吉本の芸人たちがガチで人狼に挑む「ガチ人狼」ガチ稽古に潜入レポ
11月30日の夜、吉本の劇場・神保町花月で「ガチ人狼」が開催される。
「ガチ人狼」は、近年メジャーになりつつある対面推理ゲーム「人狼」を舞台上で「ガチ」でやるもの。登壇者はニブンノゴ!森本、佐久間一行、犬の心・いけや、LLR・福田、ライス・関町、エリートヤンキー・橘などなど、吉本の芸人たちだ。
人狼は、村人の中に忍び込んだ「人狼」を見つけ出すゲーム。人の嘘を見抜いたり、もしくはバレないように嘘をついたり……駆け引きや演技力、コミュニケーション能力がカギとなる。
盛り上がってくれば、言い争いが白熱する。人を信じ、時には裏切る。人狼のそうしたドラマ性に注目して、舞台でやる試みもされている。今回の「ガチ人狼」や、「人狼TLPT」、ちょっと変化球だが「滑狼」などがそうだ。観客は演者の人狼プレイ自体も楽しむし、誰が人狼か推理するのにも本気になる。
ただ、人狼ファンの目は、人狼愛ゆえにかなり厳しい。「人狼〜嘘つきは誰だ?〜」「ジンロリアン〜人狼〜」といった人狼番組がテレビで放送されると、演者のプレイに対して容赦のないツッコミやダメ出しが入る。
そんな中で「ガチ人狼」。出演者は全員芸人だが、コントではなく「ガチ」でやる。この「ガチ」名乗りにはかなり覚悟がいるんじゃないだろうか?
11月26日に「稽古をやる」というので、取材しに行ってみた。
出演者の人狼のレベルはさまざま。高度な戦術を使いこなす人もいれば、ルールは知っているけれど対面で人狼をやるのは初めてという人もいる。一番慣れているニブンノゴ!森本がいったん抜けて、外から人狼のプレイを指導する。「株式会社人狼」の高橋一成も参加して、1ゲーム1ゲームごとにアドバイスや注意点も伝えている。
最初は探り探りの雰囲気があったプレイング。でも、私が見学している3ゲームのあいだに、プレイヤーのテンションも、レベルも上がっていく。「ガチ稽古」だ。
事前に決めていた時間が過ぎたあとも、「もっと練習したい」という声が上がり、続行。休憩のあいまに、森本に話を聞いてみた。
「本当の人狼好きな人にも見てもらいたいし、ダメ出しもしてほしい。役職はお客さんに完全にクローズでやるので、お客さん予想のアンケートもとります。正解した方にはプレゼントを出そうと思ってます」
「ガチ人狼」は10月20日に第1回が開催されていて、今回が2回目だ。
「前回をやってみて、厳しい言い方をすると『全員のレベルをもっと上げないとダメだな』と感じたんですよ。なので今回は稽古を。芸人さんってあんまり稽古が好きじゃなくて、本番一発が好きなんですよ。練習したことと同じことを舞台でやると芸人って冷めちゃう。でも人狼はいくら練習しても、同じにはならない。コントや芝居の練習というより、スポーツに似てる。人狼の筋肉をつけないと、ショーとして成り立たない」
稽古嫌いの芸人たちは、森本の呼びかけに集まった。初参加のPOISON GIRL BAND吉田の「参加する側と見る側、両方できてすごくよかった。人狼って自分を出さなきゃいけないところと、バラしちゃいけないところ、嘘をつかなきゃいけないところがありますね。これって人狼にかかわらず、いろんなところで役立つ気がする。小学校の授業から入れてほしいくらい」という感想に、森本は頷く。
「僕、芸人18年目なんですけど、やってきたことがすべて使えるんですよ。芝居を打つことも嘘つくことも、理論攻めで勝つこともできる。人狼をやり始めたのは2年くらい前で、最初はボロカスにやられた! けちょんけちょんにやられて、悔しくて覚えて徐々に能力を上げてった。このゲームは面白いし、しゃべりで勝つのは気持ちいい。芸人はすぐ強くなりますよ! 材料さえ入れてあげれば、いい風に料理して出せる」
確かに稽古中、劇的な変化を感じた。最初は「まだわからないので、見学してていいですか……」と気弱なようすを見せていたマヂカルラブリー村上(吉田いわく「こういう人が冤罪で捕まるんだろうな……」)が、たった3時間で神占い師に変貌した。
「ここでしか見られないものは、芸人が自然と出す面白いワード。いろんなところで人狼は流行っていて、プレイ内容のレベルが高いところはいっぱいあります。でも言葉遊びのレベルでいうと、ここがマックスに高いと思ってる。目標は、ここにいるメンバーを鍛えて、みんなで強くなっていくことです。チョイスを見てもらいたい!」
取材の後も、そして翌日も、人狼の練習会は続いた……。
「ガチ人狼」
11月30日 20時〜 神保町花月 前売1800円・当日2000円
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/talk_schedule/pc/2014/11/post-16c0.php
(青柳美帆子)
「ガチ人狼」は、近年メジャーになりつつある対面推理ゲーム「人狼」を舞台上で「ガチ」でやるもの。登壇者はニブンノゴ!森本、佐久間一行、犬の心・いけや、LLR・福田、ライス・関町、エリートヤンキー・橘などなど、吉本の芸人たちだ。
人狼は、村人の中に忍び込んだ「人狼」を見つけ出すゲーム。人の嘘を見抜いたり、もしくはバレないように嘘をついたり……駆け引きや演技力、コミュニケーション能力がカギとなる。
盛り上がってくれば、言い争いが白熱する。人を信じ、時には裏切る。人狼のそうしたドラマ性に注目して、舞台でやる試みもされている。今回の「ガチ人狼」や、「人狼TLPT」、ちょっと変化球だが「滑狼」などがそうだ。観客は演者の人狼プレイ自体も楽しむし、誰が人狼か推理するのにも本気になる。
そんな中で「ガチ人狼」。出演者は全員芸人だが、コントではなく「ガチ」でやる。この「ガチ」名乗りにはかなり覚悟がいるんじゃないだろうか?
