起用された感想を聞かれると山田は『貴族の間でも“やきゅつく”は、キツネ狩りに次いで楽まれている』とのっけから貴族らしいお答え。さらに好きな球団を聞かれ、『上流階級の貴族は大体、阪神を応援しますね』と答えた。

 ……阪神ファンかーい!

 続いて『特に岡田、掛布、バース時代を懐かしみます』。

 ……しかも古いやないかーい!

 よもや高貴な階級の山田が阪神ファンとは思わなかった。山田は公式プロフィールによると、パリ・シャンゼリゼ通りの出身で自称ソルボンヌ大学卒業、趣味はオペラ鑑賞とキツネ狩り。好きな食べ物はキャビア、フォアグラ、トリュフという筋金入りの貴族……という芸風だ。いわゆる“キャラ芸人”には違いないのだが、このキャラはお漫才やコンツェルン(コント)の間だけではなく、ひな壇に登っても崩れることはない。常にワイングラスを放さず、隙を見てはひぐち君とグラスを合わせている。時に素になることもあるが、素から貴族に戻るまでの間もネタにすら見えるほどだ。髭男爵のキャラの通し方は、誰かに似ている。

 デーモン小暮閣下だ。自称紀元前98038年11月10日に地獄の都Bitter Valley地区で発生した閣下はけっして“世を忍ぶ仮の姿”を世間にさらすことなく、現在も悪魔として活動している。この徹底ぶりは他に類を見ない。短命といわれるキャラ芸人だが、閣下はすでに20年以上も活躍し続けている。それはもちろん、キャラの徹底だけではないプラスアルファがあってこそだろう。

 髭男爵は奇抜な衣装とワイングラスに目が行きがちだが、ネタ自体は意外とスタンダード。あの風貌でなくともおもしろく感じられるレベルではないだろうか。今はちょうどブレイク前夜といったところまで来ている髭男爵。ブレイク後に訪れるのは繁栄か、斜陽か。ブレイク後に芸人としての寿命を延ばすためにキャラを変えることはお笑い界ではまま見られるが、成功例はにわかには思い浮かばない。それに髭男爵がキャラを変えて貴族でなくなってしまったら、ただの髭になってしまう。それならばいっそ、没落貴族になって欲しい。

(編集部 三浦ヨーコ)

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