7月20日からタイ遠征を行なうU−15日本代表(2017年のU−17W杯出場を目指す)のメンバーが15日に発表され、FC東京U−15むさし所属の久保建英(たけふさ)も名を連ねた。

 ご存知のように、名門バルセロナの下部組織で将来を嘱望されていた久保。だが今春、バルセロナが犯した移籍に関する規則違反により、18歳になるまで公式戦出場の道が閉ざされることが判明し、苦渋のすえに退団、そして日本への帰国を決断した。新天地として選んだのがFC東京の下部組織、FC東京U−15むさしだった。

 久保は5月31日に日本での公式戦デビューを果たすと、その試合でゴールを決めるなど、さっそく才能の片鱗を見せている。その一方、"最も有名な13歳のサッカー選手""日本のメッシ"に報道が過熱、その悪影響も心配されていた。クラブ側もその点を考慮し、取材を制限するなど、久保とチームに落ち着いてサッカーに打ち込める環境を与える努力を続けている。

 帰国直後に比べてその名前を耳にすることが少なくなったのもそのためだが、その間にも彼は、少しずつ新しいチームに馴染んでいるようだ。

 7月11日に行なわれた関東クラブユースサッカー選手権(U−15)、湘南ベルマーレU−15小田原戦には右MFで先発。試合前は少し緊張しているようにも見えたが、キックオフと同時に、身長163cmと、この世代でもひときわ小柄な身体で広い範囲を動き回る。パス回しの中心になったり、前線でドリブル突破を仕掛けたり、右からのCKを任されたりと、すでにチームの一員として機能している様子が見られた。

 試合を撮影したカメラマンによると、「ボールを受ける前に周囲をよく見ていたり、極力ワンタッチでパスを回したりする姿は、どことなく香川真司を思わせました。ただ、ドリブル突破を試みても、前線に味方が少ないために相手に囲まれてボールを奪われるシーンもしばしば。このあたりの能力は、U−15代表など、周囲の選手のレベルが上がったときのほうが生かされるのかもしれません」とのこと。

 この試合では後半27分までプレイした久保。3−2で勝利を収めると、チームメイトと笑顔で喜び合う姿が見られた。鳴り物入りでチームに加入することになってしまったため、周囲とのコミュニケーションなども懸念されたが、どうやら杞憂に終わりそうだ。バルセロナと東京。環境は違うかもしれないが、一歩一歩、成長していくことに変わりはないはずだ。