もしも江戸時代の侍たちが、現代にバーを作ったら?

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江戸時代にアメリカを訪れた侍たちがバーを作っていたら? そんな想像を膨らませて実現した、新しいバーが渋谷にオープンします。ここでしかできない体験と味わえないカクテルをご堪能下さい。

TOKYO HIP BAR Vol.27


アメリカのバーに感動した侍たちが日本に持ち帰ったバー!?


独自の想像力をもつバーテンダーにより

1860年の米国のバーが現代の日本に

“もしもの話”は、お酒のツマミになるもの。もしもあの時あの場所にいかなかったら、もしもあの時あの服を着ていなかったら。いろんな“もしも”を、私たちは想像します。

そんなもしもの一つが体現されたバーが渋谷にオープンします。オーナーの後閑信吾氏はニューヨークの名店「エンジェルズシェア」出身で、2012年の「バカルディ レガシー カクテル コンペティション」のアメリカ代表として、世界優勝したバーテンダー。優勝後、上海で自身のお店をもつほか、バーのコンサルティングやゲストバーテンダーとして世界各国を飛び回っています。

そんな彼が想像した「もしも」とは、「もしも“遣米使節団”が日本にバーを作ったら」というもの。遣米使節団とは江戸幕府が日米修好通商条約の批准書交換のために1860年にアメリカに派遣した使節団。ハワイからサンフランシスコ、キューバを経てニューヨークに辿り着いた日本のサムライたちです。実はニューヨークで彼らが宿泊していたホテルのワンブロック先に、ジェリー・トーマスという有名バーテンダーが当時いたことを知ったことが後閑氏の想像のはじまりです。

「もしかすると使節団の誰かはバーに行き、そしてそこからインスピレーションを受けたバーを日本にオープンすることもあったかもしれない」。そんな思いが込められたのが、6月16日(土)にオープンする「THE SG CLUB」です。

当時のニューヨークのバーを彷彿とさせるヴィンテージ感ある内装に、日本のテイストが織り交ぜられた店内は、カジュアルな1Fとオーセンティックな地下階の2フロアに分かれています。SGはSip(ゆっくり飲む)とGuzzle(ごくごく飲む)でもあり、日本のSamuraiとアメリカのGangでもあり、後閑氏の名前の頭文字でもあります。

カクテルメニューは使節団が旅した行程から、日本、ニューヨーク、キューバをイメージした構成。コーラを使用せずにスパイスでコーラの風味を出した写真の「ラムアンドコーラ ウィズアウトコーラ」や、日本のワンカップ文化を受けてジンや紅茶、柑橘で作った「No.1カップ」など、飛び抜けた発想の数々です。

ここでしか体験できない高揚感、

バーの片隅で靴磨き

また遣米使節団はアメリカで靴磨きも見かけていたはずと、バーの一角には靴磨きのスペースを設け、バーテンダー兼シューシャイナーに靴を磨いてもらえるという世界観の作り込まれぶりです。

紳士の嗜みとして設けたという靴磨きスペースですが、こちらは女性も利用可能。紳士を気取ってカクテルを片手に個室で受ける靴磨きは不思議な高揚感があります。またお手洗いや壁の絵には日本を感じるある仕掛けが。どんなものかはぜひ訪問して体験を。

モチーフとなった遣米使節団が、ニューヨークに到着したのは万延元年6月16日。奇しくも平成30年6月16日にオープンする「THE SG CLUB」は、やはり時空を超えて使節団がもたらしてくれた贈り物かもしれません