不動産価格の上昇などの影響により、投資利回りが低下している。そんな中、現役オーナーの多くが賃貸経営の将来に不安を抱いているようだ。

 健美家株式会社は10月11日、投資用不動産市場に関する市場動向レポートを発表した。レポートは、同社が運営する投資用不動産情報サイトに登録された物件や問い合わせがあった物件の動向を調査・分析したもの。

 7月から9月に登録された投資用の区分マンションについて、想定収益を物件価格で割った「投資利回り」の平均は、前年同期比で0.33ポイント低下して7.88%となり、7%台の低水準が継続している。物件の平均価格は1,374万円で、同3.71%下落した。1棟アパートの「投資利回り」も同0.28ポイント低下して9.13%で、低下傾向が継続。平均価格は5,938万円で同5.62%上昇し、2008年のリーマンショック以降、2期連続で最高値を更新した。一棟マンションの「投資利回り」も同0.49%低下して8.08%となり、2006年10月〜12月期以降で最も低くなった。平均価格は1億5,364万円で、2013年の金融緩和以降2番目の高値になった。

 投資利回りの低下は、物件価格の上昇や家賃相場の下落などによる影響が考えられる。

 そんな中、株式会社オーナーズ・スタイルは「大家さんが感じる賃貸経営の先行き感についてのアンケート調査」を実施し、その結果を8月25日に発表した。調査対象は首都圏・関西圏で1棟以上の賃貸マンションかアパートを経営するオーナー1,000名で、調査時期は2015年12月。

 自身の賃貸経営が10年後や20年後も順調だと思っているか聞いたところ、「とても厳しくなる」(31.0%)と「少し厳しくなる」(31.9%)を合わせ、62.9%のオーナーが「厳しくなる」と予想していた。「今のままで順調」は4.9%、「何らかの手を打つことで順調」が30.2%だった。

 今の悩みや将来の不安について具体的に聞いたところ、多い順に「空室」(60.4%)、「家賃の下落」(55.5%)、「物件の老朽化」(43.6%)、「外壁や屋根などの大規模修繕」(42.1%)、「リフォーム・リノベーション」(28.2%)となった。

 日銀によるマイナス金利導入の影響で、不動産投資に注目が集まっている。その一方で、空き家の増加も課題となっており、賃貸経営の将来に不安を抱くオーナーも少なくない。不動産投資では物件価格に加えて、家賃相場や空室率の動向も注視しておく必要がありそうだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]