新エースと昨年経験者の活躍で夏のシード獲得 

2安打完封の阪井祐介(高野山)

 高野山の背番号1・阪井 祐介(3年)が、紀北工打線を2安打完封。チームとしては6年ぶりとなる夏の和歌山大会シード権獲得の立役者となった。

 力強い直球が持ち味の阪井。このゲームでは2回にヒット1本を浴びるものの、最速137キロの直球を主体にして内野ゴロの山を築いた。結局、ゴロアウトは13回。ヒット以外で外野へ打球を飛ばされたのはわずかに2回だけだった。

 川西優登監督の話によると、「去年の秋はベンチ入りメンバーに入っていなかった」とのことだ。元々は1年生の時から登板機会を与えられるほど期待された投手だったものの、「去年は体調を崩してしまった」と指揮官は語る。

 実質は初めてとなる大会、それもシードが懸かった準々決勝での完封は、大きな自信となるだろう。昨年の三好 大生(金沢学院大進学)や小川 章太(上武大進学)とはタイプの違うが、投手の柱がこの大会で誕生した形だ。

 打っては、昨年からレギュラーだった3番丸尾勇貴(3年)が5回に満塁から走者一掃のタイムリー三塁打を放って、背番号1のピッチングを楽にした。

 丸尾の背番号は14。そのことを川西監督に訪ねてみた。 「少し練習態度に問題がありました。下級生の時から試合に出ていて、ライバルがいなく、緊張感がなくなってきていた。今大会の1回戦はあえてベンチスタートにしました。それで奮闘して、前の試合では2ランを放った。1球に対する大切さを大事にして取り組んでくれるようになりました」。

 9回のピンチで丸尾は、好守でダブルプレーに取り、阪井に完封をプレゼントした。これも、1球に対する大切を見せた結果と言えるだろう。

(文=松倉 雄太)