チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督が、戦力補強におけるチームの方針転換について、「補強資金は1ポンドも必要ない」と語り、現有戦力での覇権奪回に自信を覗かせた。

 ロシア人富豪のロマン・アブラモビッチがオーナーに就任して以来、豊富な資金力でスター選手を次々に獲得してきたチェルシー。しかし、2006-07シーズン途中から戦力補強の方針を育成型に転換すると、主力メンバーにケガ人が続出しながらも、今年1月の移籍マーケットでは補強を行なわなかった。

 さらに今オフの補強でも、大幅な節約を敢行。すでに獲得を発表した、MFスティーブ・シドウェル(元レディング)、FWクラウディオ・ピサロ(元バイエルン)、アレックス(元PSV)の3選手の獲得には移籍金が発生しておらず、今後も補強は“自由移籍組”に限定する方針だ。

 しかし指揮官のモウリーニョは、クラブの決定を全面的に支持する考えを明らかにしている。

「我々はすでに多額の資金を費やして、長期間に渡って戦えるメンバーを揃えた。だから、シーズンごとに大型の補強を繰り返す必要はない。過去2年間、我々は基本的に同じメンバーで戦った。マケレレを除けば、まだまだ若いメンバーばかりだ。ケガ人がいないという条件なら、来シーズンも同じメンバーで戦えと言われても、私は喜んで受け入れる。我々は“自給自足型”のクラブに生まれ変わろうとしているんだ。監督の私が巨額の資金を使う必要はないね」

 ケガ人の続出で厳しいシーズンを送り、プレミアリーグのタイトルをマンチェスター・ユナイテッドに譲ったチェルシー。戦線離脱者の穴を埋めるべく、シーズン途中に補強を要請したモウリーニョだったが、これが却下されると、首脳陣との確執を表面化させ、一時は退団確実とまで伝えられた。しかし、シーズンオフを迎えたモウリーニョは、「チェルシーを去るタイミングは何度もあったが、そのたび私は残留を望んできた。このクラブで最善を尽くし続けたいと思っている」と、クラブへの忠誠心をアピール。一部報道では、次期監督候補の選定が水面下で進められているとも言われるだけに、現有戦力の底上げをが必要となる来シーズンこそ、モウリーニョの真価が問われると言えそうだ。