調査員は必ず「調査員」を携帯(総務省のホームページから)

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「国の○○調査に関することです。家族構成を教えて下さい。......さらにどの銀行にいくら預貯金をお持ちですか?」――こんなふうに国の統計調査をかたって、個人情報を聞き出す「かたり調査」詐欺が横行している。そのため、総務省統計局と全国の地方自治体が2018年9月、注意を呼びかけた。

「かたり調査」は、5年に1度実施される国勢調査など、実際の調査に便乗する手口が非常に多い。今回の注意喚起は、やはり5年に1度、全国一斉に実施される「住宅・土地統計調査」が10月1日に迫っていることから、「かたり調査」詐欺の被害を防止する狙いがある。調査日前後の数週間が最も「危険」だ。

ホンモノの調査員は「身分証明書」を身につける

総務省統計局によると、住宅・土地統計調査は、高齢化社会を支える居住環境のあり方や耐震性・防火性などの災害対策、土地の利用状況など、国民の住生活に関する政策の基礎資料を得ることが目的。全国で約370万住宅・世帯を抽出して行なう大規模な調査で、調査員が直接戸別訪問して調査票を配布した後に回収に来る方法をとる。

調査員は必ず身分を証明する「調査員証」を身につけ、わかるように首からぶら下げている=図1参照。

調査員は調査票を手渡すだけで、その場では調査内容を聞き出すことはしない。また、電話による調査も絶対に行なわない。ただし、(1)回収した調査票の記入内容に不明な点があって確認する場合と、(2)期限までに調査票を提出しなかった場合は、電話で問い合わせることはある。両方とも調査票を提出した後の場合だ。

だから、もし「調査員」を名乗る者が電話で調査したいと言ってきたら、「かたり調査」とみて間違いない。すぐに電話を切ろう=図2参照。

「かたり調査」の具体的な手口は、こんなだ。

(1)「国勢調査を行なっています」と、まず具体的な調査名をあげる。「年齢と家族構成を教えてください」と問いかけ、しだいに「60歳〜90歳代を対象にうかがっています」「介護保険に入っていますか」「預金残高は1000万円以上ですか」「どこの銀行に預けていますか」などと聞いてくる。

国勢調査や住宅・土地統計調査などで、預貯金額や銀行の口座などを聞くことは絶対にない。これは相手が高齢者か、一人暮らしか、息子や娘がいるか、預貯金額がいくらあり、どの銀行に預けているかなどを聞き出し、「振り込め詐欺」にひっかけるデータを集めているのだ。

ホンモノの調査員は、その場では書かせない

実際に自宅を訪ねてくるケースもある。

(2)「総務省統計局の○○です」、あるいは「△△市の調査員××です」と名乗る人物が「調査票」と称する書類を持って自宅を訪問。そして、身分証明書らしきものをチラリと見せて、「今すぐ記入してほしい」と、年齢や家族構成、収入、預金額、銀行口座、暗証番号、クレジットカード番号などの項目を矢継ぎ早に示して書かせる。

ホンモノの調査員が自宅を訪問する際、その場で調査することは絶対にないから、追い返すか、しっかり「身分証明書」を確認すること。また、調査員をかたって自宅を訪問するのは、「振り込め詐欺」だけでなく、空き巣を狙って家の中の様子を探りにくる場合がある。不審に思った場合は、「調査員証」に記載してある名前を「住宅・土地統計調査コールセンター」に問い合わせると、身元を確認してくれる。

なにより、不審に思ったら回答しないで、すぐに追い返す! また、調査票を持って最初に訪問した調査員とは別の人物が回収に来たら、「偽物」の可能性がある。

住宅・土地統計調査コールセンター(0570-78-3939)は、8時〜21時、土日祝日も受け付けている。また、「かたり調査」によるトラブルに巻き込まれた場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」(局番なしの3ケタ番号)でも受け付けている。