首都圏不動産公正取引協議会の発表によると、インターネット広告を中心に相変わらず不動産物件のおとり広告や不当表示が続いていることが分かった。

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■徒歩所要時間の短縮

 首都圏不動産公正取引協議会では、サイト上で不動産広告における違反事例を掲載している。その中から件数の多かった違反を紹介してみよう。

 最新となる2016年4月から17年1月までにおいて、目に付くのが「取引内容の不当表示」における徒歩所要時間の短縮で13社42件あった。多くは、「『津田沼駅徒歩12分』->実際は17分」、「『幕張本郷駅徒歩7分』->10分」(ともに2016年12月、千葉県船橋市所在C社)のように、数分から5分くらいの短縮だ。けれども「『船橋駅 徒歩100分』->徒歩124分」(2016年5月、東京都杉並区所在のG社)と、24分も短縮した違反もあった。法律では「道路距離80メートルにつき1分間」と換算するため、24分イコール1,920メートルをごまかしたことになる。

 こうした所要時間は、信号待ちや坂道などは考慮されていない点に注意したい。Googleマップなどでは、かなり正確な所要時間を計れるので、気になる物件では使ってみた方が良いだろう。

■設備が存在しない物件も

 所要時間以外の「取引内容の不当表示」は、23社112件で様々な違反があった。例えば、周囲の状況に関する違反では、「『東京タワーまで見える』と記載->見えない」(2016年4月、東京都品川区所在D社)、「『陽当り良好』->バルコニーの目の前に2階建ての建物があり、『陽当り良好』とはいえない」(2016年5月、埼玉県川越市所在D社)など。

 さらに設備に関する違反も多い。例えば、「『バルコニー』->バルコニーなし」、「『照明付』->居室に照明器具なし」(ともに2016年9月、東京都世田谷区所在B社)などだ。

 そうした中でも「『カウンターキッチン、追い炊き、宅配ボックス、CATV、CSアンテナ、有線放送』->いずれも設置されていない」(2016年7月、東京都目黒区所在A社)や、「『カウンターキッチン、オートバス、追い炊き、温水洗浄便座、浴室乾燥機、防犯カメラ、宅配ボックス、有線放送、バイク置場あり、家具・家電付、制震構造』等と記載->これらの設備等はすべて存在しない」(2016年4月、東京都品川区所在D社)のように、もはや別物件と思えるものもあった。

■表記していない条件に注意

 契約に直結する「取引条件の不当表示」は、36社350件あった。違反件数が多いのは細かな条件に分かれているためで、賃貸物件では、「鍵交換費用(8件)、ルームクリーニング費用(4件)及び〇〇友の会会費(1件)を必要とするのに、その費目及びその額不記載」(2016年12月、東京都新宿区所在E社)など。ペットに関する条件も多く、「『敷金 1カ月』、『ペット可』->ペットを飼育する場合は、敷金が月額賃料の2カ月分となり、63,200円のルームクリーニング費用が必要な旨不記載」(2016年7月、東京都目黒区所在A社)などがある。

 売買物件では「『4180万円』-> 4,220万円(施設負担金40万円含む)」、「『4880万円』->4,945万円(宅地外設備接続負担金65万円含む)」(ともに2016年12月、東京都大田区所在B社)など、総額を低く見せかける違反が多い。

 また「入居の条件が非喫煙者限定である旨不記載」(2016年4月、東京都台東区所在E社)、「入居条件が男性限定である旨不記載」(2016年6月、東京都豊島区所在E社)「『二人入居可』、『ルームシェア可』->いずれも利用不可」(2016年11月、東京都府中市所在B社)など、入居者限定を記載しないなどの違反もあった。

■後を絶たない「おとり広告」

 こうした違反でなくならないのが「おとり広告」で、44社236件あった。その中でも多いのは、契約済物件の広告を出し続ける違反で、「新規に情報公開後に契約済みとなり、取引できないにもかかわらず、更新を繰り返し、長いもので2カ月以上、短いものでも1カ月以上継続して広告(4件)」(2016年11月、東京都豊島区所在F社)などがある。さらに「新規に情報公開後に契約済みとなったが、以降更新を繰り返し、広告時点まで長いもので1年1カ月以上、短いものでも8カ月以上継続して広告(6件)」(2016年4月、東京都千代田区所在B社)のように1年超えの違反広告もあった。

 さらに大胆な違反には、新築住宅9物件が「いずれも存在しない」(2016年9月、東京都港区所在A社)がある。これは、土地面積や所要時間をいつわるとともに、「架空の建築確認番号を記載し、新築住宅に改ざんして広告していた」ものだ。

 また「価格(3,480万円)が周辺相場(4,000万円)よりも著しく安い」、「2カ月間で63件の問い合わせがあったが契約に至らず」、「建築確認番号が架空で建築確認を受けていない」、「土地面積が不整合」、「この売主(事業者)の代表者は、E社の役員でもある」ことから、「おとり広告」と認定された広告(2016年5月、東京都渋谷区所在E社)もあった。

■違反の多くがインターネット広告

 こうした広告の中には、宅配チラシや「無許可の屋外広告物(カラーコーンに貼付したビラ)」もあるが、ほとんどはインターネット広告だ。不動産会社の自社ホームページの他、アットホーム、いい部屋ネット、スーモ、センチュリー21、CHINTAI、ホームズ、ホームメイト、マイナビ賃貸、ヤフー不動産(50音順)など、ひと通りメジャーな不動産サイトでも違反の広告があることが分かる。もちろん違反広告は、ほんの一部に過ぎないだろうが、くれぐれも怪しい物件をつかまないように注意したい。