11月26日に「稽古をやる」というので、取材しに行ってみた。
出演者の人狼のレベルはさまざま。高度な戦術を使いこなす人もいれば、ルールは知っているけれど対面で人狼をやるのは初めてという人もいる。一番慣れているニブンノゴ!森本がいったん抜けて、外から人狼のプレイを指導する。「株式会社人狼」の高橋一成も参加して、1ゲーム1ゲームごとにアドバイスや注意点も伝えている。
最初は探り探りの雰囲気があったプレイング。でも、私が見学している3ゲームのあいだに、プレイヤーのテンションも、レベルも上がっていく。「ガチ稽古」だ。
事前に決めていた時間が過ぎたあとも、「もっと練習したい」という声が上がり、続行。休憩のあいまに、森本に話を聞いてみた。
「本当の人狼好きな人にも見てもらいたいし、ダメ出しもしてほしい。役職はお客さんに完全にクローズでやるので、お客さん予想のアンケートもとります。正解した方にはプレゼントを出そうと思ってます」
「ガチ人狼」は10月20日に第1回が開催されていて、今回が2回目だ。
「前回をやってみて、厳しい言い方をすると『全員のレベルをもっと上げないとダメだな』と感じたんですよ。なので今回は稽古を。芸人さんってあんまり稽古が好きじゃなくて、本番一発が好きなんですよ。練習したことと同じことを舞台でやると芸人って冷めちゃう。でも人狼はいくら練習しても、同じにはならない。コントや芝居の練習というより、スポーツに似てる。人狼の筋肉をつけないと、ショーとして成り立たない」
稽古嫌いの芸人たちは、森本の呼びかけに集まった。初参加のPOISON GIRL BAND吉田の「参加する側と見る側、両方できてすごくよかった。人狼って自分を出さなきゃいけないところと、バラしちゃいけないところ、嘘をつかなきゃいけないところがありますね。これって人狼にかかわらず、いろんなところで役立つ気がする。小学校の授業から入れてほしいくらい」という感想に、森本は頷く。
「僕、芸人18年目なんですけど、やってきたことがすべて使えるんですよ。芝居を打つことも嘘つくことも、理論攻めで勝つこともできる。人狼をやり始めたのは2年くらい前で、最初はボロカスにやられた! けちょんけちょんにやられて、悔しくて覚えて徐々に能力を上げてった。このゲームは面白いし、しゃべりで勝つのは気持ちいい。芸人はすぐ強くなりますよ! 材料さえ入れてあげれば、いい風に料理して出せる」
確かに稽古中、劇的な変化を感じた。最初は「まだわからないので、見学してていいですか……」と気弱なようすを見せていたマヂカルラブリー村上(吉田いわく「こういう人が冤罪で捕まるんだろうな……」)が、たった3時間で神占い師に変貌した。
「ここでしか見られないものは、芸人が自然と出す面白いワード。いろんなところで人狼は流行っていて、プレイ内容のレベルが高いところはいっぱいあります。でも言葉遊びのレベルでいうと、ここがマックスに高いと思ってる。目標は、ここにいるメンバーを鍛えて、みんなで強くなっていくことです。チョイスを見てもらいたい!」
取材の後も、そして翌日も、人狼の練習会は続いた……。
「ガチ人狼」
11月30日 20時〜 神保町花月 前売1800円・当日2000円
http://www.yoshimoto.co.jp/jimbocho/talk_schedule/pc/2014/11/post-16c0.php
(青柳美帆子)