生きる伝説、ジミー・ペイジ!

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噂や評判、要するに“悪評”が先行し、こちらが身構えることってあるじゃないですか。しかも、今回の相手はジミー・ペイジ。今まで、様々なイメージを植え付けられてきたし、様々なエピソードを耳にしてきました。「西新宿のブート屋に行き、ツェッペリンの音源を金を支払わずにゴッソリ持っていく」なんて話を聞かされた日にゃ、こちらも萎縮してしまうというか。

昨日(10月9日)、レッド・ツェッペリン等の活動で知られるギタリストのジミー・ペイジが紀伊國屋書店・新宿南店7階「サザンシアター」にやって来ています。ペイジ自らが手がけた公式写真集『Jimmy Page』の発売を記念し、ファンと触れ合うイベントが開催されたのです。イベント名は「ジミー・ペイジに会おう!」。
当日は、イベント限定で作成された日付入りZosoスタンプを、ペイジ自ら参加者一人一人の写真集に捺印。それだけでなく、一人一人と握手してくれるというのです。……マジですか? 御大、機嫌悪くなっちゃいませんか!?

ちなみに当日、取材陣には数々のお達しが告げられていました。最も参ったのは、「メディア席(会場の最後方)からは出ず、その場所からのみ写真を撮ってくれ。近影の撮影はNG」なる注意事項でしょうか。……さすが、レジェンド。いや、でも、それはあまりにムゴ過ぎる。必死に掛け合うと「30秒間だけ、近くに来てフラッシュを焚いて撮影しても良い」と軟化してくれました。ペイジ曰く「今日はファンとの触れ合いが目的のイベントだから」だそう。なるほど、確かに! それは問答無用で圧倒的に正しい話だし、御大が与えてくれたチャンスに感謝するしかない。
ちなみに気になる“ご機嫌”について。言うまでもなく直前までインタビュー取材をみっちり受けていたらしく、あまり良いものではないそうです。……ヒリヒリするじゃないですか。

というわけで、開場の時間がやって来ました。やっぱり40代以上の方が多く、会社をサボって来たであろう大人も少なくない気がします。一方で若い人の姿も少なくなく、学ラン高校生の姿まで発見! 「4枚目のアルバムを聴いてハマりました」と語る彼は福島からやって来たそうで、学校終わりで新宿に直行、イベント後は夜行バスで直帰するらしいです。ご苦労様!
そして、何より女性が多い気がします。いや、今もダンディなんだけど、若い頃のペイジのカッコ良さは半端じゃないからな……。ちょい東洋人っぽい顔の造りが、また我々の琴線に響きまくるというか。
開場時、場内にはO2アリーナ(ロンドン)で行われた一夜限りの再結成コンサートの映像がエンドレスで流され、これだけでもテンション上がるのですが。ちょっと観入っちゃうな。

さて。そろそろ、司会者からイベント内容についての説明があるようです。聞きましょう。
「一人一人の時間は、緩めにとってあります。通訳もおります。思いの丈を一言、伝えてみてください。欧米では、日本のような軽く手を触れるだけの握手だと『気持ちが込もっていない』と思われます。“ギュッ!”と、ガッチリと、握手してください」
この真心溢れ、かつ意外なアナウンスに沸きまくる場内。いいんですか、あのジミー・ペイジ相手に!?

ここからは、一般的な注意事項です。
「携帯電話、音の出る機材は電源をオフにするか、音の出ないモードに切り替えてください。着信音で『Whole Lotta Love』や『天国への階段』が出るのはご愛嬌としても、間違っても『Black Night』とか『Layla』とか、鳴らさないようにお願いいたします」
「録音と撮影は禁止とさせて頂いておりますが、自分の席から携帯での撮影はOKとさせていただいております」
もう、完全にハートを掴まれてしまった参加者全員。

さぁ、いよいよか? 撮影完全NGとされるペイジからの門外不出“メッセージ映像”(2分)上映が終わると、「Rock N' Roll」に乗ってジミー・ペイジが姿を現した!
このタイミングだ、我々が許された間近でのシャッターチャンス30秒は。駆け足で前方に押し寄せる取材勢。……う〜わ、眼前に“生きる伝説”がいる!
「stand up?(ニコッ)」
立ってくれたり、写真集を掲げてくれたり、目線をカメラマン一人一人に向けてくれたり。こちらはこちらで「OK、ジミー!」なんて声かけちゃったりして。興奮で全身がブルブル震え、撮った写真を確認するとブレまくってました。震えたから。今思い出しても信じ難い体験!

では、ここからはペイジと参加者一人一人の触れ合いタイムに突入です。長蛇の列が出来上がり、その先には紛れも無くジミー・ペイジがいる。いや、おざなりじゃなく、完全に会話してます。「カモン!」なんて手を差し出したり、笑顔がチャーミングだったり、信じられない光景の連続。
……あれ、ご機嫌麗しいみたいですね。予想外の歓迎すべきサプライズ。いや、この人のファンに対する態度って、こんな感じなのかも。決して、ホテルの窓からテレビを投げたり、サメで遊ぶだけの人ではないわけで。
また捺印する時のペイジ、思いっきり完璧主義者です。スタンプをセットし、じっくり構えてズレないようにプッシュ。一方、ファンの熱も負けてない。号泣しながら思いを伝えるファンに、笑顔で応えるジミー・ペイジ。その光景に、会場中から拍手が巻き起こったりして。この日のハイライトでしょう。

このやり取り、おおよそ2時間弱続きました。この日集まった200名のファンに、ジミー・ペイジはずーっと笑顔。「笑顔を絶やさず」って、まさにこの日のジミー・ペイジの事を言うんだと思う。
この人くらいになると、つっけんどんな態度でもファンは納得すると思うんですよ。そんなんでも「さすが、ジミー・ペイジ!」ってなもんだし。いや、こちらが誤解してたのかしら。“ミステリアスな男”だけに、素性を全然理解してなかった。皮肉屋のプラントや豪傑なボンゾに比べ“天然”な気はしてたけど、ちょっと感動するくらいにフレンドリー。茶目っ気もたっぷり。

ちょっと、今でも信じられない。噛みしめたい。そして、また会いたい! どこかで、再び会えないだろうかな? 例えば、西新宿の路上でバッタリとか……。
(寺西ジャジューカ)